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【第13話:カリンちゃんの葛藤 その1】

 ~陰謀のバラム視点~


 男女5人の人族が虚ろな瞳でこちらを見ている。

 俺は昔、『技巧のアモン』からくすねた伝説級魔道具『愚者の嘆き』を使って、呪詛の効果をさらに数倍に高める。


「待たせたな。ちょっと準備に手間取っちまった。しかし、さすが曲がりなりにも穢れた勇者召喚で呼び寄せた人族だ。ここまで苦労するとは思わなかったぜ」


 俺は聖エリス神国に侵入し、教皇を操って勇者召喚の儀式を行わせた。


 ただし、召喚時の条件を『清き魂を持つ者』ではなく、『穢れた魂を持つ者』に書き換え、俺に逆らえないように傀儡の呪詛を召喚と同時に施した。


 だと言うのに、召喚した穢れた勇者のうちの一人が俺に逆らいやがった。


「バラムさま。先程は大変失礼いたしました」


 しかし、その問題も解決した。

 先にあげた『愚者の嘆き』で傀儡の呪詛の効果を何倍にも高めたのだ。

 さっきまで俺に罵声を浴びせて来た生意気な餓鬼は、鎖で縛られながらも俺にそう言ってこうべを垂れた。


「貴公にしては随分と梃子摺ったものだな」


 そんな俺に声をかけてくる奴がいた。


「まぁそれだけ『穢れた勇者』どもの力が強かったと言う事だ。今までに召喚した勇者とは比べ物にならないはずだぜ?」


「それは本当に楽しみだな」


 そう話す奴の顔には、楽しみな様子など微塵も浮かんでいやがらねぇ。

 俺の『支配の魔言』も効かねぇし、こいつが本当に人族なのかと怪しんでいるぐらいだ。


「じゃぁ、早速頼まれていた件を済ませちまうか」


 俺はそう言うと、『穢れた勇者』たちを睥睨する。


「お前ら! これからお前らにはひと暴れしてもらうぞ! 場所はテリハイム共和国 首都『デリス』だ!」



 ~カリン視点~


「えぇ~!? そんな事になってるの!? それじゃぁ共和国はかなり危ないんじゃないの!?」


 私はクイちゃんから教えてもらった情報に驚いてしまいました。

 だって、6魔将の生き残りの一人『陰謀のバラム』とか言う怖~い名前の魔族が、変な勇者を召喚して、それを共和国の首都で暴れさすとか言うのですから!


≪そうだね~。たぶんだけど、一番弱そうな『穢れた勇者』でも普通のS級冒険者に匹敵するか、それ以上の強さを持っているんじゃないかなぁ?≫


 クイちゃんからの報告によると『穢れた勇者』とか言う人は、全部で5人もいると言う話です。

 つまりは一人で騎士団に匹敵するS級冒険者以上の強さを持った5人が、いきなり街の中で暴れ出すという事です。


「どうしよ~? 知らなかった事にしちゃう?」


 どう考えても私には荷が重すぎます。

 だいたいテリハイム共和国とかよく知らないし、多くの精強な傭兵団を抱えているらしいから、自分たちで何とかしてくれないかなぁ?


≪カリンちゃんがそれで良いのなら妖精族(わたしたち)として全然構わないけど、カリンちゃん、使徒さまに6魔将に動きがあったらすぐに教えてくれって頼まれていたのは良いの?≫


「あぁ!? そうだったよぉ~!」


 困りました。

 コウガさんに直接頼まれた事を無かったことにするなんて出来ません。


「うぅぅん。クイちゃん、どうしたら良いと思う~?」


 私はどうすれば良いか思いつかなくてクイちゃんに泣きついちゃいました。


≪う~ん。それなら『恒久の転生竜』に、ギルドマスターからの指名依頼だしてみたら?≫


「うん! そうしようかな♪ コウガさん達ならきっと何とかしてくれるよね!」


 そう言えばコウガさんは、最近会うといつも冒険者生活が恋しいと愚痴をこぼしていました。

 この依頼を指名で出してあげたらきっと喜びますね!


≪わかったわ! じゃぁ、誰かに領主()に使徒様を呼びに行かせるね!≫


「え? 私が行った方が良いんじゃないかなぁ? コウガさんって今は領主さまだよ?」


 領主さまを呼びつけるなんて、いくら私が出世してギルドマスターになったからって、そんな偉そうな真似できません。


≪大丈夫よ~。使徒さま、最近、執務室に篭りっきりになって病んできてるから、呼んであげた方が抜け出せる口実になって喜ぶと思うよ~♪≫


「えぇぇ!? 病んできてるって、大丈夫なの!?」


 失礼だとかそう言う話以前に、それって大丈夫なのかと心配になったのだけど、


≪たまに妖精族の回復魔法でハイ(元気)にしてあげているから、そっちも大丈夫よ≫


 という事だったので、ちょっとホッとしました。あれ? 良いのかな?


「まぁいいか? それじゃぁ、指名依頼の手続きしておくから呼びに行くのお願いね!」


≪は~い! 任せておいて~♪≫


 クイちゃんは機嫌良く返事をすると、配下の妖精さんに指示を出して窓から呼びに行かせました。


「あ! その前にお化粧し直しておかなくちゃ♪」


 もうコウガさんたちに任せれば解決したも同前です。

 そんな事より、わたしはまたコウガさんに依頼を出せることにウキウキとして、お化粧ポーチを手に取るのでした♪


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カリンちゃんも含めて色々起こりそうですね~( ´ ▽ ` )

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