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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
123/226

そして崩れる

 倒れるシャクストを見つめながら思う。フィオンは有言実行してくれたのだと。

 そちらに目を向けると、シャクラもフュストルも特に先程と変わってダメージを受けたという様子は無かった。

 恐らくだが、フィオンは初めからまずはシャクストを仕留めるという一点は変えずに行動したのだと思う。

 シャクストの予想を上回り、そこで生まれる隙を突いて俺がシャクストに止めを刺すという想定で、フィオンが全てを手玉にとった結果がこれだ。


「ジィ! シャクストがやられた!」

「分かっておる! よもやここまでやるとは・・・・・・」


 ここにきてようやくフュストルが余裕そうな表情を崩した。

 といってもまだ気を抜ける段階ではない。シャクストを倒したといっても、この場には王があと2人いるのだ。


 俺は痛む身体に鞭打って、フィオン達の元に合流した。


「よくやってくれたラクリィ。見事だったぞ」

「らっくん! また新しく攻撃食らったりしてないよね!?」

「ああ、大丈夫だから落ち着けアロマ。それで、ここからどうするんだ?」

「正直戦果としては申し分ない。このまま撤退したいところだが・・・・・・そう簡単にはさせてくれないだろう」

「なら?」

「戦うしかないな。幸いなことにシャクストが消えたのならば、攻撃は完封できるフュストルと、逃げ足が速いシャクラだ。ここらでもう一声あってもいいんじゃないかと思う」

「でもいくらシャクストが倒れたといったも、シャクラがいる状況で仕留め切るのは難しいんじゃない?」


 アロマの意見はもっともだ。俺も最大の力は出せない現状で、シャクラの異能を捕まえ切るのは難しいと考えている。


「意外といけると思うぞ。私の見立てではシャクラの異能は再度使用するためには、一度切り取った空間を戻さなければならない。つまりは若干の隙は必ず存在する。私達が全員で前に詰めれば押し切れるはずだ」

「なら現状フュストルは?」

「無視だ。魔法だけを消してればいい」


 成程、勝算は十分にあるようだ。


「では、いこうか」


 フィオンの合図と共に俺達は全員でシャクラに向けて走り出した。


「くっそ!」


 先行してモメントジャンプでアロマが仕掛けシャクラに異能を使わせる。

 移動先に即座にイルミアが反応。しかしまた避けられる。

 フュストルが魔法を放つのが見えたので、俺とフィオンで即座に消し去る。その間にもミシェとトアンが仕掛けていた。

 段々とシャクラの逃げ場がなくなる。人数を掛けて包囲網を作っているのと、二回に一回のペースでアロマがモメントジャンプを使い仕掛けているので、どこへ逃げても同じことだった。


 シャクラの異能で切り取れる距離には限りがあるようで、それが露呈し始めてからは、さらに強固な法網が完成していた。

 針の穴に糸を通すようにシャクラは逃げ回っているが、流石に限界はくる。

 徐々に攻撃が当たるようになっていき、シャクラは身体の所々から血を流していた。


「クソクソクソ!!! 助けろジィ!!!」


 堪らずシャクラは声を上げるが、それが届くことはない。


「おいジィ! ・・・・・・ジィ?」


 フュストルの姿は既にどこにもない。

 俺の探知はしっかりとその動きを捉えていた。

 フュストルは逃げたのだ。この状況では勝ち目はないと見るや否や、清々しいまでの迷いのない逃走。

 俺達が追う素振りが無いからシャクラは気が付かなかったのだろう。俺達の中ではフュストルを無視することは決まっていたので、そんな素振りを見せるはずもない。


「なんで!? どうして!?」


 叫ぶシャクラを見ていると若干可哀そうな気がしなくもないが、こいつらは自身の為だけに多くの命を失わせてきたのだ。その報いは受けさせる。

 頑張って俺達の攻撃を掻い潜るシャクラ。だが残念なことに、俺達は6人だけで戦っている訳ではない。


「・・・・・・終わりです」


 無慈悲なサギリの声と同時にシャクラの身体に一本の霧の剣が突き刺さる。そこから時間差で、さらに九本の霧の剣がシャクラの身体に吸い込まれていった。

 もう俺達6人以外を気にしている余裕などなかったのだろう。


「こんな・・・・・・認めな、い」


 シャクラは霧の剣が串刺しになった状態で地面に倒れ伏した。

 こうして王の一角がまたしても崩れたのだ。


「私達の勝ちだ!」


 フィオンの言葉と同時に、その勝利を噛み締める仲間達が喜びの声を上げる。

 俺は既に限界が来ており、霧の理と探知を解除した瞬間に意識を失った。


 5人の王のうち2人が死んだ。

 この情報は直ぐに各国に知らされることになり、大きな混乱生む。

 しかし戦争をしている余裕がなくなったということもあり、戦死者の数は減り、むしろ僅かな期間の平穏が訪れたといっても良かった。

 その中で、己が高みへと目指し動く者。とある目的の為に動くものが2人。

 その内の1人が、王を打倒した調査班のメンバーに牙をむこうとしていた。

 王都内で起こった激しい戦闘。それがまだ鳴りやむことは無い。


VRくん「これは……完全勝利と言って良いんじゃないか!?」

VRちゃん「今まで苦渋を舐めさせられてきたけど、ようやく実ったわね」

VRくん「前はシャクスト1人に敗北してたのに、王2人を同時に倒すなんて! やるじゃんミストライフ!」

VRちゃん「でも最後の方で不穏な空気が……このままじゃ終わらなそうね」

VRくん「頑張ったんだから最後までいい展開で終わってくれよ!」

VRちゃん「ぼやかされた2人が気になるところね。 さて次回! 『最強の男』 お楽しみに~」

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