あらすじ
幼馴染に振られるところからスタート。
幼稚園の時に好きになり、「ヒーローになったら結婚してあげる」という言葉を(当時は)信じ、小学校時代はいろいろと手を出し、中学からアメフト一本に絞って打ち込む。
アメフトは中学三年の時に県大会で準決勝敗退、全国に進めはしなかった。
それでも一縷の望みにかけ告白し、見事撃沈。
主人公は高校は幼馴染と別の学校とか考えたが、そんな無駄なことはせず普通に学力で高校を選ぶ。幼馴染も同じぐらいの学力だったため、同じ高校に進学する。
高校入学後、幼馴染はサッカー部のイケメンと付き合いだす。
なお、サッカー部はとても弱く、イケメンも「楽しくサッカーできればいい」と、そこまで勝ちにこだわらない(そして本気で挑むのはダサい、こだわらない俺かっこいいと思っている)
主人公、これまでの頑張りが無駄だったと落ち込む。
高校一年の冬、主人公はクラス女子の一人に誘われ、互いの性的な好奇心から初体験をする。
そんな主人公の周りに性的に奔放というか彼との体だけの関係を肯定する女子が集まり、グループ化する。
そして彼女たちの事情を知り、仲を深めていく。
そうやって関係を作っているとグループの悪い噂が流れだし、幼馴染が心配するようになる。将来どうするのだと。
主人公に関係をやめ、普通の生活をするように言うが、主人公は頑なにそれを拒否する。
恋人でも何でもない、ただの幼馴染の言葉には従えないと。
この頃には付き合いが相当希薄になっていたので、普段から付き合いがあったならともかく、いまさら何を言い出すのかと逆に咎める。
何よりも彼女たちの事情を知る身としては、友人として見捨てたくないと胸を張る。
そうやって関係維持を図る主人公だが、グループの仲間たちは主人公を思い、離れていくことを決意する。
将来を考えると、自分たちが主人公の重荷になると考えたからだ。
しかし主人公はそれにも抗う。
彼女達を繋ぎ留めようと必死になり、三人とも養えるような男になろうとするが。そんな努力の甲斐なく、三人は離れていく。
三人が主人公に無理をさせたくないと、そうは言っても努力を、目標を否定されたと主人公は傷つく。
努力しても結果を出せない。
そのことを突き付けられる結果になった主人公は自暴自棄になり、高校にも行かず、家を出てしまう。
自分たちのやったことが間違いだったと、いまさら気が付く幼馴染と三人。
本心はどうあれ、主人公の努力なんてどうでもいい、自分たちに何も関係ないと、そう言い続けてしまったことに。
努力は実らない、努力はいつだって自分を裏切る。
そんなやけっぱちな考えでフラフラする主人公。意識も定かでない状態でいたので事情は覚えていないが、怪しい店で住み込みで働くことになる。
しばらくして幼馴染は主人公を見つけるが、泣きながら「もう関わらないでくれ。これ以上俺から何かを奪わないでくれ」と土下座で懇願される。
(なお、親御さんはスマホで雇い主さんが連絡済み・了承を得ていた)
三人のほうも主人公に「もういい」と言われ、拒絶される。
同情で優しくしないで欲しいと、もう勘違いしたくないと。
結局、三人も何も言い返せなかった。
これを機に、この四人と高校でからむことはなくなる。
そして親父さんが主人公を慰めたことで立ち直り、高校編は終了。
「いい男ってやつは、何かを成し遂げるまで何度も泣くもんさ。泣くほど本気で挑んで、それでも叶わなくって。成功だけの奴なんざほとんどいねぇよ。みんな、泣きながら歯ぁ食いしばるんだ。
泣かずに生きてる奴ってのは、何やっても本気になれずにダラダラしてる奴ばっかさ。本気になるもんが見つからないのか、ケツまくって逃げた根性なし化。どっちかは知らねーけど。
なぁ。お前の本気は、もうお終いか? 残りの人生、ダラダラ生きてそんで構わないのか? なぁーんにも掴み取れず、ただラッキーな何かが起きないかって、口開けて上を見上げるだけで、本当にいいのか?
