我輩は『ホヤ』である 和名はまだない
我輩は『ホヤ』の一種である。和名はまだない。
学名は、『Phallusia mammillata』である。
もちろん、こんなものは日本語に訳せるわけがない。
正確に言えば、これを直訳して、なろうで無事なわけがない。
誠にひどい学名だ。
ホヤには、もとより、手も足もない。
泳ぐこともなく、岩に固着してそのまま生涯を終えるのだ。
ずっと波に揺られているだけである。
これでも、れっきとした動物である。ウニやイカよりもヒトに近い動物だ。
我輩は、入水孔から海水を吸い込み、プランクトンを濾過し、出水孔から排泄物を出すのである。
やることは、これだけだ。
あとは、適当にボケーとして過ごす。
ネットサーフィンやソシャゲに忙しい人々よりも、我輩の方が暇である。
我輩は、波に乗るのではなく、波に揺られるだけであるからな……。
これこそが真のスローライフだ!
おっと、一つ言い忘れていた。
我輩が、出水孔から出すのは排泄物だけではない。
『配偶子』も出すのだ。
我輩は、雌雄同体である。つまり、オスとメスの区別はない。
夜明けの太陽の光に反応して、卵と精子の両方を、朝焼けの海の中に放出するのである!
もちろん、太陽の光に反応するのは、我輩だけではない。
我輩の周りにいる、同種のホヤたちが、みんな一斉に! である。
さて……、
勘のいい読者様なら、我輩の学名がなぜ『Phallusia mammillata』であるか? を理解していただけたであろう。
誠にひどい学名だが、これを名付けた研究者は『本質を見抜く天才』だったに違いない。
さぁ、我輩の和名は何と付けられるのか?
有能な読者の知恵をお借りしたいものである。
なんてな、はっはっはっ。
(完)
詳しい姿は学名でググってください。白いホヤです。2つ見える穴が、入水孔と出水孔です。
命名に関して、私には何も権限はございません。それでも、何か思いついた方は遠慮なく感想欄にお書きくださいませ。ちなみに、R15指定はしていませんので、配慮をいただけると幸いでございます。
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