孕みヒヨコは電波と一緒にチョコを溶かす
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今日はバレンタイン!
わたし、原見灯代子は今、知波と一緒にチョコレートを作ってるの!
知波の家のキッチンを借りて、チョコレートを溶かす。湯煎して、ホットケーキにかけようって、二人で決めた。
「溶けないねー」
ゴムベラでチョコを溶かしている知波が、不安そうに言った。
「難しいねー」
「ねえ、これお母さん達の分も作らない?」
「え? 最初からママ達の分も入れた分量だよ?」
「そうなんだ! じゃあ、七人でみんなで食べようね!」
「うん!」
◆
「おお……?」
「わ、ガタガタだー……」
湯煎したチョコレートをアーモンドパウダーを混ぜて焼いたホットケーキにかけて冷蔵庫で冷やしたら、なんかチョコがガタガタになっちゃった。知波はちょっと残念だったけど、灯代子は不思議なものを見つけたみたいに、じーっとのぞきこんでる。
「失敗なの……?」
「うーん……あ、でもちゃんと固まってるよっ!」
灯代子が、ぱあっと笑顔で言ってきた。それにつられて、知波も嬉しくなってくる。
「じゃあ、じゃあ、最後にチョコペンでハート書こ!」
「うん! はい、チョコペン!」
「知波が書くの……? 灯代子は書かないの?」
「あ、そうだ、じゃあわたしが書く!」
「でも知波も書きたい!」
「うーん……。だったら、二人で一周ずつ書こ?」
「灯代子すごーい!」
「えへへへへへへ!」
二人で書いたからちょっと歪んじゃったけど、二人で書いたハートは、特別なハートだった。