表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧版】槍使いのドラゴンテイマー Ⅱ ~勇者が暴走したので邪竜で蹴散らしておこうと思う~  作者: こげ丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/34

【第29話:復讐の誓い】

 ~謎の黒幕っぽい男の視点~


「ほぉ~穢れた勇者どもの反応が消えた……ここでまあっさり討伐されるのはちょっと予想外だな」


 しかしそういう私は、こみ上げてくる喜びを噛みしめていた。

 だって、少しは抵抗があった方が楽しいですから。


「なんだ? 偉く嬉しそうじゃねぇか?」


 せっかく良い気分だったのに、こいつは気が利かないな……。

 私は少し不機嫌になりながらも、穢れた勇者()()()男を睨みつける。


「本当にあなたは気が利きませんね。でも……英多郎がいてくれて助かるよ」


 この男は生意気だが、一応のところは協力的だったし、実力も魔王てとらぽっどに匹敵する強さを持っている。

 口は悪いし気が利かないが、助かっていることも多いのだ。


「なにそれ~? 告ってんの!? ねぇねぇ! ウケるんだけど~」


 それに比べて……ムカつくのはこの女、理恵のほうだ。


「おい。理恵。いい加減私も我慢の限界というものがあるぞ?」


 そう言って魔力による威圧を向けるのだが、こいつも英多郎と同じぐらいの強さを持っているので、たいしてこたえていないようだ。


「まぁまぁ~そんな怒んないでよ? 私とあんたの仲じゃん?」


「どんな仲だ! そもそも私はお前のような下品な知り合いはおらん!」


「つれないなぁ~。ちゃんと命令には従ってるんだからYouも仲良くしちゃいなよ~」


 そう言ってギャハハと笑う理恵。


 本当に腹が立つ!!

 しかし、知らないと言ったのは嘘だ……。


 私は元々この世界の人間ではない。


 私は昔、こいつらと同じ中学に通っていたのだ。

 そして理恵は、当時反抗期だった私が所属していた()()グループのリーダー的存在だった。


 そして運が悪い事に、こいつのギフトが看破系のギフトだった。

 理恵(こいつ)は、私が誰だか気付いていた。


 私が『坂村 志保(さかむら しほ)』だという事を……私が元々()だったという事を……。


 ~


 この世界に来たのは一年前だった。


 私を異世界召喚したのは、勇者信仰の中でも過激派で知られる共和国の『黒き泉』という秘密結社が母体になった宗教組織だ。


 その日私は、理恵に頼まれて教室を抜け出して駅前のコンビニに唐揚げ棒を買いに来ていた。

 いわゆるパシリをさせられていたんだ。


 当時の私は特にその事に不満を感じていなかったが、買い物を済ませて教室に戻ると、何故か廊下に人だかりが出来ていた。

 みんなスマホを出して何かを撮影しているようだった。


 しかし、そこに理恵たちの姿を見つける事が出来なかった私は、そのまま教室に向かう。

 理恵たち以外とまったく会話をした事がなかった私に、何があったのかを尋ねるという選択肢は存在しなかった。

 そして、教室への扉を開けたのだ。開けてしまったのだ。


 理恵たちの代わりに出迎えてくれたのは……教室いっぱいに広がった大きな魔法陣と、空間の亀裂だった。


 ただの中学生だった私が、その光景に驚き、ただ茫然と立ち尽くしてしまったのは仕方ないだろう。


 だけど……だれがこんな異常事態に面白がって背中を押してくる馬鹿がいるなんて予想できるだろうか?


 信じられない思いで振り返った先に見えたのは、腹を抱えて笑っている理恵たちと、その取り巻きの男たちだった。


 しかし、理恵たちが笑っていたのも最初だけだった。

 何故なら、私の身体は切り刻まれ、教室全てを赤く塗りつぶしていたのだから。


 教室に倒れ込むように入ってしまった私に待っていたのは、不完全な勇者召喚による魂だけの異世界召喚だった。

 この世界での勇者召喚は、聖エリス神国のみが行える儀式魔法なのに、奴らはそれを見よう見まねで強行したのだ。


 あきれる事に、奴らは私の前にも何度も実験を繰り返していたらしい。

 何度も何度もその実験は繰り返され、失敗して犠牲者を増やし続け、ようやくたどり着いた方法が魂だけの召喚だったそうだ。


 そして次に目覚めた時、私は()だった。


 意味がわからなかった。わかりたくもなかった。


 魂は用意された魔造人体に定着させられ、今のこの身体となったのだ。


 だから……復讐すると誓った。


 面白がって私を突き飛ばした同級生たちに。


 こんな不完全な勇者召喚を強行した共和国の奴らに。


 そして……この世界『クラフトス』そのものに。


 ~


「おい! あいつらがやられたんなら、命令を出さなくて良いのか?」


 どうやら私は考え込んでしまっていたようだ。


「すまない。そうだな……ようやくここでま漕ぎつけたんだ」


「な~にカッコつけてんのよ! ギャハハ!」


 私は理恵に視線を向ける。

 ムカつく女だが……いい気味だ。


 呪いで醜く歪んだ姿になっているのに、それに気づく事も出来ない。

 わざと生かしてやっている私のおもちゃ。

 これからせいぜいこき使ってやるんだ。


「じゃぁ、そろそろ始めようかしらね。戦争を」


 私は陰謀のバラムを核にして創り出したゴーレムに指示を出し、その肩に座ると、後ろで整列した者たちに視線を向ける。


 元クラスメイト30人の穢れた勇者たち。


 そして……ガリア帝国が誇る大陸最強の機工兵団に、進軍を指示するのでした。


*****************************

更新ペース遅くてすみません。

でも、エタらせはしないので、引き続きご愛読よろしくです!

*****************************


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~ https://ncode.syosetu.com/n5238jw/ 【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー
※旧版ではなく、ぜひこちらをお読みください!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