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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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VSフィオン1

ラクリィ対フィオンを書いてる時が一番楽しいです

 まだ模擬戦が始まってから間もないが、フィオンに中で何かが変わっているのは、なんとなく察することが出来た。

 新しい能力のようなものはフィオンは獲得していないはずなので、単純に戦闘の幅を広げ、質も底上げされたのだろう。

 研ぎ澄まされた戦闘スタイルに、こちらを誘導してくるような戦闘運びは、確かな修行の成果が見て取れた。


 ここまでの流れは俺が劣勢だった。


「どうした? こんなもんかラクリィ?」


 激しい攻防の中フィオンは俺を挑発するように言葉を発す。

 決して煽る為に言っているのではなく、まだ使っていない俺の能力を早く見せてみろとでも言いたげな、そんな表情だった。

 期待が入り交ざったことを言われてしまえば、それにこたえるしかないだろう。


「いくぞフィオン・・・・・・」


 小手調べは辞めて、俺も修行の成果を存分に発揮させる。

 フィオンの攻撃を回避しながら、的確に飛んでくる魔法に触れるように手を翳して霧化させてそのまま打ち消す。

 全ての魔法をこうして霧化させられることが出来るかは分からないが、フィオンの使うアイスブラストのような、物理的に相手に影響を与えるものであれば霧化させられるのではないかと考え試してみたが、やはり出来るようだ。


「なっ!?」


 驚きの声を上げたのはフィオンではなくラビだ。離れていてもこうして驚いている声が聞こえるということは、それだけ俺のやってことに対して驚いているということだろう。

 ラビの強さを俺は知らないが、この芸当は物の完全霧化を出来ても、そう簡単に出来ることではない。

 自分で言うのもアレだが、高い反射神経、動体視力を持っている俺だからこそ、かなりの速度で迫り、且つタイミングを計りずらい魔法をこうして打ち消すことが出来るのだ。

 それに加え、俺は一定範囲ならば自身の霧とし操ることが可能だ。つまりは、俺にある程度の余裕があれば、知覚できている魔法ならば全方位打ち消すことが出来るのだ。

 やろうと思えばフィオンのマフラーも霧化で消すことが出来そうだが、流石に仲間の唯一無二の武器を消すことは辞めた方がいい。


 フィオンは魔法は有効打にならないと判断して、牽制手度にしか使ってこなくなった。

 攻めが多少緩くなったことで形勢が逆転し、今度は俺のターンとなる。

 ボディーミストを織り交ぜながら、多方向から攻めていく。フィオンの異能の特性上相手が攻めてくる方向で対処できなくなるということはないが、単純な身体能力で勝っている分、俺の方が状況的には有利だった。

 フィオンの持ち味である機動力を阻害する形になり、その場でガードに専念させることに成功した。


「やるな。だが、まだまだこんなもんじゃないぞ? アイスエリア!」


 フィオンは身を屈めたと思うと地面に手を当て魔法を発動させる。

 するとフィオンを中心に、地面に氷が張り巡らされていき、あっという間に不安定な足場が形成された。

 こんな状態の場所では、満足な攻撃は出来ない。

 そんな中、フィオンは何も気にした様子もなくこちらに突撃してきた。

 自身の足場だけをどうにかしているという訳ではない。バランス感覚だけで走っているのだ。

 間合に入った瞬間、マフラーを地面に突き刺して、先程のように重たい一撃を放ってくる。

 踏ん張りの利かない足場ではそれを受け止めることは出来ず、俺の身体は簡単に吹き飛ばされた。

 多少の身体の痛みがくるが、大きなダメージは無かった。

 しかし、このままではいずれ押し切られてしまう。


「やるか・・・・・・」


 足場の悪い中での、満足のいく攻撃択を持っているのはフィオンだけではない。


「霧の理、その道に剣あれ」


 俺は新たに得た切り札を切った。

 言霊と共に俺の周囲には、確かな力を持った剣が五本出現する。

 ヒエンは一本の剣で限界のようだったが、俺は最大五本の剣を同時に扱うことが出来る。切れ味もヒエンのものよりも高い。

 探知で見えたヒエンの顔には、やはり驚きの表情が浮かんでいた。


「きたか」


 ラビとソラとの模擬戦で霧の理は見たことがあったのだろう。相変わらずフィオンの顔には驚きがない。

 対処する術は普通に持っていそうだった。


 俺は剣を操り、フィオンに向けて攻撃する。

 霧の理であれば足場が悪くとも関係はない。その代わりに、自身の意識のリソースを剣の方にそれなりに持っていかれる。

 この状態で俺自身を激しく責められると対処が厳しいが、そう簡単にはいかない。

 人の身からは絶対にこない軌道で攻撃する五本の剣は、再びフィオンに防御と回避を強要させた。

 五本の剣の中で舞うフィオン。このままいけばいつかはその剣がフィオンを捕らえるだろう。

 探知により的確にフィオンの動きを見ているため、物陰などで見失うこともない。


 果てしない集中力により疲れが激しく、額に汗が流れてくるが、あと少しで訪れるであろう勝利のために、俺は剣に向ける意識をさらに強めた。


VRくん「フィオンの戦闘に大きく変わったことはないが、詰めの確実性が上がってる感じだな」

VRちゃん「それでも今のところはラクリィが優勢ね」

VRくん「このまま終わっちゃうのか?」

VRちゃん「それはどうかしら? 霧の理を事前に知っているフィオンが何の対策もしていないとは思えないけど」

VRくん「でもどうやって状況を打開するのか想像もつかないな」

VRちゃん「頭の良いフィオンがどういう選択肢を取るのか楽しみね。 さて次回! 『VSフィオン2』 お楽しみに~」

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