【第20話:大きめの買った方が良いです?】
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リアルの諸事情でWeb作家としての活動を休止しておりましたが復帰いたしました。
まずはこの『槍使いのドラゴンテイマー』の改訂版を公開&更新していく予定です。
下記に全文改稿&数万字加筆した改訂版を公開しております。
更新は順をおってになりますが、こちらをお読み頂けますようお願いいたします。
https://ncode.syosetu.com/n5238jw/
尚、運営様から旧版を残しても基本問題ないとは確認をしていますが、
読者様が混同する場合は旧版の削除を求める場合があるとも伺っております。
その場合、こちらは削除することになりますのでご了承ください。
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ギルドの近くに、少し高いが従魔もOKな良い宿があるという事だったので先に宿を押さえると、オレ達は皆で街に繰り出していた。
妖精女王のクイからの報告だと、穢れた勇者の3人はまだこの国に入ったところのようなので、本格的に動くのは明日以降として、軽く観光をする事にしたのだ。
リルラとヴィーヴルに強引に連れ出されたような形だが、リリーとルルーも口にこそ出さないが行きたそうにしていたので、たまには皆でこういうのも良いだろう。
「コウガ様! さっきからよく見るアレはなんですか?」
屋台でこの地方の果物などを買ったりしながら歩いていると、リルラがトリアデン王国ではあまり見かけない看板を指さして尋ねてくる。
「学術都市セデナで見かけた事があるような気がしますが、何でしょうか?……にゃ」
「道具屋か何かだった気がする……にゃ」
「おしいかな? あれは魔道具工房のはずだ。うちの国だとセデナに数軒あるはずだけど、ここは店舗も併設してるみたいだし、少し見ていくか?」
リリーとルルーも見かけた事はあったようだが、セデナの工房は確か店舗を併設していなかったはずなので、入った事がなく何の工房かまでは知らなかったようだ。
「見てみたいわ! 行きましょうよ!」
ヴィーヴルは今まで人の街には数えるほどしか行ったことがないので、さっきからキョロキョロと本当に楽しそうだ。
今回は依頼で来たけど、そのうち落ち着いたら休みを取って、皆でいろんな街を見て回るのも悪くないかもしれない。
「それじゃぁ、ちょっと入ってみようか」
~
たまたま入ったその店は比較的この街でも大きな工房だったようで、様々な魔道具を取り扱っていた。
戦闘や冒険に使うようなものよりも、一般家庭で使うものが多く、調理で使う大型のコンロや食品をしまっておく冷蔵庫、それに様々なデザインの照明器具などその内容は多肢におよんでいた。
それでもほとんどの物は道具屋などでも扱っているようなもので、そこまで珍しい物はなかったのだが、中には見ただけではよくわからない物もいくつか取り扱っていた。
「ねぇねぇ! コウガさん! この綺麗な魔導具は何なのかしら?」
ヴィーヴルとリリーが見ていたのは、様々なアクセサリーなどが展示されているコーナーだった。
ここからでは見えなかったので、二人が見ている側まで行くと、ヴィーヴルが指さすものを見てみる。
「指輪? でも、何の魔道具かまではわからないな?」
ヴィーヴルが指さすものはショーケースに並べられた色々なデザインの指輪だった。
しかし、指輪と言うことはわかるのだが、どういった魔道具なのかまではオレもわからなかった。
「すみません! この指輪って何の魔道具なんですか?」
少し離れた所でリルラの質問攻めにあっていた店員の女性に声を掛けると、その店員は明らかに「助かった!」といった表情を浮かべて駆け寄ってきた。
「な、なんでしょう! 何かご所望でしょうか?」
内心、リルラを押し付けてすまないと謝りつつ、先ほどの指輪が何かと尋ねてみる。
「あぁ~これはですね。基本的には魔道具としての機能はおまけのようなものなのですが、光を発する事ができるアクセサリーです」
そして、お見せしますねと言って指輪を取り出して指にはめると、魔力を流してその効果を見せてくれる。
「わぁ! 凄く綺麗!」
「本当に凄く綺麗です……にゃ」
店員の指にはめられた指輪は、元々宝石がつけられた綺麗なものだったが、今はその宝石がキラキラと輝きを放ち、とても幻想的な姿を見せてくれていた。
「これは台座が光っているのか?」
「はい。そうですね。宝石の台座の方に小さな光る魔石が組み込まれていますので、お好きな宝石でおつくりする事も出来ますよ。贈り物にいかがですか?」
どうも宝石が光るわけではなく、その台座が光っているようで、透明度のある宝石なら好きな宝石を選べるようだ。
「なになに? これは何ですか!? 凄く綺麗なのです!」
「……綺麗……にゃ」
店員の説明を聞いていると、何かが綺麗な光を発しているのに気付いて、リルラとルルーが駆け寄ってきた。
その後ろを子猫サイズになっているセツナが付いてきて、同じく珍しそうにのぞき込んでいる。とても神獣には見えないが、既にこの姿の方が慣れてしまっている気もする……。
「凄く綺麗だし、オレから皆にプレゼントしようか? 欲しい?」
オレも初めて見る魔道具だったし、本当に綺麗だったのでそう聞いてみると、若干食い気味に
「「「「「欲しいです!!(……にゃ)」」」」」
と言って、みんな身を乗り出してきた。
「ねぇコウガさん! せっかくだし皆でお揃いのを作りましょうよ!」
「良いですね! コウガ様! コウガ様も一緒の作りましょう!」
「オレはいいよ。オレに付いて来てくれる皆へのちょっとした感謝の気持ちだから」
そう言って断ったのだが、結局オレの分も用意する事になったのだった。
まぁオレは指輪はちょっと嫌だったのでチェーンのネックレスを買って、ペンダントとしてつけることでどうにか勘弁してもらった。
「コウガ様。私、まだ成長途中だから大きめサイズにして貰った方が良いです?」
「いや……たぶん10年以上先の話だと思うから、今サイズの合うので良いと思うよ……」
その後、デザインやどの宝石をつけるかで随分と揉めたが、最終的には戦闘にも支障のないように小さめのブルーサファイヤのものとなった。
「恒久の転生竜の証みたいで、お揃いって良いですね……にゃ」
リリーがなんだかんだで一番嬉しそうだったが、他の皆もとても喜んでくれたので、買って本当に良かった。
明日からは、陰謀のバラムの企みを阻止する為に忙しくなる。
英気を養うため、今日だけは、もうしばらく楽しいひと時を過ごそうと思うのだった。




