あるロールプレイヤーの回想と悔悟
アイテム名利用とその改変にご理解いただいた「いちぼなんてもういい。」様には感謝を。
何年かぶりで知己と顔を会わせることとなった。
来るまでの間、ちょっと振り返っても良いくらいの時間が出来た。
エルダーテイルへのかかわり
大災害の後の数日などが駆け巡る。
新しいMMORPGを探していて「エルダーテイル」を見つけた。
まだβ版でしかなかったが、運営会社の今後のプロジェクトに惹かれたのが一番の理由だ。
問題点は生産職がサブ職として設定され1キャラで1つしかもてないことくらいか、
職能と言う観点からは理解できる制限、いくつも生産職がもてるという世界も面白くはあったが
育てる楽しみは増える。
いくつかの生産職とそれに合わせたメイン職、
ハイエンドコンテンツにあわせたメイン職とサブ職の組み合わせなど考えると
育てることに目がくらみそうだがそれもMMORPGの楽しみのひとつだと割り切り世界に降り立った。
ボイスチャットが導入される予定は最初は明記されていなかったが、
当時はすでにPCにテレフォニー機能が搭載されていたので
いずれボイスチャットは搭載されるのだろう、
ならばリアルとの性別だけはあわせておいたほうがいいのかなとも思った。
まぁそれまでも「姫キャラ」に勝手に祭り上げられたり、セクハラされたり、ネカマ呼ばわりされたり
ライバル認定で猛口撃っていうのもあったな~
着せ替えキャラとしては「女性キャラ」ほど優遇されているものは無いわけなんだけどね。
で、性別だけはリアルとあわせたわけですよ、どのキャラも。
あれから20年以上経つ、
各種システムエンジンの更新、稼動サーバーも13に増え、
同時通訳システムも文字から音声へそして精度も上がった。
使う側の回線速度もPCのスペックもあがった。
この1年近くはこの世界に縛り付けられたままだが、何とかやっていけている。
噂では帰還の方法は発見されたということだが帰還証明がされていない事で危険視されている。
βからやっていれば最古参で知己もそれなりに多い。
だからこそ、あんな事もやってのけたのだろうと振り返ることも多い。
まぁ今もやっているわけですが。
ギルドに入らなかったのは面倒ごとに巻き込まれるのがいやな為。
前述したように今までの様々なゲームで遊んで
ギルドシステムもしくは類似したしシステムで散々な思いをしてきたからだ。
さりとて、緊迫した戦闘も楽しみたい。
フリーハンドのレイダーとして立ち回るにはレイド向けビルドのキャラクター育成と平行して
生産系サブ職と組み合わせのよいメイン職を持たせたキャラクター育成も行うという
ハードモードだが計画的な育成が必要不可欠で、当時はその余裕がまだ有った。
キャラクター育成そのものが好きという事もあって、
レイドキャラビルドも戦術の幅を持たせたものと特化したものと2種類かな~とか
そんなこんなで変な二つ名をもらう羽目にもなったけどね。
即席でそのレイドダンジョンに合わせた有利な種族とかも持っていたりする。
この辺は特殊なケースで「私」だと知らない人も多い。
そんな暇人も開始から15年も経てば立派な社会人としての仕事もこなさなくてはならず、
レイドクエストを主体とした活動からは隠居することにした。
今度はロールプレイを楽しんでみようと思い立ち、
メイン守護戦士/サブ貴族と言うキャラクターを育てることにした。
名前は「マキシマム」最大級、それに似合うような巨躯を持つキャラクター
サブ職:貴族はプレイヤータウン以外で貴族領でないエリアに屋敷を構えて住むとそこが「領地」になり
領地を持つ貴族は大地人「NPC」から勝手にイベントが舞い込んでくるのだ、
これほどソロ・ロールプレイに適したサブ職はないだろうと思われた。
まぁ5年後にそれは大仕事となって襲い掛かってくることになったわけだが。
