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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
119/226

反撃

 俺達全員の猛攻に、シャクストは反撃の余地もなく後退していた。

 前に戦った時とは比べ物にならない程強くなった俺達を、流石の王といえども1人では相手に出来ない。シャクストの身体には着実に傷が増えていた。


「のわァ!!」


 イルミアの剣を受け止めきれなかったシャクストは地面に倒れる。

 そこをすかさず、ミシェの武器である連接剣が鞭のように撓り襲い掛かった。

 だがシャクストは巧みに身体を動かし、転がってそのまま起き上がる。


「いけ!」


 立ち上がったシャクストに対してアロマが魔法の雨を降り注ぐ。シャクストは身体能力を活かして回避をするが、流石に全てを避けることは出来ずに、アロマの魔法が所々シャクストの身体を焼いた。


「クソがァ!!! 調子に乗ってんじゃねぇ」


 腕を振り上げ近い奴から処理していこうとしたシャクストだったが、大きく飛び上がったフィオンと正面から素早く接近したトアンに意識を取られる。

 一瞬の隙が出来た後トアンに殴りかかったが、トアンの剣がシャクストの腕を大きく斬り裂いた。

 果物を剝くように斬り裂かれたシャクストの腕から血が飛び散る。

 そしてダメ押しとばかりに上からフィオンのマフラーから伸びた刺がシャクストのもう片方の腕を貫いた。


「終わりだ。安心しろ、他の王もすぐにそっちに送ってやる」


 俺は先程のお返しというように同じ言葉を放ち霧の剣と共にシャクストに斬りかかった。

 シャクストならば反撃してきそうな場面だが、俺の気迫も合わさり、シャクストは一歩引く。

 一歩程度ならば問題無くサギリと霧の剣が届いたのだが、いつのまにかシャクストはかなり後方の方にいた。


「全くなにやってるのさシャクストー。こんな奴らにここまでされて恥ずかしくないの?」

「ちっ、うるせぇなシャクラ。まずはてめぇから殺してやろうか」

「これこれやめんか、みっともない」


 俺の攻撃が届かなかった理由はシャクラだった。こちらの様子を見て、流石に寄ってきたようだ。


「さーて、こっからは僕たちも本気を出そうかな。あんまり王をなめられても困るしね」

「そうじゃな。灸を据えるのはここらが丁度いいじゃろ」

「そう簡単にいくと思うか?」

「まあそう言うまいてフィオンちゃん。歳をとると物事を大きく言いたくなるんじゃよ」


 相変わらず掴みどころのない喋りをするフュストルは、未だに余裕そうな表情を崩さない。

 今からは、その余裕を崩してやる時間だ。


 初めに動いたのはトアンだ。

 俺が怪我で満足に動けない為トアンは率先して前衛を張ってくれる。


 向かって行く先は相手の前衛であるシャクストだ。俺もトアンに続いてフィオンと共に前に出た。


「そうはさせんよ」


 フュストルは近づけまいと大量の魔法を放つ。

 魔法はトアンに一点集中して迫っているが、トアンは足を止めることはしない。

 それは一重に俺達への信頼を示していた。


「やるぞラクリィ」

「分かってる」


 フィオンは手を、俺はサギリを魔法に向け構えた。

 次の瞬間には大量に迫っていた魔法が一つの影も残らずに消え去る。全て俺とフィオンが消したのだ。


「なんじゃと!?」


 流石のフュストルもこれには驚いたようで声を上げた。

 その間にもトアンはシャクストに迫る。


「させないよ!」


 そこの割り込んできたのはシャクラだ。

 自信がではないが、空間を切り取りナイフを投げ、気付けばナイフはトアンの目の前だ。


「させない」


 さらにそこに割り込んだのがイルミアだ。持ち前の速度を活かして別の方向から走ってきており、トアンの前を通り過ぎる瞬間にナイフを弾いた。

 これだけでは終わらない。後方にいたアロマはシャクラの動きを正確に捉えており、ナイフを投げた瞬間にアロマもミールお手製のナイフを投擲していた。

 スペースカットは空間を切り取る異能、その効果は全てのものに適応される。

 アロマが投げたナイフはある一定の場所を超え瞬間移動したようにシャクラの足元に刺さり弾けた。


「うわぁ!!」


 金属で出来たナイフの破片が弾けたことで金属片が飛び散りシャクラに襲い掛かる。

 想定していなかったアロマの攻撃にシャクラは対応出来ずに身体に数か所の傷を残す結果となった。


 王2人の行動を完全封殺したことにより疑似的にシャクスト対トアンの構図が出来上がる。

 仕方がないと拳を握りシャクストもトアンに動いた。2人の間にはまだ若干の距離がある。

 だがシャクストは知らない。トアンの武器、裂剣に付与された新しい能力を。


「はぁっ!」


 トアンの気合が乗った振り下ろしと共に裂剣が伸びる

 それは2人の間の距離を埋め、シャクストの手首を意図も容易く斬り飛ばした。


「ぐっあああ!!!」


 シャクストは悲鳴に近い声を上げて腕を押さえた。

 そこに止めとばかりにトアンは追撃に出たが、今度はシャクラが自身の身体で割って入った。


「ほんと、調子に乗りすぎだって!!」


 シャクラは短剣を構えており、トアンは剣を振りかぶっていることもありガードは間に合わない。


「私も忘れないでよね!」


 そのシャクラの短剣を弾いたのはミシェだった。

 連接剣がトアンと避けるようにして伸びていきシャクラのナイフを弾くと同時に手にも傷を残す。


「いたぁ!」


 シャクラは若干涙目になって再び下がって行った。

 するとどうなるか。トアンの裂剣は何にも阻まれずにシャクストに襲い掛かる。

 シャクストは痛みを必死に抑えて身体を捻り、何とか斬り飛ばされた方の手首をさらにそぎ落とされる程度で済ませた。


 一連の攻防での結果は王2人が一方的に血を流すという結果。

 勝利は目前に迫っていると思えた。


VRくん「きたきたァ! これが見たかったんだよ!」

VRちゃん「完全に逆転してるわね」

VRくん「圧倒的だミストライフ!」

VRちゃん「このまま勝ってくれるといいわね。 さて次回! 『激しくなる戦闘』 お楽しみに~」

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