それもお前の人生だ。悪いなんて言わねぇが。
逃げるよりも通したい我儘があるなら、いま立ち上がらねーと不味いってことだけは教えておいてやらぁ」
大学編
大学生になった主人公は、勉強やスポーツを頑張っていた。
一度は不貞腐れて足蹴にした部活にも復帰し、好成績を残す。勉強も頑張り、県内でそこそこレベルの高い所に一発で合格した。
そして、幼馴染と再会する。
かつての事件が尾を引き、疎遠になった二人。親は近所付き合いをしていたが、きれいに二人の縁は切れている。
幼馴染は主人公の良い噂をいろんなところで聞くようになり、大学でできた友人に頼まれ、仲介をすることに。
幼馴染の友人ということで塩対応しそうになる主人公だが、幼馴染の話をしないというのを条件に、たまに遊ぶ仲になる。
ちなみに彼女は当て馬である。
当て馬から主人公の良い話ばかり聞かされるようになった幼馴染。それにうんざりして、つい主人公の昔話を悪口を言ってしまう。
当て馬はそんな幼馴染に対して「ただ否定するだけの人の言う事なんて、普通は聞かない」と幼馴染にダメ出しをして、二人は喧嘩をする。
当て馬、主人公の過去話にそこまで拒否反応を持たない。だって昔の話だし。
当て馬は喧嘩の後に主人公に接近、告白をして付き合いが始まる。
幼馴染にハブられた者同士ということで馬が合ったのだ。
ただ、この時点で主人公は当て馬に親近感はあるだけで恋愛感情は抱いていない。当て馬もそれを知っている。
当て馬と主人公を別れさせようとする幼馴染。
「またか」と思う主人公と、「これか」と納得する当て馬。
当然二人は話を聞き入れない。
好きあっている者同士が付き合うのが恋愛だと主張するが、「愛なんて育めばいい」と二人は取り合わない。
当てつけこそしないものの、二人は付き合っていることは周囲に伝えだす。
お似合いかどうかは横に置き、周囲も二人がカップルであると認める。
恋愛的に孤立する幼馴染。
なお、幼馴染は高校の時の彼氏とは別れている。他に好きな人ができたわけではないが、気持ちが冷めたら別れるのが当然だと思ったのだ。
こやつ、恋愛潔癖症なり。
普通に関係を深め、主人公も当て馬に本気になりつつあり、このままいけば大学卒業後にゴールインもあり得た。
しかし当て馬の親がリストラされ、路頭に迷う。
本気になりつつあったし、恋人となった当て馬を助けようと思う主人公。
そんな主人公に胸キュンな当て馬。
二人は同棲を始める。
主人公はしばらく当て馬の生活の面倒を見ているが、当て馬父は再就職を果し、生活は元通りではないが通常レベルに復帰。ただし同棲は続ける。
ちょっと貧しくなったことで心に余裕がなくなった当て馬、些細なことで苛立ち、主人公と喧嘩をしてしまう。
主人公、苛立つ当て馬に苦笑。仲直りできると信じて疑わない。
そこで幼馴染と元セフレ三人が偶然、当て馬と出会ってしまう。
四人との出会いで主人公の態度がある意味ではいつも通り、自分は特別でもなんでもないと勘違いしてしまった当て馬は、主人公が信じられず別れ話を切り出してしまう。
最終的に、主人公は当て馬と別れる事になる。
そんなつもりはなかったが、結果として二人の仲を引き裂いてしまった幼馴染。
今回は間違いなく自分が悪いと思い、平身低頭謝るが主人公はもういい加減にしてくれと、そんなに俺の幸せが憎いのか、そんなに俺を不幸にしたいのかと叫ぶ。
誤解だと言うが、状況だけ見れば幼馴染は完全にアウト。幼馴染は主人公に信じて貰えず、二人はそのまま別れる。
今回の件で罪悪感を抱いた幼馴染は、主人公とあれこれ関わる事にする。
悪いと思っているのであれば、相応の態度で臨むべきだと思ったからだ。
ただ、それを周囲は誤解し、幼馴染は主人公を手に入れる為に友人を陥れたという噂が流れる。
主人公は噂を一蹴。幼馴染が自分に好意を持っているとは思っていない。
中学で振られて高校から先、ずっと邪魔ばかりされている印象なので当然だ。
幼馴染も、この段階では主人公に好意を抱いていない。出来の悪い弟という印象しか持っていない。
ただ、数年ぶりに主人公と距離を詰めた事、幼馴染という距離感を捨てた視点で主人公を見るようになって、ようやく主人公の素を評価できるようになる。
色眼鏡無しで見た主人公は思った以上で、これまでの主人公への評価――もちろん相当悪い――を改めて思い返し、ようやく自分が思い込みだけで主人公を見ていた事を認めるようになる。
身内補正のマイナス評価、幼馴染は主人公を相当低く見積もっていて、不当な評価をしていたと理解する。
色眼鏡抜きで見れば高評価の主人公。
これまでのマイナスイメージの反動で、通常よりも高く評価してしまい、異性として意識してしまうようになる。
一方、当て馬は幼馴染が主人公に近付いた事で様子を確認するが、幼馴染の説明する「罪悪感から一緒にいる」という説明を信じられない態度だったので、疑念を抱く。
ただ、主人公が幼馴染を嫌っている為、そこまで危険視はしないまでも面白くないと思う。
当て馬は、主人公と復縁したい訳ではないが、その後釜に幼馴染が座るというのも嫌なのだ。
悪役令嬢化した当て馬は、幼馴染に嫌がらせを仕掛けてしまう。
そこで主人公が幼馴染を助け、幼馴染の恋愛感情が育っていってしまう。
そんな事を数度繰り返し、いつしか主人公も幼馴染にほだされていく。
自分が当て馬、引き立て役という事に気が付いてしまった当て馬は、その事実を認められず、主人公を害そうとする。
それを、身を挺して守る幼馴染。
主人公は守られなくても大丈夫だったのだが……それでも幼馴染の献身が本物とようやく理解し、彼女を身内として受け入れるようになる。
ここで話を区切り、数年後に主人公が捕まったとして話は終わり。




