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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
132/226

クーデター

 その日、拠点にいた俺達に衝撃的な報告がアロマとイルミアからもたらされた。


「王都でクーデターが起こった」


 イルミアが言う王都とはメリユースの王都だ。

 霧魔花が作られた場所を探すにあたって、動きやすくなるようにメリユース王都内の動きを探っていたアロマとイルミアだが、予定よりも早く帰ってきたと思ったら、そんな衝撃的な報告だ。思わず固まってしまった。


 事があまりにも大きい為に急いでフィオンを呼んでくる。その途中でトアンとミシェにもあってので、先にアロマとイルミアの元に行っててもらい、詳しい情報を聞いておいてもらう。


「クーデター!? それは本当か!?」

「あ、ああ。俺も驚いたが、アロマとイルミアが言うには本当みたいだ」

「分かった、とりあえず詳しい話を聞こう」


 流石のフィオンも驚きを隠せないようだったが、詳しい話を聞かないことにはどうしようもないので、とりあえず皆の元へ向かうことにした。


「あ! らっくん! フィオン!」

「すまない待たせた。話を聞かせてくれ」


 メリユースで起きたクーデターについてアロマは説明を始める。

 そこまで込み入った内容を知っている訳ではなさそうだが、どうやら軍の一部でシェダを引きずり降ろそうと行動を起こしたらしく、王都内は混沌とした喧騒になっていたようだ。

 民間人は戸惑っており、移り行く状況についていけず不安が広がっているようだ。

 そしてクーデターを起こした方の指揮を取っているのがレイラ中佐で、さらに最前線にサレンさんだ出ているらしい。

 シェダはまだ動いていないようだが、王城内の兵士達と五芒星のメンバーであろう者達と激しい戦闘になっており、戦況がどちらに傾くかは外からでは分からなかったようだ。


 あまりにも突然、レイラ中佐とサレンさんは何を考えているのだろう。

 アロマがミストライフに入ることが決まったあの日、フィオンと何かしらのやり取りがあったのは知っているが、それが関係しているのだろうか?


「正直もう何が何だか分からなくて・・・・・・サレンさん達、何がしたいんだろう・・・・・・?」

「このタイミングか・・・・・・」

「フィオン?」


 アロマの話を聞いてから、フィオンは何かを考えるように腕を組んでいる。

 意味深な呟きから、やはりフィオンとのやり取りと何か関係がありそうだというのは分かるが、一体何がどうなったらサレンさん達がクーデターを起こすという状況になったのか。

 いずれにせよ、フィオンの考えが纏まるまで待つしかない。


 しばらく色々と考えたであろうフィオンは、意を決したようにおもむろに口を開いた。


「王都に向かう。そこでレイラ達と合流しあわよくばシェダを叩くところまで行きたい。状況次第になるが・・・・・・無理そうならばレイラ達を回収して撤退だ」

「本気か!?」


 つい先日俺達が取る行動は決まったばかりだ。それを撤回し、危険を冒すその意味は何だろうか?


「フィオン、流石に説明してくれ! お前が付いてこいというなら付いていくつもりだが、あまりにも状況が読めない!」

「そうだな、すまない。・・・・・・前に私がレイラとサレンと戦闘を行った際に、霧のこと、霧魔花のこと、五芒星のことを話していた」


 ここにきて初めて聞く事実。あの時にそんなやり取りがあったとは思ってもいなかった。


「なら、サレンさんとレイラ中佐はミストライフの仲間という認識でいいのか?」

「ミストライフの仲間・・・・・・どうだろうな・・・・・・協力者であることに変わりはないだろうが、仲間かと聞かれると微妙なラインだ。はっきり言うが、私はまだそこまでの信用をあの2人に抱くことは出来ない」

「それは、まあ、仕方ないと思うが・・・・・・」

「私は確かにミストライフに来ることを誘いはしたが、それは断られてな。その代わりに、独自の調査をするということと、独自で動くことを確約はしてくれていた。このタイミングとは思わなかったからな」


 ミストライフには入らないし、行動も共にしたり逐一報告したりはしないが、独自に五芒星と戦う為にサレンさん達は動いていたようだ。

 このタイミングで動いた理由はレホラとタキシムの王が死んだことが関係あるのだろう。フィオンはも少し別のタイミングで動くと予想していたみたいだが。


「それで、助力には何の意味が?」


 冷たい質問かもしれないが、協力者が戦っているから、という理由だけで納得は出来ない。

 勿論俺もサレンさんやレイラ中佐を助けに行きたい、しかし無為に仲間が危険に晒されるのは嫌だ。納得できる理由がほしい。


「納得できないか?」

「・・・・・・ああ」

「だろうな。シェダが未来予知の異能でこの状況を予知していたのならば危険極まりない。お前の言いたいことは分かる」

「フィオン・・・・・・」


 何か理由があるはずだ。俯くフィオンからは何か言い出したくても言えないような、そんな意思のようなものが伝わってくる。

 力になってやりたいと思った。ならばここはこの方法しかないだろう。


「・・・・・・分かった、何も聞かずに付いていく。でもいくのは俺とフィオンだけだ」

「らっくん!?」

「悪いなアロマ、何かあった場合最も安全に逃げるなら俺だけが行くのが一番だ」

「で、でも・・・・・・」

「皆も分かってくれ、ここは譲れない。もし、皆が来るなら俺は何が何でも行かないと言う」


 悲しそうな表情をするアロマには申し訳なく思うが、分かってくれ。今回得られるものと皆の命を考えると、俺はどうしても後者を選ばざる負えない。


「・・・・・・絶対帰ってくること。帰って来なかったらわたし、王都に突撃するから」

「アロマ・・・・・・」

「アロマが我慢するなら仕方ないね、私も大人しく留守番してるよ!」

「ま、ラクリィとフィオンなら何だかんだ何とかして帰ってくるだろ。俺達は鍛錬でもしてるさ」

「気を付けて」

「皆・・・・・・ありがとうラクリィ。感謝する」

「別にいいさ。フィオンの珍しいところも見れたしな」


 顔を上げたフィオンは若干照れたような表情をしていた。

 そんな顔をされたらどうにかしてやりたくもなってしまう。これ以上は何も言わずにフィオンに力を貸してやろう。


 そう決まれば、俺とフィオンは早速準備を済ませメリユース王都に向け出発した。

VRくん「話的に短かったけどそろそろ次章行くかなと思ってたら……まさかの展開に」

VRちゃん「王都決戦って言っても、別にシノレフ王都とは言ってなかったかからね」

VRくん「しばらくは捜索になる雰囲気だったのに、ばりばり戦闘入りそう」

VRちゃん「結局は戦いがメインでもあるんだし別にいいんじゃない? さて次回! 『再会』 お楽しみに~」

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