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永遠に愛せよ  原題 peter ibbetson(ピーター・イベットソン) 生死を超えた狂気の愛の名作映画  ヘンリー・ハザウェイ監督1935年アメリカ映画、極私的映画レビュー

作者: 舜風人




邦題「永遠に愛せよ」、1935年製作 ヘンリーハサウエイ監督、原題 ピーターイベットソン

主演 ゲーリー・クーパー  アン・ハーディング



生死を超えた狂気の愛の名作映画、といったらこれである。


アンドレブルトンが主張した?狂気の愛とは?


時間も空間も超越した至高の男女間の恋愛という風にりかいしたらいいのだろうか?

ブルトン自身恋多き人生を送った人だからそれもうなずける?


具体的な映画で言えばそれはルイス・ブニュエルの「黄金時代」に集約される、リアリスの狂気の愛?であろうか。



しかしここではわたしは1つの映画を取り上げてみたい。


それは、原題、ピーターイベットソン  邦題「永遠に愛せよ」

 である、

この映画はジョルジュデモーリエの原作の小説に基づいている。

1935年アメリカ映画ヘンリーハサウエイ監督

ゲイリークーパー (ピーター・イベットソン)幼名ゴーゴー

アンハーディング (侯爵夫人メアリー)   幼名ミムジー




アド・キルーによれば、

『映画とシュルレアリズム』上巻、1968年美術出版184ページ

『この映画は狂気の愛の勝利に成功しえた』作品だという。


付言  アド・キルーとはシュルレアリストの映画評論家である。

    主著は『映画とシュルレアリズム』1968年美術出版




さてこの映画の

あらすじは、、、、、、、、、、


前世紀の半ばの頃、1850年ころ、フランスはパリ、イギリス人だが故あってパリにお屋敷を借りて住んでいた母子一家の少年がその名はゴーゴーというニックネーム。


お隣にはフランス人の居館がありその少女がミムジーといった。

ミムジーとゴーゴー、二人は幼い愛をはぐくんでいた。が、ゴーゴーの母が急死して、。急きょ、、ゴーゴーはイギリスのおじの下へ引き取られていき、幼い二人は無理やり引き離されてしまうのだった。それから音信は絶えてしまったのだった。


10数年の時がたち


ピーター・イベットソン(ゴーゴーの成人後の名前)は建築家となりロンドンで活躍中。

たまたまフランスの侯爵から馬小屋の新築を依頼されて久しぶりに思い出のパリへ。

少年時に住んでいた旧宅を訪ねてみるがそこはもう廃墟だった。


ピーターは早速侯爵邸に向かう、そこにいた気品ある侯爵夫人 メアリー(アンハーディング)がいた。


この人こそあのミムジーなのだがまだ二人ともそれは全く気付かない。


ピーターは侯爵邸に住み込んで設計と建築に取り掛かる。

ピーターとメアリーはそんな中次第に親しさを増してゆくのだったが、、まだ気づかない。


ところが偶然、あることで二人は幼少時のことを気づされることとなる。


二人は、忘れがたく運命の悲運を嘆き、しかし、愛を再燃させるのだった。


若き日のゲーリー・クーパーのりりしい姿。


そして、アン・ハーディング演ずる、麗しい貴婦人


しかし、二人のことがメアリーの夫の公爵の察するところとなり、嫉妬に狂った侯爵はその諍いでピーターに拳銃を発砲する、それを防ごうと椅子を投げつけると侯爵に直撃、、公爵を殺してしまうのです、

ピーターは殺人で逮捕されるのです。

裁判の結果は死一等は免じて、、終身刑。獄中につながれるのだった。

寡婦となったメアリーはピーターを案じるが獄中にいるのだからなすすべはない


しかし、ここからがこの映画の真骨頂?

メアリーは、なんと生霊?となって夜な夜な獄中に通ってピーターを励ますのだった。

そして二人だけの「dreaminng together」の世界に遊ぶのだった。

そのファンタジーでの逢瀬のシーンはこよなく美しいのです。

うっそうと茂った森での二人の再会(もちろん夢の中のオハナシです)

二人で古城に出かけるシーン、

二人は夢の中で愛を深めるのです。


ピーターは、不当に殺人の罪で有罪判決を受け、終身刑を宣告され 、二度とメアリーと会うことはないと絶望します。 しかし、恋人たちはお互いの夢の中で再会し、それが彼らを霊的に結び付けています。 ピーターは晴天の草地や牧草地でメアリーに逢うために刑務所を出ることができますが、それは彼の眠りの中だけです。


