【第5話:隠していないか?】
「こ、コウちゃん! わ、私を雇って!! 私のギフト『天啓の先を読む者』なら、絶対にコウちゃんの役にたてると思うの!」
セイラの言う言葉を理解するのに少し時間が必要だった。
「え? ……セイラはギフト持ちだったの!?」
この世界では、ギフトは100人に一人ぐらいの割合でしか授からない。
村にいた時にセイラがギフトを持っているなんて聞いた事が無かったので、オレは本当なのかと聞き返すのだが。
「本当よ! 私のギフトは『天啓の先を読む者』。正確に物事の予測ができるギフトよ!」
間違いなくかなり稀少なギフトだろう。『天啓の先を読む者』と言う言葉は全く聞いた事がなかったが、今の話が本当ならとても強力なギフトだ。
≪ほぅ。これは凄いギフトを持っているな≫
「ジル!? 知っているのか?」
今日はジルも妖精界に行っていたので、先ほど一緒に戻ってきていたようだ。
そのジルがギフトの事を知っているようで、突然話に入ってきた。
≪主よ。そのギフトの基本的な能力は、与えられた情報から先を予測する力。しかし、そのギフトの本当に面白いところは他にある。通常、神からくだされる神託は絶対だ。しかし、そのギフトはその絶対を覆す可能性を示すことができる貴重な物なのだ≫
「えぇぇぇ!? 神託を覆すって!? そんなの私知らないわよ!?」
どうやらセイラもその能力は知らなかったらしい。
そのギフトを授かっている本人が一番驚いていた。
「まぁ神託を覆す必要性はないと思うけど、先読みの力は凄い有用だね。じゃぁ、セイラ。まずはオレや母さんと一緒に家庭教師さんから領地運営の事とか一緒に習って貰えるかな?」
情報から何かを正確に予測する能力と言うのは、領地を運営していく上でも、またそれ以外の事においても非常に有用だろう。
オレはその場でセイラを雇う事を決める。
「え? え? 本当に良いの? 一緒に働かせて貰えるの?」
セイラはそんな簡単に話が進むと思っていなかったようで、キョトンとしている。
そのギフトの力を使えば、この話を聞いたオレが絶対にOKを出すのは簡単に予測できるだろうに。
「それこそギフトの力で予測すれば良いのに。そんなギフトを持っているなら、こっちからお願いする話だよ。領地運営を手伝ってくれる?」
オレはそう言ってセイラに右手を差し出すと、
「う、うん! 絶対に役に立ってみせるからね!」
ハニカミながら嬉しそうに握り締めたのだった。
こうして領地運営の参謀役としてセイラを迎え入れる事になった。
うちは戦力過剰だけど、領地運営に頼りになりそうな味方は少ないので本当に嬉しい。
それが一度は別れを覚悟した幼馴染なら尚更だ。
オレの右手を握り返してほほ笑むセイラの笑顔は、なんだか少し昔に戻ったようで眩しかった。
~
一旦セイラには両親と共にこれから住む家に向かって貰い、別れたオレたちは次の集団の到着を待っていた。
「なぁリリー。本当に獣人族は移住してくるのか? いくら神獣様がこっちにいるからって……」
次は獣人族がやってくることになっているのだが、正直獣人族の人たちとはほとんど面識がない。
神獣であるセツナがリリーとルルーの側にいるからって、移住をする話になるのがオレには不思議でならなかった。
「前にも言ったけど、別に全獣人が移住してくるわけじゃない……にゃ」
「獣人全体で言えば5分の1ほど、1000人ぐらい……にゃ」
この街は1万人ほど住めるように設計してあるので数的には十分受け入れ可能な数なのだが、5分の1でも十分凄い人数だ。
これほど多くの獣人が移住することを決めたという事に、オレは何か違和感を感じる。
「なぁ……何かオレに隠していないか?」
特に何かに気付いたわけではなかったのだが、オレのその言葉にビクッと肩をあげるリリーとルルー。
あ……こいつら何か隠してるな……。
「リリー、ルルー。……いったい何を隠してる?」
オレのその質問に明らかに動揺をみせる二人。
何かを誤魔化そうとしているようだが、観念してリリーがぼそぼそと話し始めた。
「その……獣人族は神獣セツナ様を信仰しているんですが、同じぐらい女神様を強く信仰している……にゃ」
「つまりは女神様の使徒であるコウガに仕えたいという者たちが、かなりの数加わって……結果的に移住希望者が凄く増えたの……にゃ」
オレが原因という事か!? あまり考えたくないが、ちゃんと聞いておかなければ……。
「ちょっと待て……という事はセツナだけでなく、オレも……か?」
「そういう事……にゃ」
「今となっては各獣人族の里では、コウガも使徒様として崇められている……にゃ」
信仰対象にされるのは竜人だけで十分なんだけど!?
オレが明かされたその事実に愕然とし、眩暈を覚えているその目の前で、空間が歪み始めるのだった。
「普通に冒険者したい……」
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暫くはゆっくりとした展開が続きま~す☆(´-ω-`)b
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