祝日前夜や金曜か土曜の夜に限っては助っ人依頼を受け、
平日ログインは短くなり穏やかな日々を過ごした。
以前と比べてだが。
助っ人依頼はレイド参加であることも、若きギルドメンバーの教練であることもあった。
これからこのゲームを楽しむもの達に惜しみなくゲーム知識やスキルを分け与えるのは
古参の使命でも有ると思っていた。
ログインは2アカウント同時が常で、ロールキャラと、
そのときの適正ビルドのキャラをインさせていた。
少人数のときはレベル整合の師範システムを用い
役割分担、出来ること出来ないこと、これから出来るようになることを実戦で覚えてさせていく。
攻略本や、攻略サイトにも載ってはいるが、
「目で追うだけ」と「実際にやる」のとでは飲み込みが違う。
知識をプレイヤースキルに昇華させる必要がこのゲームでは絶対だからだ。
特にレイダーを目指すべく遊んでいるプレイヤーには
ピーキーなコンテンツが舌なめずりをして待っている。
キャラクター性能だけでクリアできるレイドコンテンツなど、
このゲームの最前線のコンテンツではない。
当時から今も、どこのギルドも低中レベルの者たちの育成に手をこまねいているようだ。
80、85、90のカンスト時代が長く続き、
低中レベルの緩和施策で簡単にレベルが上がりすぎるのだ、
反比例するように教練依頼も多かった。それだけで税収なんて当てにしなくても良いくらいに。
サブ職のほうは、とんとん拍子にフラグがたち、
4年程前から辺境伯として現実世界の小田原周辺の広域を治めている。
いわゆる神奈川県西地域で箱根を除くほぼ全部といったところかな。
最初は小田原くらいだったんだけどね、守護警備とかの関係で広がっていった。
ボクスルト(現実世界の箱根)は元々大地人貴族が長年治めているので
守護の対象とはなっていなかった。
ボクスルトの領主の館は湖畔にあり、守護できる余力が無いというのが拝領理由だった。
農産物、海産物・林業も豊富なこのエリアでの領主の仕事は多岐にわたる。
産業を興す必要性はあまりないのだが、今ある一次産業は守らなくてはならない。
巡視の育成は絶対不可欠でメインを守護戦士にしておいたのは良い選択だったと今も思う。
領地を与えられる貴族は冒険者にも頼るが自前の騎士団を持つことが期待されているからだ。
街道からは少し離れているものの峠越えの前の宿場でもあるこの街は宿屋も多く警邏も欠かせない。
勿論、峠の砦に近い地勢の問題もあり、
多くの騎士団員を持つことに主のコーウェン公爵家もその同盟であるイースタルも異論を持たなかった。
ただ当時は12倍速でゲーム世界が動いており、
ログインしていない時間帯に起こる事案もあるため、
自律可能な用兵システムも勘案しなければならなかった。
また、行政官の側面も自律可能にしなければならないので執事ではなく、その上の家令を採用
こちらは再教育が面倒なので世襲制にさせてもらった。
このシステム立ち上げに、平日のログインする時間は少し増えたが
「仕事の事以外で問題解決をこなす時間」としてはリアルへのフィードバックも有意義だった。
今の巡視分隊は20、現代風に言うと2個小隊で1分隊合計12名、
地球の常識では2個小隊も巡視には割かない(紛争地域は除く)のだが、
余裕を持っての編成だ。
大体は後を継げない騎士家の子弟を雇い入れてはいるが形態はまだまだ完成形には遠い。
プレイヤーと違って育成スピードが遅く、経験地取得上限があがる50以上は育成ペースが落ちる。
彼らの寿命的にもその辺りが限度で退役していく。
守護範囲の各村や町に詰め所を設けローテーションを組んで任地へ
本部、大隊3編成とし、こちらもローテーションを組ませている、
こちらも現実世界の2倍くらいの人数。
騎士の人数が増えれば街も広げなくてはならない。
