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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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サギリ

 こうしてサギリと話せるようになったからには、聞いておかなければならないことがある。


「それで、サギリには一体どういった能力があるんだ?」


 ヒエンから予め聞いてはいたが、どうせならば直接聞いた方が詳しく分かるだろう。それに、ヒエンが知らないことも知ることが出来るはずだ。


「前の使用者、ラクリィの父親に当たる方は手から離れたボクを手元に戻したりしていましたね」

「他には何か出来るか?」

「どうでしょう・・・・・・ボクはあくまでも使用者が霧を操るのをサポートするだけですから。剣を手元に戻していたのも、ボクを霧化させてそれを操り引き寄せていただけですよ」

「そうなのか。じゃあ霧を操るのをサポートするというのは、実際どんな感じにやってくれるんだ?」

「それについてはボクの本体に霧を流してくれれば分かりやすいと思います。試しにやってみましょうか」


 そう言ってサギリは吸い込まれるように剣の中に消えていった。


「さあ、やってみてください」

「その状態でも喋れるのか」

「喋っている訳ではありません。意志をラクリィに飛ばしているだけなので、他の人には聞こえませんよ」

「そうか・・・・・・」


 あまり理解は出来ないが、考えてばかりでもしょうがないので、とりあえずそういうものかと納得しておく。


 俺はサギリを片手に持ち、今となっては身体の一部のように操ることが出来る自身の中の霧を、流し込むというイメージを持ちながらサギリに送っていく。

 そういえば、昨日までとは違い、サギリを持った時に繋がっているような感覚があった。


「その状態で探知をボクを中心にするように発動させてみてください」

「分かった」


 言われた通りに探知を発動させてみる。繋がっているという感覚は先程あったので、イメージは簡単だった。

 俺は探知を発動させて、その効果範囲の広さに驚いた。

 ミストライフの拠点は大きく、今までの俺の探知では全体のうちの四分の一も映らなかったのだが、今俺の探知には半分ほどが映っていた。

 単純に考えて効果範囲が二倍になったのだ。これには驚きもするだろう。


「凄いなこれは・・・・・・」

「お気に召しましたか?」

「ああ、正直感動してる」

「それは良かったです」

「なあ、これって他の能力も強化されるのか?」

「ボクを通して能力を発動させれば強化されるはずですよ」

「色々と試してみるか。少し外に行こう」

「いいですね。外の方が過ごしやすいのでボクは賛成です」


 霧魔の民専用に作られた宝剣であるサギリにはやはり外の方がいいようだ。

 まだ朝も早く、誰にも会うことはなく外まで出てきた。

 何だかんだ帰ってきてからは外に出ていなかったので、この白い世界は久々だ。

 俺はまず霧呼吸をして自身の中に霧を最大まで溜めこむ。


「まずはソードミストとボディーミストからかな」

「あ、言い忘れてました。ラクリィがソードミストと呼んでいる剣を霧化させることにあまり変化はないと思いますよ。そもそもアレは今の状態で最大限の力だと思います」

「なるほど。ボディーミストはどうだ?」

「そちらも変化はないかと。と言うよりも、ボクを通して発動することがまず出来ないですね。ラクリィ自身に効果を及ぼしているのでボクに霧を送っても意味がありません」

「あー、言われればそうだな。なら霧分解からやるか」


 俺は近くにあった岩にサギリの切っ先を向ける。そこから自身の霧を流して霧分解を発動させる。しかし結果は何も起こらなかった。


「何も起こらないな」

「恐らくは距離が強化されているのでしょう。霧分解という能力は、分解という一点においてはこれ以上ない程完成されてるはずですから」


 俺は試しに体内に取り込まなくとも自身の霧に出来る範囲、最近では霧の領域と呼んでいるが、その外にある岩目掛けて霧分解を発動させた。

 霧の領域外に出た俺の霧は、基本的には直ぐに通常の霧に戻ってしまい操ることが出来なくなってしまっていたのだが、サギリを経由させて放った俺の霧は外である程度時間が経っても問題なく操ることが出来た。

 そのままいつもの要領で霧分解で岩を消し去る。


「いいなこれ」


 範囲がこれだけ伸びれば、俺の反射神経と合わせて、相手が魔法を放った瞬間に消し去ることも出来そうだ。


「次は霧の理か」


 どのように強化されてるか、考えられる可能性は少ない。

 俺はフィオンと戦った時と同じように十本の剣を生み出す。


「霧の理、その意思よ剣であれ」

「その意思よ剣であれ」


 俺が言霊を使うと、復唱するようにサギリも意志を放った。

 するとサギリに吸われるように言霊が剣に吸い込まれていき、そのまま剣から言霊が放たれた。

 それは霧で生み出した剣にぶつかると、確かな力が剣に宿った。

 それだけではない。これまで剣を維持するために要していた集中力が緩和されたようで、少し気を緩めても発動させていることが出来ていた。


「なんだこれ・・・・・・なんていうか、凄く楽だ」

「剣を維持するための意志をボクが肩代わりしているからでしょう」

「サギリ・・・・・・お前、思ってた以上に凄いよ」

「役に立てたようでボクも嬉しいです」


 なんでこんな奴を今まで忘れていたのだろうと後悔する。

 俺達は折角なので、このまま色々と試して行こうということになり、結局戻るのは昼過ぎになるのだった。


VRくん「馬鹿みたいに強くなったばっかなのに、この主人公また強くなりやがったよ」

VRちゃん「まあそれだけこの章、というより霧魔の民について進展があったのはラクリィにとっては大きいことだったってわけね」

VRくん「にしても限度があるだろう! 他の仲間完全に置き去りにしてんじゃねえか!」

VRちゃん「逆に今までは主人公なのに無双したりってなかったしいいんじゃない? それにこの作品のことだから、これでもまだまだ普通に苦戦するんじゃないかしら?」

VRくん「それは……否定できないな」

VRちゃん「でしょ? だから今後の活躍に期待しましょ! さて次回! 『新しいメンバー?』 お楽しみに~」

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