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プロローグ
街に銃声が響く。
男の断末魔の叫びとともに。
暁から曙に変わるとともに。
女の冷めた眼差しが男から離れるとともに。
叫びは花火の爆発に飲み込まれ
消えた。
人の死を見ていながら、
人の終を見ていながら、
揺れることのない無機質なその瞳は、まるで死を告げる死神のよう。
どうやら彼女は人を殺しすぎたらしい。
無機質な目は物語る。
今まで見てきた死の数を。
今まで殺した人の数、今まで守れなかった人の数、見捨ててきた人間の数を。
罪のない人間、大量殺人犯、マフィア、警察、家族、友・・・
多くの人間を見捨ててきた。
命乞いをした奴もいた、泣き叫んだ奴もいた、
腹いせに殺してやった奴、骨までグチグチャにした奴もいた。
そして、気づき始める。
どうやら、私は人を、人として見ることが出来なくなりかけているらしい。