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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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忘れてたこと

ついにアレが……

 ミストライフの拠点に帰ってきてからしばらく経ったある日。俺はすっかり忘れていたことを一つ思い出した。

 それは俺の持つ剣、アメノサギリのことだ。

 霧魔の民の村にいったばかりの頃の俺ではまだ使いこなすことは出来ないとヒエンから言われていたが、今ならばどうなのだろう? 霧魔の民としてそれなりの能力を手にした今であれば、この剣にある力を使うことも出来るのではないか?

 聞いている剣の能力は、持ち主の霧を使う能力を強化してくれること、手から離れても念じれば戻ってくるという能力の二つだ。

 それ以外にも何か秘めていそうだが、それは使っている内に知っていくしかないだろう。


 早速能力を使えるか試してみる。

 部屋のテーブルびアメノサギリを置いて、俺はベットの上に座り頭の中で手元に戻ってくるように念じてみた。

 心の中でアメノサギリに話しかけるような感じでやってみる。しかし、アメノサギリはテーブルの上からうんともすんともいわなかった。

 なんだろうか、こちらから一方的に話しかけているだけのような感じがする。アメノサギリからは何も感じない。

 宝剣クラスの剣には意志のようなものが宿っているらしく、実際にアロマはそれを感じており、グラムの性格のようなものまで読み取っていた。

 俺には現状そんなものは感じない。まだアメノサギリに認められていないのだろうか。

 ヒエンが言うには、親父はアメノサギリと会話をしていたらしい。つまりはアメノサギリにも明確な意志、それどころか人に近い感情まで備わっていそうであった。


「なあアメノサギリ・・・・・・俺を持ち主として認めてくれないのか?」


 試しに話しかけてみたが、何も返答はない。


 その後も色々と試してみたが、大した成果は得られなかった。

 アメノサギリの話を聞いてから半年、全く向き合うことをしていなかったので、なんの進展もないのは当たり前だろう。

 勿論諦めるつもりはない。時間は掛かっても必ずアメノサギリに認めてもらう。


 その日から、俺は常にアメノサギリを持ち歩くようにし、暇さえあれば話しかけ、寝る時はすぐそばに置くようにした。

 この行動が果たして正解なのかは分からないが、俺がこうだと思ったことは積極的に行うようにした。



 そして、それなりの日々が過ぎたある日の朝。目を覚ました俺の目の前には、見知らぬ少女が映った。

 あまりの驚きに声が出なかった。ミストライフのメンバーではないことは確かだ。ミストライフのメンバーは、関わりの薄い人であっても全員顔を見れば分かる。

 つまり考えられえる可能性は限られてくる。誰にも見つからずに侵入した何者かか、もしくは――――――


「使用者の起床を確認。これより言語による接触を図ります」

「あー、君は・・・・・・?」

「おはようございます使用者。ボクの名前はアメノサギリです」


 脳裏に過った可能性が現実となった。


「えっと・・・・・・つまり君は剣、アメノサギリなのか?」

「その通りです使用者。今は使用者の霧を借り受けてこの姿をとっています」

「イマイチ理解が追い付かないが、とりあえず使用者って呼び方は辞めないか?」

「ならなんとお呼びすれば?」

「普通にラクリィでいい」

「それは使用者の名前ですね。分かりました、以後ラクリィと呼ばせていただきます」


 俺と同じ髪の色をした少女? はラクリィが俺の名前だとしっかり認識しているようで、前々からちゃんと俺のことを分かっていたようだ。

 それにしても不思議なものだ。まさか剣がこうして人の姿で俺の前に現れるなんて。

 背はあまり高くなく、顔つきも幼めだ。よく見れば若干フィオンに似ている気もする。髪の長さも同じくらいだ。子供のフィオンから表情を取ったような感じだろうか?


「容姿に関しては、ラクリィがここ最近一緒にいる時間が長い人物を参考にさせていただきました」

「あー、それでか・・・・・・」


 やはり顔つきや髪はフィオンに寄せているらしい。幼く見えるのはルコとミールの影響だろう。


「で、こうして姿を現してくれたってことは、俺のことを認めてくれたってことでいいのか?」

「その解釈には語弊があります。ボクは相当昔からラクリィを持ち主と認めています」

「じゃあなんで今まではこうして出てきてくれなかったんだ?」

「出てこなかったのではなく出れなかったんです。ボクは普通の宝剣のように魔力を使い使用者に意志を伝えるのではなく、霧を用いて意志を伝えるのです。ラクリィがボクにいつまで経っても自身の霧を送りこんでくれなかったから出てこれなかったんです」


 拗ねるように言うアメノサギリだが、そんなこと言われてもしょうがないだろう。

 自身の霧を剣に流し込むという方法など、何も言われないまま出来る訳がない。

 ソードミストは、厳密に言えば霧で包む行為なので、それではアメノサギリが言う送り込むという条件をクリアしていなかったのだろう。


「悪かったよ。でもこうしてアメノサギリと会話出来て良かった。今まで何度も助けられてきたが、今後もよろしく頼むよ」

「助かっていたのならば良かったです。今後はさらに約に立てると思うので任せてください。・・・・・・それからボクのことはサギリと呼んでください。アメノサギリでは長いでしょう?」

「分かったよサギリ」


 あまりにも突然だったが、こうして俺は少女の姿をして現れたサギリと話すことが出来たのだった。


VRくん「やりやがったよ作者……」

VRちゃん「まさかここで擬人化をさせるなんて……」

VRくん「どんな状況からでもキャラを登場させる禁じ手をまさか使うなんて。俺は信じてたのに……」

VRちゃん「アメノサギリの件自体はどうなったのかずっと気になってたけど、この時のために触れていなかったのね」

VRくん「突然のキャラ登場は1話1話の文字数がそこまで多くないこの作品でやると読者が付いていけなくなりそうなんだが、大丈夫か?」

VRちゃん「さあ? 酷い日だと10時間以上本を読み漁ってる作者が大丈夫だって思ったんだから大丈夫なんじゃないかしら? 知らないけど」

作者「アリだと思う」

VRくん「ん? 誰か通ったような……」

VRちゃん「気にしたら負けよ。 さて次回! 『サギリ』 お楽しみに~」

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