【第4話:みんな女の子】
歪んだ空間の向こうが徐々に安定してきて、綺麗な草原の景色が見え始める。
『妖精の通り道』
妖精女王クイのギフトによって使える固有魔法の一つらしいが、効果としては妖精界とこちらの世界をどこにでも自由に繋げるというものだ。
そのため皆を連れてくるには、一度名もなき村と妖精界を繋いで村のみんなに妖精界に移動してもらい、その後改めて妖精界とこのジルニトラの街をつなぐ必要がある。
また、こうして待っている状況を見て貰えばわかる通り、発動にはかなりの時間が必要なのだが、それを差し引いても余りあるほどの強力な魔法だ。
これを戦争に使われたらと思うとゾッとする。
≪あれ? 使徒様たち迎えに来てくれたんですね~≫
そう言って手を振りながら飛んで現れたのは、その魔法を行使した本人のクイだった。
妖精としては飛び抜けて大きく、人族の子供ほどの背丈があるが、その姿はどこからどうみても妖精そのもので、非常に可愛らしい姿をしている。
「そりゃぁ故郷のみんなが移住してくるんだ。出迎えないわけにはいかないだろ?」
オレたちがそんな会話をしていると、他の妖精たちに案内されて、恐る恐るといった様子で村の人たちがこちらにやってきた。
「コウガよ。久し振りだな! しかし……話は聞いておったが、何か未だに信じられんよ……」
どこかまだ上の空で、村長が最初に話しかけてきた。
その隣には、案内役を務めてくれた母さんも一緒のようだ。
村を出てからオレがしてきた事はあらかじめ伝えてもらっているのだが、たった今妖精界を通って街に移動してきた事にまだ驚いている様子だった。
「そうですね。オレもまさかS級冒険者になった上に、貴族となって街を治めることになるなんて……今でも信じられないです」
その何気ない言葉に、
「あぁ、そういえば子爵様なのだったな。こりゃぁ言葉遣いを改めんといかんなぁ」
と、苦笑する村長。
「何を言っているんですか。これから移住してくる見ず知らずの人たちならともかく、村のみんなは昔のように付き合ってくれないと、オレ泣いちゃいますよ?」
そう言ってお互い笑いあっていると、
「そうだね! コウちゃんは泣き虫だもんね~!」
幼馴染の一人、セイラが割って入ってきた。
「セイラ! 元気してたか?」
オレは久し振りに会うセイラにそう言って声をかけると、お互いの右手を打ちならす。
村で子供の頃から流行っていた挨拶だ。
「もっちろん! コウちゃんと違って私は強いんだから!」
この子はセイラ。
一つ年下の幼馴染の女の子で、クコの実を集めてくれたのも、今でも使っている水の出る水筒をくれたのも、恐らくはこの子が皆を巻き込んでしてくれたことだろう。
久しぶりの再会に喜ぶその瞳は、この世界では珍しい黄金色をしており、同じく金髪の髪を後ろで束ねている姿は、変わってないなとなんだか懐かしく思えた。
「そうだ! あのクコの実のお陰でオレは助かったんだ。本当にありがとう!」
オレは、再会したら絶対に伝えようと思っていた感謝の言葉を伝えておく。
「そうなんだ……やっぱり冒険者だもん。危ない目にも会うよね……でも、役にたったのなら……コウちゃんが無事でほんとに良かったよ!」
それから暫く久しぶりの再会に話の花を咲かせていると、オレの袖がクイクイッと引かれる。
「コウガ様? リルラたちはいつ紹介して貰えるんですか……?」
少し頬を膨らませたリルラがそう言って尋ねてきた。
リリーとルルーも何か小声で「またライバルが……」とか話している気がする……。
セイラは妹みたいな感覚だから、そんな事にはならないのだが、それを言うのは何か危険な香りを感じたのでやめておく。
「セイラ、ここにいるのは冒険者パーティー『恒久の転生竜』を中心とした、オレを支えてくれている仲間たちだ」
そう言って一人一人紹介していく。
「……みんな女の子なんだね……」
セイラが何か言った気がするが、目が怖いので全力でスルーしておく。
「そ、そうだ! それより村のみんなに挨拶をしないと!」
オレは後ろで黙ってこちらを見ていた村長ほか村のみんなを見渡すと、大きな声で話し始めた。
「みんな! こんな突然の移住の話に賛同してくれてありがとう! これからはここが皆の住む街、そして故郷になります! 最初は慣れない事も多いだろうけど、出来る限りの事はするつもりです! オレの仲間の妖精たちが、みんなに割り当てた家や田畑に案内してくれる手はずになっているから、指示にしたがってください! あと、今晩はちょっとした食事を用意しているのでお楽しみに!」
オレの村は100人ほどの小さな村なので、全員が顔見知りだ。
みんな口々に「あのコウガくんがねぇ」とか「こんなすげぇ街にこれから住めるのかぁ」などと言いながら、何だかみんな嬉しそうだ。
ありがたい事に特に不満を言うような者もおらず、軽く補足の説明をしたのち、みんな割り当てられた家に向かっていった。
幼馴染とも一旦ここで別れだ。
「それじゃぁ、セイラもまた後でな!」
と、別れの挨拶をするのだが、セイラは少し俯いて何か思いつめたような表情をしている。
「ん? セイラ? どうした?」
尋ねるオレに、両こぶしをぎゅっと握り締めるセイラ。
そして意を決したような表情を見せると、
「こ、コウちゃん! わ、私を雇って!! 私のギフト『天啓の先を読む者』なら、絶対にコウちゃんの役にたてると思うの!」
そう言ってきたのだった。
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シリーズ化は凄く不安だったんですが、読者の皆さまのお陰で
順調すぎる滑り出しを迎える事が出来ました。
昨日に至っては第一部のPVが12万という多くのアクセスを頂き、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。<(_ _)>
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