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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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修行の成果

 久々の仲間達との会話はとても楽しいものだった。

 だが、お互いが何を出来るようになったか、どの位強くなったかなどは秘密にしようということになり、どのくらい強くなっているのかは知らない。どうせすぐに知ることになるだろう。

 俺の能力に関しては、ラビやソラも使えるようなのでバレていそうな感じはするが、それはそれでどう対処してくるのか気になるので楽しみであった。


 フィオン達がいつも模擬戦をやっている所にくると、当然のようにラビとソラ、そしてヒエンがいた。


「今日からはラクリィも交えて模擬戦を行う。いつものように2人と戦ってもらうのでもよかったのじゃが、折角じゃ、ラクリィがどのくらい強くなったのか気になるじゃろう?」


 挑発的にフィオン達に言うヒエンだが、霧の理に関してはヒエンも俺がどこまでの力を付けたのかは知らない。


「ラビとソラよ、この中でラクリィと1対1で戦わせるなら誰じゃ?」

「そりゃフィオンだろうよ。その女ははっきり言ってやべぇよ」

「そうですね・・・・・・私もラビと同じ意見です。アロマさんでもいいとは思いますが」


 ラビとソラの中で最も評価が高いのはフィオンのようだ。ソラはアロマも推しているようだが。

 別に他の皆が弱いという訳じゃないだろう。だが、霧魔の民として俺よりも理解が深く、長く能力を使っていた2人が言うのであれば、今の俺と模擬戦をするのに最適なのはフィオンのようだ。

 恐らくここに来たばかりのフィオンはここまで言われるような強さではなかったのだと思う。俺が知らない間の数か月で確かな力を身に着けたのだろう。

 フィオンがどこまで強くなったのか、気になって仕方がなかった。


「やろうかフィオン」


 衝動的に俺はフィオンに言葉を投げる。


「そうだな・・・・・・前回は決着も付かなかったし、その続きといこう」


 フィオンの方もやる気は十分といった様子で、余裕すら感じる笑みを浮かべて乗ってきた。


「決まったようじゃな。ラクリィよ、能力は使えるようになっただけで満足してはいかんぞ?」

「分かってるさ」

「ならよし。戦闘終了後にアドバイスはしてやるのでな、存分にやれ」


 俺も能力を得た後の初めての戦闘で存分に使いこなせるとは思っていない。練習という意味で言えば、多彩な戦闘スタイルをとるフィオンは絶好の相手だ。


「アロマさん、この戦闘は勉強になるでしょう。目を離してはいけませんよ?」

「うん! 分かってる」

「ラクリィ、あんたがどんだけ強くなったかは知らないが、覚悟はしといた方がいいぞ。今俺がフィオンとタイマンでやり合っても勝てる自信はないからな。気、抜くんじゃねえぞ?」

「お前も相当強いんだろラビ? そのお前がそこまで言うんだから全力でいくさ」


 ソラはアロマに、ラビは俺にそれぞれ声を掛けてから離れていった。

 全員が戦闘に巻き込まれないところまで移動していき、その場には俺とフィオンだけが残る。


「私はこうして模擬戦をすることが少なくてな、仲間とはあまり戦ったことはなかったんだが、ラクリィ、お前とは既に三度目だな」

「三回目か・・・・・・毎回フィオンには驚かされてばかりだからな、今回は俺が驚かせてやるよ」

「ははっ、言うじゃないか! 言っておいくが、前回の私だとは思わない方がいいぞ?」

「楽しみにしてるよ。勝つのは俺だがな」

「いいや、私だ」


 フィオンとは仲間であり、ライバルのような関係でもあった。だからこそ思う、勝ちたいと。

 能力を戦闘の中で使いこなせるかと言われれば、完全には無理だ。だがそれは負けていい理由とイコールではない。

 使いこなせないならば、戦闘の中で少しずつ、自分に合わせて使えるようになるだけだ。


 俺は剣を抜く。同じくフィオンもマフラーから剣を生み出して両手に構えた。

 既に二回同じくこうして向かい合っているが、フィオンから感じる圧に変化はない。それを感じれば自然と気が引き締まる。


「おぬしらならば大丈夫じゃと思うが、寸止めは徹底せよ。それでは・・・・・・始め!」


 緊迫する空気の中、ヒエンから開始の合図が出された。


 俺とフィオンは同時に地面を蹴り接近する。

 それなりに距離はあったはずだが、俺達の速度の前では些細な距離だった。


 初撃からお互い仕掛けることはせずに、予定調和のように剣同士がぶつかり合う。


「っ!?」


 ぶつかり合う剣と剣。いつもならば一瞬の鍔迫り合いの後フィオンが持ち前の体捌きによる体重移動で力を受け流すのだが、今回は違った。フィオンは受け流さずにそのまま力で圧してくる。

 筋力ならば俺が勝っているはずなのだが、完全に俺が圧されていた。

 よく見ると、フィオンはマフラーを地面に突き刺して土台を作り、さらには徐々に形をこちらに倒れ込むように変えていた。

 単純な筋力ではなく、自身の持つ手札を有効活用して足りないものを補っている。やはり一筋縄ではいかなそうだ。

 ここは退くしかないが、負けた訳ではない。修行の成果を見せるのはこれからだ。

VRくん「やっぱり戦うのはフィオンか」

VRちゃん「ラビとソラの可能性もあったけど、どうせなら2人まとめて修行の成果を見れる方がいいってなったのね」

VRくん「フィオンがどこまで強くなってるのかも期待だな」

VRちゃん「それなりの間修行してたんだし、かなり強くなってるんじゃないかしら?」

VRくん「そのうちアロマの成果も見れるといいな」

VRちゃん「サイドストーリまであったんだからちゃんと出てくるわよ。 さて次回! 『VSフィオン1』 お楽しみに~」

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