所帯を持ちたいものも居るだろうから、いつまでも敷地内の兵舎に詰め込んでおくのも酷というもの。
また、任地先での婚姻などもあり、任地固定勤務を採用したこともある。
街のサイズからするとかなり大きな騎士団になる。
峠の手前の領主の館という事でかなり広大な屋敷に家令を筆頭に20人ほどの使用人を雇用していた。
今の屋敷代は拝領地なのでかからないが使用人への支払いは自分の収益から捻出する必要があった。
当然、巡視たる騎士団への支払いも同じく自分の財布から捻出する。
すべてを税収で賄うのは簡単なことだったけど、
徴税に対する満足度の低い日本人からしたら其れは悪手に見えた。
そして薄い徴税が人を招くのはリアルで散々見てきたもくろみも有った。
自立的なAIをさらに自立的に動かすには、どうすれば言いかなんて
PC黎明期から携わってきた自分には難しい事ではなかった。
どう動けばどうなるのかは組まれたプログラムを推察すればいい。
コーディング理論を持ち込むのも問題なかろう、意識せずともレイドギルドはやっている事でもあるし。
ソロで遊んでいる分には影響は無かろうし、元々彼らは大地人「NPC」と遊ぶという感覚も無いのだ。
都市を作るゲームや土地開発をするゲームなんてものの知識も有用に思った。
運営会社も、親元の会社もチートプログラムや、サービスしているプログラムの解析は認めていないが
そこまで知悉したユーザーが居るとは思っても居ないだろうし契約条項にも掛かれていない。
そんな年齢層をメインターゲットにしているわけでもない。
ターゲットのほとんどが若年層のコンピューターユーザーでありインタネットユーザーで
その根幹を作ってきた年齢層やその歴史を知っている者ではないからだ。
村落都市自動生成プログラムでは追いつかないので利用しながら設計していく。
ゲーム以外での経験と知識を生かした実践。
用兵理論もしかり、ランドスケープデザインもしかり。
手持ちの生産キャラで稼ぐのもありだが、それはそれでロールプレイの意味がない。
農村と魚村からは多少の物納と宿屋を含めた商業施設からは納税してもらってはいるが、
こちらはAI任せでも収入が少しずつ増加するのは自明であった。
そのための補完を随時行う事。
このゲームは都市を育てるシュミレーションゲームではない。
大きな不満や、災害・戦争イベントが頻繁に起こるわけでもない。
敵対的な亜人種の被害を抑え、陳情を聞く程度でいいのだ。
それさえAI任せで半自動的に動くように組織立ててきた。
メインは、ロールキャラの守護戦士で教練で稼ぐこととしたのは前述どおり。
知己ギルドからの教練でも、他領地からの指南要請でも収入は十分得られていた。
念のために生産キャラでのマーケット販売も平行して行ってはいたが
手をつけるところまでには至ってなかった。
地勢が地勢なのでここに転地してからは着てもらうことが多いわけだが、
貧することなく順調に資産は増えていた、後に大災害と呼ばれる事件が起こるまでは。
昨年の5月のあの日、
レイダーキャラでの若手プレイヤーの教練を終え、帰還呪文で全員帰路についたことを確認した後、
新パッチのあたる日という事でこちらはログアウトし、
メインキャラをロールプレイキャラに変えて貴族の仕事に向かう。
街に立ち寄った商隊の代表者達と懇談し
いつもどおり護衛の有無と行き先を確認したあと、
新パッチがあたる瞬間をどこで迎えようか思案中にそれは起こったのだ。
突然暗転し、気が付くとアキバ(プレイヤータウン)に引き戻されていた。
視点が違うことに気が付き、周りを見回すと何が起こったかわからないといった感じの仲間達がいた。
立ち上がるとなんだかいつもの視点とも違う、
当然景色も見慣れてはいるがこんな視点では見たことがないものだった。
この体ってゲームのアバター? そんなダイブ技術なんてまだ販売されてないし持ってないぞ?
