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【第19話:やってられないですよ】

 応接室のような部屋に通されたオレたちは、グランドギルドマスターだというエルフの男『テリルロント』と向かい合うように座っていた。


 部屋にはあまり見た事がないような魔道具が、まるで調度品のかわりのように所狭しと展示され、豪華と言うよりは、趣味の部屋のような趣きだ。


 そして、ソファーにはオレを中心に、左右にリルラとヴィーヴルが座っていた。

 大きなソファーだが全員が座る事が出来ないため、リリーとルルーが気を利かせて後ろで控えてくれたのだ。


 部屋に入るなり嬉しそうに走っていって、ソファーに飛び乗るように座ったリルラと、それを真似したヴィーヴルは少し見習ってほしい……。


「それで……最近話題のトリアデン王国のS級冒険者の方々が、全員揃って遥々共和国まで来るとはどう言ったご用件なのです? 正直、かなりビビってるんですが?」


 ズレた丸メガネをあげながら、そう尋ねてくるテリルロント。

 トリアデン王国のグランドギルドマスターと違って、威厳とか覇気とか言うものがまったく感じられない。

 あ……トリアデン王国のグランドギルドマスターのネギさんも、居眠り爺さんだった。


「じゃぁ回りくどい事は無しでいきますね。実は私たちの掴んだ情報によると、ある者が聖エリス神国を利用して『穢れた勇者』なる者たちを召喚したようなのです」


「へぇ~。いつも偉そうな聖エリス神国の神官どもが、騙されたって事ですか? いや~いい気味ですね~」


 うぅむ。テリルロントは中々いい性格しているようだ……。


「それが他人事ではないとしてもですか?」


 オレのその一言に、今度は表情を一遍させて真剣な表情で聞いてくる。


「他人事で無いと言うのは、ど、どういう事でしょう? 共和国(うち)は、聖エリス神国がどうなろうと知った事ではありませんが?」


「はぁ……そうですか。でも、そのうちの3人の穢れた勇者がこの国で何か騒ぎを起こそうとしているとしてもですか?」


「なな、なんですと!? それを早く言いなさい! どど、どうしますかね。う、うちはA級冒険者が3人しかいないのですよ!?」


「落ち着いて下さい。その為に私たちが来たのですから」


「え? そうなのですか? それならそうと早く言ってくださいよ……」


 まったく……いい性格をしている……。


「しかし、A級冒険者が3人しかいないって本当なのですか? これだけの規模の街で、ここはこの国の冒険者ギルド本部ですよね?」


 国の規模では、このテリハイム共和国の首都デリスは、トリアデン王国の王都と比べても3倍以上の大きさを誇ると言われている。

 いくら魔物が少ない地域と言っても、住民が多くなれば冒険者の数も多くなるわけで、必然的に高ランクの冒険者の数も増えそうなものなのだが、どうしてなのだろう?

 そう疑問に思い尋ねてみたのだが、テリルロントは正直に答えるか少し迷ったような仕草を見せたのち、溜息をつきながら正直に話し始める。


「情けない話なんですがね。うちの国には独自の傭兵ギルドって言うものがありましてね。10年前にそのギルドが出来てからは有望な人材はほとんどそっちに流れていっているんです。昔はうちにもS級冒険者が二人も所属していましたし、A級冒険者も10人以上いたんですけどねぇ……」


 話を聞いてみると、傭兵ギルドは国からかなりの援助を受けていて、待遇面が冒険者ギルドと段違いに良いらしく、高ランクの冒険者が次々と引き抜かれていったのだそうだ。

 そしてそれは今でも続いており、有望な新人が入ってもようやくB級冒険者まで育ったかと思うと、高待遇で声をかけられ、皆移籍していくのだそうだ。


「でも、移籍していくって言っても同じ街にいるんですよね? 傭兵ギルドに入っても冒険者ギルドのランクが消えるわけじゃないなら、必要な時だけ指名依頼を出せば済む話じゃないんですか?」


 それなら掛け持ちで活動して貰って、必要な時だけ指名依頼を出せば良いのではないかと思い、そう聞いてみたのだが、返ってきたのはよくわからない返事だった。


「それが出来たら苦労はしないんですけどねぇ……。何故かわからないんですが、傭兵ギルド側が冒険者ギルドとの掛け持ちを禁止しているせいで、みな移籍した後ギルドカードを返納してくるんですよ」


 それなら傭兵ギルドに話をしに行った方が良いかと聞いてみると、どうも傭兵ギルドはあくまでも国からの要請でしか動かない上に、そのほとんどを商隊の護衛や国境沿いの防衛で出払っていてデリスにはあまり人が残っていないのだそうだ。

 おまけに魔物を相手にしなくなった為に、皆その実力を大きく落としているようで、今回のような突出した力を持った相手には役に立ちそうになかった。


「この間、元S級冒険者の男に会ったらぶくぶく太りやがって……まったくやってられないですよ……」


 それで何だか投げやりな態度なのだろうか? でも、こいつ根っからこんな性格してそうだな。

 その後もネチネチと傭兵ギルドや国の愚痴をこぼしているテリルロントを見て、内心そんな風に思いながらも話を進める事にする。


「えっと……なんでそんな規則にしているのかよくわかりませんし、なんか大変そうですね。まぁでも、今回はオレたち『恒久の転生竜』で対応させて貰おうと思っていますので、あとは国への報告をお願いします」


 その後、あらかじめ纏めておいた今回掴んでいる情報を整理した資料を渡し、忘れずにお薦めの宿屋を聞いてギルドを後にしたのだった。


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更新止まってすみませんでした! ><

年末で忙しい所に体調崩してました……

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