…それから、何年も経った。


年が経っても、ピーターとメアリーは彼らの夢の中で若々しいままです。 メアリーは結局老齢で死にます、しかし、彼女は最後にもう一度彼女のいつもの夢のランデブーに行き、天国からピーターに話しかけます。 そのよびかけに、ピーターは天国に向かうのです。



現実は暗い牢獄で収監されるピーター。

だが、、このような夢での逢瀬が続き、、やがて

十数年が立ち、メアリーはある日お屋敷の揺り椅子で静かに息を引き取る、


そしてピーターもその日同時に牢獄で命の火を閉じたのだった。


この世で添い遂げられなかった二人は夢の国で逢瀬を繰り返し

そして死してのちには天国で結ばれたのだった。

、、、、、、、、、、、、、、、、


と、、まあ、こうしてあらすじを書いても栓ないこと。


やはり映画は見てもらうのが一番だろうか。


とはいえこの1935年の古ーい、かなりマイナーな映画

DVDだってありませんよ、



でも?

ありがたい時代になったものだ。


こんなマイナーな映画もすぐ見られるのだから、


どこで?


you tubeで。 peter ibbetoson 1935





ちなみに、


この映画の原作はジョルジュ・デュ・モーリアである。

この原作は1921年無声映画でも映画化されています。

この初作の方が原作に近い?ようですが、けっこう、バッドエンドすぎますよね?

だって無声版では、、

ピーターが狂い死に、メアリーが火事で焼死なんて

バッドエンドすぎるでしょう?


まあ1935年作だってバッドエンド?とはいえ、まだ、救いはあるでしょう?

1921年作無声版はジュルジュ・フィッツモーリス監督です。

原題はforever  このオリジナルフィルムは紛失してしまっていて今この映画を見ることはできません。


でもやっぱりこのクーパーと、アン・ハーディングの1935年映画でしょうね、

無声版は見られませんが、メアリー役はアン・ハーディング以外考えられないですよね。


アンハーディングann hardingといってご存知の方は恐らく日本人の10000人に一人もいないでしょう?

その身族的な貴婦人的な面貌で貴婦人役が多かった女優です。

活躍時期は1930年代です。

皇女エリザベートって感じの優雅な人でしたね。

戦前の日本にも彼女の主演作品が5~6作輸入されましたから、当時は割りとポピュラーだったでしょうか?


とはいえ2019年の今では知る人はいますまい。


私はこの人の大ファンである。

そのいでたちはあくまでお上品で、この人がアメリカ人とは信じられないくらいである。

どこかヨーロッパの王室の皇妃といっても疑えないくらいの優雅さと上品さと気品を備えている、

そんな女優である。


しいて比較するならあの、グレース・ケリーをもっと上品にしたといったらぴったりだろうか。


私がこの人に引かれたのは「ピーター・イベットソン」を見てからであるが、

そこでは公爵夫人のメアリーを演じていたっけ。

白いワードローブに全身を包み、白いつばの広い帽子を優雅にかぶり、

まさに公爵夫人そのものだった。




この人は、きれいとか、、かわいいとかいうのではなく、とにかくお上品なのである。

ノーブルなのである。


そしてそれが板についているのである。

まるで生まれながらに貴族であったかのように、

マア、とにかく私がどうこう言っても始まらないでしょう。


ネット検索で画像でも見てもらうしかありますまい。


今こういう女優って居ませんね?

というか居られないでしょう。

女優といえばもう脱ぐのが当たり前の時代にノーブルなんてものは不要ですものね?

時代が良かったんですね?

こんなノーブルな女優が存在しえたんですから。



ところでこの映画、


いわゆるアンドレ・ブルトンの言う「狂気の愛の映画」として有名である。


「愛のどんな敵も、愛がみずからを讃える炉で溶解する」アンドレ・ブルトン


愛ってそもそもマッドなものなんですよ。



常識的で?

平凡で?

あたりまえで?

誰もが許してくれて?


そんな愛ってありえないんですよ。


狂気の愛こそが本当の愛

そしてこの狂気の愛はすべてを焼きつくし


愛の炉で一切を溶解させてしまうのです。


そういう狂気の愛のまあ見本?みたいなこの映画は

フランスのシュルレアリストたちの絶賛の映画でもあるのです。

時間と空間を越えて二人は愛し合う。


現実は消え去りただ、愛の勝利がそこにはある。

死も二人をひきはなせない。


アドキルーはこれを愛の勝利と言っている。



そんな狂気の愛の映画、、


それがこの1935年の古い映画


「ピーターイベットソン」なのだ。




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