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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
120/226

激しくなる戦闘

 フィオン達が合流してからの戦闘はこれ以上ないと言っていい程こちらが優勢だった。

 片腕を無くし、そこから夥しい量の血を流すシャクストの後ろには、驚いたような表情をしているフュストルと、忌々し気にこちらを睨みつけるシャクラ。後ろの2人には大きな傷はないが、こちらも傷を負っているのは現状俺だけだ。


「いやはやこれは・・・・・・流石に侮っておったのぅ」

「どういうことシャクスト! こいつら聞いてた情報とは比べ物にならないくらい強いんだけど!」

「ぐっ・・・・・はぁ、知らねぇよ! 前に俺様が戦った時は弱かった! 少なくともフィオンとラクリィ以外は雑魚だったはずだ! 一体この一年で何があった・・・・・・」


 シャクストは自身の服を一部千切り、止血の為腕に思いっ切り縛り付けながらシャクラに言い返している。

 やはり知らなかったようだ。俺達が前にシャクストと戦った時から飛躍的に強くなったことを。


「畳かけるぞ!」

「「「「「了解!!!」」」」」


 王達が言い合っているがこちらには関係がないことだ。今のうちに何としても仕留める。


 攻めの陣形は先程と同じだ。フュストルとシャクラの介入を阻止してまずはシャクストを確実に落とす。

 死んでいてもおかしくないような量の血を流したシャクストだが、既に立ち上がり迎撃の準備をしている。

 今の時点で身体能力を何倍に上げているかまでは予測が出来ないが、どれ程強化しても今のシャクストに十全の力を発揮できるとは思わない。

 ならば臆することなく戦うだけだ。


「全くさぁ、嫌になるよね。僕らは王だよ? お前達は大人しく頭でも下げてろよ! シャクスト、まだやれるよね?」

「あ? 誰にもの言ってんだチビ。大人しくサポートしとけ」

「はぁー、これだから脳金は・・・・・・やるよジィ」

「おぬしもほとほと礼儀を知らんのぅ。まあいいわい、舐められたままじゃ王としての威厳がのう」


 走るトアンに向けてシャクストは先程のことを繰り返すように逆の拳を握りしめて地面を蹴った。

 だが、トアンの射程に入るギリギリのところでシャクストが消えたと思うと、最後尾にいるアロマの背後から殴りかかっていた。


「アロマ!?」

「大丈夫!」


 俺の声に咄嗟に反応したアロマは、モメントジャンプで難なく回避する。

 だがモメントジャンプで飛べる距離はそこまで長い訳ではない。回避先を即座に見つけたフュストルが小さいハンドサインだけでシャクストに指示を出すと、またしてもシャクストの姿が消え、アロマの直ぐ目の前に現れる。

 流石にこの速さではモメントジャンプのクールタイムが間に合わない。それを見かねて即座にカバーに入ったのはフィオンだ。

 シャクストのパワーでも関係なくガード出来るフィオンがカバーするのならば大丈夫だ。そう思った瞬間、俺の探知が真横にシャクストの反応を捉える。

 あまりに突然の出来事に驚き、それにより生まれた一瞬のラグで俺は取れる行動が限られてしまった。

 迷っている場合ではないので即座にボディーミストを使う、だが、それは読まれていたようで、拳を振り切る前にシャクストは消えた。

 次に姿を現したのはミシャのとこだ。ミシャには、シャクストの攻撃を受けれる手段がない。

 俺は即座に実体化をして、霧の剣をミシェとシャクストの間に割り込ませてミシェを守った。


 良くない展開だ。完全に翻弄される形になっている。

 どうにかして状況を好転させないといけないと考えていると、同じ考えだったフィオンとアロマが、同時にシャクラに向けて魔法を放った。

 するとシャクストの手が止まり、代わりにシャクラが一歩踏み出して距離を稼ぎ魔法を回避した。


 このやり取りで、シャクラのスペースカットは同時に二ヶ所に効果を及ぼすことが出来ないということだ。

 つまりはほんの少しだけシャクストの動きが通常に戻る。今が攻め時だ。


 カバーカバーで多方向を向いていた俺達は再びシャクストに向けて走り出す。

 そこに大質量の魔法が飛んできた。

 フュストルも絶妙なタイミングでカバーを入れてくる。

 俺とフィオンは魔法に向けてサギリと手を翳して魔法を全て打ち消した。

 しかし、そこに時間差でさらに魔法が飛んでくる。俺とフィオンは下げかけた腕を再び上げることになった。


「これでもダメか。大した力じゃ」


 フュストルが感嘆の声を上げているが、そんなものに構っている暇は無い。俺とフィオンが魔法を打ち消している間にシャクストは動いていた。

 魔法を打ち消している一瞬はどうしてもそちらに意識が向いてしまう。その隙を上手く突かれた形となった。

 それでもどうにか捌いているのは、先程の攻防で警戒するには十分だったため、予め予測していた仲間達の戦闘センスによるものだろう。


 俺とフィオンは即座に戦闘の中心の戻り、また捌いて捌かれての繰り返しとなった。

 互いに状況を動かすには、何か大きな決定打が必要になる。それを先に上手く引き出すのは果たしてどちらになるのだろうか。

 戦闘はさらに激化していく。


VRくん「あのまま勝ち! とは流石にならなかったか」

VRちゃん「この世界最強の3人はそう簡単に崩れてはくれないわね」

VRくん「なにか、なにか後少しあればいけそうなのに」

VRちゃん「その少しを掴むのはミストライフか五芒星か、どうなるかしらね。 さて次回! 『決定打』 お楽しみに~」

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