とりあえず、ぎこちないながら体を動かすことが出来るのはわかった。
う~ん、キャラメイクで見栄を張りすぎたかな、視界が下に広すぎる。
FPSも齧ってて良かったと思ったね。
それならまずはやることはひとつ「領地にとって帰さねば」だ。
こちらがこんな状態なら、あちらもきっと混乱していよう。
北側の高速の残骸から飛び立てば問題なかろうと街を北上する。
あちこちに仲間が茫然自失か苦情で騒ぎ立てていたが、情けないなと思いつつ知らん顔。
マジックバックを漁ってグリフォンの召還笛を吹く。
一緒に生肉も取り出し、呼び出したグリフォンに与える。
騎乗中に確認できることは一応確認してみた。
集中すればメニュー画面が開けること、念話は生きてるがサーバは従前通り越えられない事。
ログアウトとGMコールが選択不可になっている事。
フレンドリストを見ると在日本のプレイヤー大部分がこれに巻き込まれていたようで
情報は後からでも得られそうなこと。
海外も少ないながら居るんだろうな~と思いつつ、
サーバーを超えた念話は出来ないため、ちょっとお預け。
このフレンドリストのシステムが厄介で
本人の承諾無しに目の前に居ればリスト追加できてしまうこと。
そして登録通知がされない事。
個人的には嫌悪し、承認を得た「フレンド」しか私のリストには居ない。
メニュー画面を見ながらの戦闘行為はかなり厳しい事が予測された。
この体自体はレベルに見合った高性能らしいから、視点に慣れる事と動きに慣れる事が不可欠。
それは勝手に騎乗生物を御せていることからも分かっている。
視点はFPSの感覚を取り戻すとして、問題はジョブの動きだよな~剣道の二刀流を応用かの。
多分、メニュー画面を見なくても音声入力と動作入力が可能なこともグリフォン制御から推測できる。
ちょっと騎士団員と遊ぶか、そんな時間有るんだろうか?
グリフォンで屋敷の敷地に降りることは少しためらわれたが、
この屋敷は結構広いので今回は勘弁させてもらった。
「おかえりなさいませ、マキシマム様」
いつもどおり家令が迎えの挨拶をしてくれるが、いつもと違って二の句が続いた。
「早速では有りますが、陳情が殺到しております、至急対応をお願いしたく。」
やっぱりそう来たか。
「わかりました、緊急事態の様ですので手短に指示を出します。」
「まずは本部第二大隊長と街に戻っている巡回分隊長全員、
それから陳情のある無しに関わらず、
この街に滞在中の商人および商隊代表者を呼び集めてください。」
「かしこまりました」
分隊長達には巡回地の冒険者への依頼事項の有無の確認を。
商隊の代表者には護衛の有無と行き先と再確認を。
第二大隊には街道警邏を小隊編成で指示。
商人の申し出は書記官にまとめ、サインをもらう事をを指示。
矢継ぎ早に指示を出す。
伝令の早馬を峠の砦と主のコーウェン家へ
主家へは本来なら通信官が魔具を使って行うのだが機能していないと報告があり、早馬を出した。
ボクスルトはとりあえず大地人貴族が居るから放置、
プレイヤーが居たとしてもどうせほとんどが温泉客だ。
収入は減るだろうが警護危機は無いだろう。
護衛の希望がある商隊には残ってもらうこと。
街で冒険者に依頼をした者がいなかったかの確認を家令に指示。
彼の家はこの街でも旧く領主が居なかった時代は顔役の家のひとつだったそうだ。
一息ついたところで
残っていた商人達とメイド頭を筆頭に残っている使用人たちとに集まってもらう。
「これは領主の私の意見ではなく、冒険者の意見として聞いてください。
私たち冒険者にも困ったことが起こっておりまして、混乱が起きています。
これが収束するにはまだ時間がかかると思われます、
