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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
129/226

欠けた五芒星

初の五芒星サイドの話です!

 王の死に、四国の住民が様々な反応を示している頃、とある場所にて五芒星の三角が顔を合わせていた。

 この場所がどこなのか、それは五芒星の中でもさらに限られた者にか知らない。どこの国にあるのか。地上なのか洞窟の中なのか。室内か室外かすらこの世界にいる殆どの者は知らない。そもそもこのような場所があることも知らないのだから当たり前だ。


 世界中で殆どの者が認知していないのにも関わらず、人が住める環境にあるのは、この場所とミストライフの拠点以外はどこにもなかった。


 この場にいる3人の表情は、面白いことにそれぞれが全く違うものだった。


 目の前で起きた王の死に焦りを浮かばせる者。


 他の2人など興味もないといった様子で、さらには何も考えていなさそうな者。


 眠っているかのように目を閉じて何かを考えている者。


 凡そ同じ組織のトップ同士とは思えないような者達だった。


「呼ばれた理由はなんだ?」


 目を閉じていた男、シェダ・ラガル・メリユースは、不機嫌そうな口調で言葉を放った。

 今回こうして王が集まっているのは、フュストルが招集をかけたからだ。理由は考えるまでもない。


「シャクストや、王が2人落ちた。ワシらが放置でも問題ないとしていたミストライフによってじゃ。唯一フィオンという少女を警戒していたシャクストもやられた。警戒していたのにも関わらずじゃ」


 今回の議題、それはミストライフについてだ。

 この場でこうしてミストライフの名が挙がったのは、意外なことにもまだ四回目。フュストルの言う通り、放置でも問題ないとしていた為だ。

 結果、そのミストライフにここまでやられたのだ。それを目の前で見ていたフュストルからすれば、話し合わないわけにはいかないだろう。


「なんだそんなこと? わざわざ君が呼び出すから何事かと思ってみれば・・・・・・実にくだらない」

「なんじゃと・・・・・・?」


 フュストルは、自信があの場で逃げた後のことを知らない。ハクラがあの場に着いた頃にはとっくに異能の範囲外に出ていた。

 王3人で完全に敗北した形となったフュストルと、1人で完封したハクラでは、ミストライフに対する意見が変わってくるのも当然だ。


「しばらくは放置でいいよ。ま、来たら潰すけどね」

「じゃから、そんな調子でいて今回こんなことになったんじゃろうが」

「うるさいよジジィ。そんなに言うならどうにかしてみろ」

「若造が・・・・・・粋がるのも大概にしろ!」

「なに? やるの?」

「・・・・・・くだらん言い争いをする為に顔を合わせているのか貴様らは!」


 フュストルとハクラが一触即発という空気の中、呆れたように割って入ったのはシェダだった。

 その声でフュストルとハクラは無意味とも思える言い争いを辞める。

 ここで何か言い返しそうな性格のハクラだったが、ラクリィ達を完封出来る強さを持ちながら、このシェダという男だけは警戒していた。


 ハクラは直感的にシェダが何かを隠していることに勘付いていた。ともすればハクラですら脅かすであろう大きな秘密があると。

 その勘は穴勝ち間違えではないが、ハクラはその何かまでは分からなかった。警戒はするだろう。


「で、フュストル。結局貴様は何が言いたい?」

「早急にミストライフを潰すのが得策じゃと、それを言いに来たんじゃ。何処かにあるであろう拠点を探し出し、メンバーを根こそぎ削る。こんなとこじゃな」


 ミストライフ内で戦える人物については流石に五芒星の中でも情報共有されている。その為、拠点を襲っても別に戦力的にミストライフが衰えることは無いが、拠点を失えば常に潜伏する必要が出てくるのと、精神的な部分を削る効果がある。

 それを実行するにはミストライフの拠点を見つけること。次に調査班のメンバーが外に出ていることが条件になる。


「どうじゃ? ここらで障害は掃っておいたほうがいいと思うんじゃが」

「私はやんないよ、そんな面倒臭いこと。そっちで隙にやれば? 君達2人で上手くいくかは知らないけど」


 ハクラは即答する。別にラクリィ以外には興味がなく、さらにそのラクリィも万全の状態で戦いたいという気持ちから反対するのは当然だ。


 フュストルは表には出さないが奥歯を食いしばる。

 無理やりにでも同行させようとしないのは、実力的にそんなことは不可能だと実際には理解しているからだ。


「シェダはどうじゃ?」

「反対だ。メリットがない」

「いや、メリットならあるじゃろ・・・・・・こちらを脅かす最大勢力が潰れるんじゃから」

「ふん、貴様には分からんさ。やるならば貴様だけでやれ。部下はまだ残ってるはずだ」


 シェダの言うメリットが何を意味するのか、それはシェダにしか分からない。

 頑なに意見を曲げないシェダにフュストルも折れ、それ以上は何も言わなかった。


 フュストルは仕方がないと、自信の手駒だけでの作戦立案にうつる。

 ミストライフを相手にするにはあまりにも少ない戦力。だがそれは調査班のメンバーを抜けば簡単に覆ることだった。


 誰も知らぬ場所で微かにミストライフの危機が迫っていた。果たしてこの行方はどうなるのか、それは今はまだ分からない。

VRくん「シェダがやっと出て来たな」

VRちゃん「あのハクラが警戒してるってことは相当なのでしょうね」

VRくん「物語の根幹を担ってきそうだよな。にしてもフュストルが少し可哀そうだ」

VRちゃん「そこはかとない咬ませ犬感。王なのに残念ね」

VRくん「結局シェダの目的ってなんなんだろうな?」

VRちゃん「さあ? そこは読者の皆に予想しておいてもらいましょ。 さて次回! 『群生地の予測』 お楽しみに~」

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