表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋愛短編まとめ

今夜、誰にでも傷つけられる君を私が傷つけたい。

作者: 甘宮るい



 エゴという言葉で片づけたくなる話かもしれない。


 あまりに不甲斐なくて、家を飛び出した。愛の巣であったそこに耐えられなくなるなんて気分を抱くことになるなんて、思っていなかった。

 誰でもいいのかもしれない。彼は誰でもいいのかもしれない。私が一番ではないから、私だけではないから、そんなどうでもいい他人に傷つけられた。そうとしか見られなかった。

 卑屈な私は、彼に自分だけに傷ついてほしいという願望を持っている。持っていたから、許せなかった。

 心無い言葉で人は傷つく。心の傷は案外、簡単にできてしまう。人は単純だ。

 それでもそれなら私の心無い失言で傷ついてほしい。そんなこと言わないけれど。

 どうでもいい他人に傷つけられた今日の彼は、どうしても好きになれそうになかった。彼の1番であるはずの私の言葉より、そんなどうでもいい人の言葉が彼の中に残ってしまうこの現状が、彼の認識が、憎くて憎くてたまらない。

 私が淹れたただの珈琲よりも、店員が淹れた美味しくない珈琲のほうが彼の中の「今日の味」という出来事の中の割合を占めている。

 言い換えればそんなものに変えられてしまいそうなそれを、私はもっともっと重くとらえてしまっている。私の珈琲よりも他人の珈琲を先に飲んだから、なんてことではない。それで納得してしまってたまるものか。

 そもそも珈琲はおいしいのが一番だ。

 こんなにも君の舌に合うように甘い珈琲を淹れたのに。そのどうでもいい人よりも、私の方が断然、彼を知って彼のことを考えているのに。

 後味の悪いものに負けている。


 我儘だろうか、独占欲の表れだろうか。単純に欲求不満、だなんていわれるのかもしれない。自分がやりたいように、やるしかないのかもしれない。見え方の違いで苦しんでいる。価値観の押し付け、自分勝手、お節介だなんて思われたくない。

 それでも、今はまだ愛の巣に戻れない。あんなにも大事な場所で、落ち着ける場所である君の隣に戻れない。

「あぁ、例えば私が傷つけたらもっと苦しんでくれるのかな。確かめたくなっちゃう」

 


監禁とまでは行かないんですけど、こういうこと考えてしまいます。

Twitter(https://twitter.com/Rui0123amamiya/media)にUPしたものを持ってきました。

最後まで読んでいただき幸いです。




 まだ君が僕を呼んでいる、という現代恋愛に少しだけファンタジーを足したようなお話を書いています。もしよければ。

https://ncode.syosetu.com/n1702ew/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