火急の荷物、足の早い荷物ををお持ちの商人の方にご協力願いたいのですがいかがでしょうか?」
「内容にもよるな」
「足の速い荷物は一旦こちらで買い取らせていただくか、乾物加工か塩蔵加工をお願いしたいのです、
どうでしょうか? 勿論作業場所は提供させていただきます。」
「食い物は仕方ないな、護衛の目処が立たないんじゃ動きも取れん」
「火急の物としては薬草などが有りまして、こちらは生でないと効能が失われるものもあります、
どうにかなりませんか。」
「分かりました、薬草に関しては優先するものと行き先と量を書記官に伝えておいてください。」
「生物のほうは買取をお願いしたい、今の仲間には加工技術なんて持ってるのはいねぇからな。」
「わかりました、こちらは種類と量と取引予定の金額を書記官に伝えておいてください。」
「宿に関しては今夜以降出発の目処が立つまでこちらに請求をまわすように手配します。
荷がなくなった方で街道沿いの街に活動拠点を持つ方は順次出発してください。
「赤土の街道」の防御機能は維持されていることが確認できていますので安心してください。
街道沿いに活動拠点のない方は屋敷の準備が整い次第、一度こちらに居を移していただきます。
帰路の安全が確保され次第出発していただくことになります。ご協力よろしくお願いします。
最後にこれは絶対に守っていただきたいことですが、
私が冒険者であることは口外しないように願います、余計な火種にはなりたくないので
書記官(筆写師)作成の要望書類に署名した時点で強制事項とさせていただいております。」
「有能な主に雇われて光栄です、こんなに話が出来るようになるとは思いませんでしたが。」
と家令がいう。
「こんな事になるとはね、でもそんなに難しいことではないと思うのだけど?」
「この地はご存知のとおりの地勢ですから、文官よりも武官よりの方が治めることが多く
マキシマム様も騎士様ですから、ご同様の方かと。
それに不在がちでしたので、少し面倒な方とも思っておりました。
しかし軍用知識・市外区の整備と通商と多彩な才能もお持ちでしたし。
この方は「貴族」なのだろうかと思うほど贅沢を望まれませんでしたし。
さらにこの事態での、先ほどの冷静で矢継ぎ早な指示と
”市井の者への温情”は目を見張るべきものでした」
「う~ん、私が住んでいた世界では割と普通なことなんだよ、確かに慣れている事ではあったけど」
使用人は家令を含めて皆、明日以降の激務に備えて早く休んでもらうことにした。
「さてと」
書記官がまとめてくれた買取希望の価格を見てみる。
少し手持ちの金貨では余裕が無いし、落ち着いてくれるまでは確実に時間がかかる。
また宿代のことも勘案すると多めに持ち出さなければならないだろう。
アキバに戻らなければ金貨は引き出せない、
このゲームの面倒な問題で日本サーバには基本プレイヤータウンにしか銀行窓口がないのだ。
一部例外も有るが、ここから一番近いのはプレイヤータウンのアキバ。
その代わり、この銀行窓口はアイテムも預かってくれるのでありがたい存在ではある。
フレンドリストから最古参のフレンドを呼び出してみる。
β時代から居る猫人族のにゃん太さんだ。
初期のころはレベリングもしたし、フリーのレイドコンテンツにいっしょに参加もした。
彼の所属ギルドへのレイド参加こそ無かったもののいろいろ遊んだ。
サブ職料理人を上げるときの師匠にもなってもらった。
茶会の初期には補充で参加もした、最終的な定期参加は固辞してしまったが。
「久しぶり、今は北の地ですよね、今大丈夫ですか?
そちらの混乱具合はどう?」
「誰かと思えばマックスちではにゃいですか。懐かしいですにゃ。
こちらですかにゃ?
