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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
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報告

 シノレフ王都での戦闘から三か月、王を失ったレホラとタキシムは混乱の最中だった。

 帰ってきた俺達は、傷を癒しつつ動けるメンバーで情報を集めていたが、王座にはまだ誰も着いていないらしい。

 情勢が安定しているとは言い難いものの、戦争が起こっていないというだけで、民達には若干の安寧が訪れているらしい。

 国に対して支援が出来ないのは歯痒いが、そうも言っていられない。


 俺達は、ハクラについての報告も兼ねて霧魔の村にやってきていた。


「そうか、ハクラに会ったか・・・・・・」

「ハクラは強かった。正直、王を倒した今の現状でも勝てるのが想像出来ない」

「それほどか・・・・・・」


 報告を聞いてヒエンは苦虫を嚙み潰したような表情をしている。


「それと、霧魔の民が霧魔花の群生地で神になれるって話、どう思う?」

「そうじゃのぅ・・・・・・にわかには信じられんというのが、今の気持ちじゃ。しかし、ハクラが何の根拠もなしにそんなことを言っているとも思えん」


 ヒエンの言う通り、ハクラは何の根拠もなしにそんなことを言っているのだとは思えない。何かしら確信があるようにも見えた。

 何処かにそんなような記述でも残っていたか、それとも誰かから聞いたか。自身でその答えに行きついた可能性もある。

 現状では俺達には情報があまりにも無さ過ぎた。


「一先ず最優先は霧魔花の群生地を見つけることかのぅ? 霧魔の民全体では協力できんが、儂とラビにソラ、この辺りのメンバーで捜索してみることにしよう」

「それはありがたいが、いいのか?」


 霧魔の民がこれまで霧魔花の群生地を探してこなかったり、表舞台に出てこなかったのは、この霧の世界において最強の能力を持つ者として、世界の行く末を左右させずに見守るという体制を取っていたからだ。

 霧魔花が消えれば自身も消えることから、世界の流れと運命を共にするというのが、その行動理念の最も大きな理由だったが、ヒエンはそれを破り自らも動くという。


「見守るだけのつもりじゃったが、前にも言った通りハクラに関しては霧魔の民の落ち度じゃ。それに奴が神にでもなったら世界を壊しかねん。それは儂も望むところじゃない」

「そうか・・・・・・分かった、力を貸してくれ」

「と言っても別行動にはなるじゃろう。基本的には群生地の探索をメインに行うからのぅ。もしハクラと戦闘になる可能性がある動きをする時だけ、予め呼んでくれ。近くにいるようにしよう」


 ヒエンの申し出は大変ありがたかった。

 これで勝てるかは分からないが、戦力的にかなり大きい3人が加わってくれるだけで心強い。


 フィオンもアレから対策を色々と考えてはいるが、これまでの基準とは一線を画す強さのハクラに対する回答をまだ出せずにいる。

 そもそも霧魔の民に対しては攻撃を当てるのも難しい。そのうえ俺の探知を掻い潜る術まであるのだ。

 霧化での回避はヒエン達3人が加われば、霧の理で対処出来るが、一刻も早く探知を掻い潜る高い隠密性に対する何かと、攻撃を当てる手段を考えなくてはならない。

 ハクラと戦う場面で人数だけ揃えても仕方がないことは明白だ。何せ今ハクラに対してほんの少しの勝てる可能性を見出せるのが俺しかいない。

 これでは事実上の1対1だ。


「何かハクラと戦う時に役立ちそうな戦法はないか?」

「そうじゃのぅ・・・・・・すまんが霧の理以外での対応は正直思いつかん。フィオンの嬢ちゃんが考え抜いて未だ答えを出せていないなら、その世界の誰にも分からんじゃろう」


 そう、問題はフィオンが手詰まりしているということなのだ。

 これまで人知を超えているのではないかという程のその頭脳で、あらゆる対策を講じてきたのは紛れもないフィオン。

 そのフィオンが詰まっているのなら、他の誰でも無理だ。


「焦っておるのか?」

「そう・・・・・・かもしれない」


 修行により形成された自信を粉微塵にせれて、俺の心には余裕があまりない状態が続いていた。

 焦っているというヒエンの言葉は的確なものなのだろう。


「気持ちも分からんではない。でもなラクリィよ、どんなに焦っている時でも仲間を信じることは忘れてはいかん。危ない局面、焦る瞬間。フィオンの嬢ちゃんは必ずおぬしを信頼していてくれたはずじゃ」

「それは・・・・・・」


 そうだ、大事なことを忘れていた。

 フィオンはいつだって俺のことを心の底から信頼していてくれた。

 先の戦いでもフィオンが俺を信頼してくれたからこそ、シャクストを倒すことが出来たのだ。


 それなのに俺は焦りが先行して大事なことを忘れていたみたいだ。


「ありがとうヒエン。俺は大事なことを忘れてたよ」

「ふふっ、若者を諭すのは老骨の務めじゃ。なぁに安心せい。フィオンの嬢ちゃんなら必ずおぬしに正しい道を示してくれる。じゃからおぬしは、その時に向けて自身の出来ることをせい」

「そうだな、行ってくるよ」


 吹っ切れた俺は、今まさにハクラに対抗する術を見つけるべくラビとソラと模擬戦をしている仲間達の元へ走った。

 そこにフィオンはおらず、書庫にて情報を集めてるだろう。今俺がそこに行っても邪魔になるだけだ。

 フィオンが俺を信じ、助けを求めて来た時には力になろう。が、今はまだその時じゃない。


 大切なことを胸に秘め、俺は新たな可能性を開いた。

VRくん「強力な仲間が増えたのと、信頼の大切さを再確認した回だったな」

VRちゃん「この作品は仲間との信頼をかなり前面に押してる作品だしね。たまには確認の回があってもいいんじゃないかしら」

VRくん「そうだな。ヒロインとの進展は中々ないけどな」

VRちゃん「一気に恋愛要素を取り入れて作品の雰囲気が壊れるのも嫌だからしょうがないわよ」

VRくん「にしてもなんもなさすぎだろ」

VRちゃん「そこまで言うなら少し話すけど、次章でその辺にも進展があるらしいわよ」

VRくん「次章に入んのっていつだ?」

VRちゃん「まだ少し先ね。まあそんなに遠くないから大丈夫よ。 さて次回! 『対抗策』 お楽しみに~」

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