こちらは荒れておりますにゃ~
今も一人、難儀している若者を匿っているところですにゃ。
そちらはどうですかにゃ?」
「アキバは混乱していると思うよ、私は自分の領地に戻ってきているけどね。
プレイヤータウンだと気がつかないかもしれないけど大地人が増えている気がする。
まったくのフリーだったらお願いしたいこともあったんだけど、その子の事が先だね
そうそう、銀行からお金と当面要りそうなアイテムを引っ張り出そうと思っているんだけど、
ソロとしては何がいるかな?」
「そうですにゃ~、サブ職のスキル上昇アイテムにゃどは有用かにゃと
今のキャラのサブ職は貴族でしたにゃ、
レベル半分としても作れるものがあったほうが楽だと思うんだにゃ」
「あのマゾ納品クエスト報酬のアイテム類ですか?」
「そうですにゃ」
「全部持ってるけど、全部は要らないよね」
「そうですにゃ、こんにゃ状態にゃから武具修理はにゃいと思いますし、
食事と薬品と紙とペンですかにゃ」
「教練とかやってそうなギルドは未だ少ないだろうし、依頼もなさそうだしな~
確かに書付は増えそうだ。
ありがとう、またゆっくり話せるときにでも」
朝までに帰る旨の書置きをし、再度グリフォンでアキバに戻る。
ギルドホールに入ると珍客が。
大手戦闘ギルドのマスター2名に副官2名の計4人。
4名とも見覚えがあり、レイダーとしても教練者としても繋がりがあった。
通称:先生でホネスティのギルマスでナギのアインス君
通称:黒剣で黒剣騎士団のギルマスで守護戦士のアイザック君
その副官でクレリックの苦労性レザリック君
DDDの教導隊長でソーサラーのリーゼ嬢
フレンドリストの機能には同じエリアのどの辺りに居るかの表示もしてくれる
ありがたくも無いストーカー仕様・・・・・。
「この街の名人3名とその副官がどうしました?」
「本当にサブ職;貴族なんですね」
とアインス君。
「ま、たまたまね隠居用のロールプレイキャラだし」
「隠居と言う割にはぱっと見のビルドはフォートレスか」
同じ守護戦士のアイザック君。
「守護戦士/貴族ですからね、守るものが多いから当然のビルドだと思いますが
それに大地人には「騎士」で通りますからね
モンクのほうがソロ向きですが、サブ職との相性も考えてね
で、こんな隠居に何の用事です?」
「そりゃおめ~この5年、ギルド問わず若手の教練依頼は受けてたが
プレイヤータウンに寄り付かなかったじゃねぇか」
「しかも90ですか、聞くところによると教練キャラもすべて90になっているとか?
どこが隠居だとか思いますよ?
当時のカンストは80でしたよね?」
相変わらず、「黒剣の突っ込み役」レザリック君が追撃してくる。
「ま~戦闘依頼も受けてましたしね、カンストしてないとお話にならないじゃないですか」
「そうですね、こちらも依頼はしておりましたが銀行振込みか、直接払いでしたし、
依頼は念話とメールで済ませてましたから、何事かと。」
「うちも同じようなものですわね、
ギルド立ち上げ時のことは私はわかりませんがお世話になっておりましたようで
教導部隊はありましたが、若手の育成はなかなか困難でしたし
櫛先輩から引き継いだばかりでしたので この半年くらいは特に依頼が多かったですわね。
って私も有名人なのですか?」
「まぁ資金繰りには困らなかったから出向く必要がなかったと言うだけですよ
で、今になって現れたから驚いたと?
リーゼさん、自覚ないですね?
DDDの三羽烏で櫛さんが教導隊長を譲ったとなればそれなりに噂になるでしょう?
そしてプレイヤー暦からはちょっと図れないほどの修練と技量。
DDDという所属ギルドの特性でもあるとは思いますが、ご自分の特性でも有ると思いますよ?」
「こんな状態ですし、仕切れる人材が欲しいというのが本音ですね」
「そうなんでしょうか?
私はまだまだな気がしていますわ。
わがギルドも同様ですわ、小さなギルドでは不安があるようで
受け入れていたらちょっと飽和気味で
櫛先輩も完全に退団してしまって、
いいタイミングで現れてくれましたので
ミロードから一時的でもいいので勧誘してみるようにといわれまして参りましたの」
「リーゼさん、その気持ちが大事なんですよ。
エルダーテイルというゲームは自己満足してしまったら新しいレイドにはついていけなくなる。
レイドギルドに所属している意味も無くなる。
高山さんじゃなくリーゼさんなのは櫛さん関係で思うことがあるのですね、クラ君は
あ、答えなくても良いですよ、ギルドの内部の事ですから、情報公開する必要は無いですよ
むしろ、この状況で情報公開しちゃだめな事だと思うし。」
「うちは違うぜ~、レイドしてぇって時には声かけてくれよって挨拶だ
おめ~ほどの廃人な奴は中々居なくてよ」
「私程度ならゴロゴロ居るのでは?」
「兵科バリエーション的におめ~ほどの廃人はいねぇよ、ちょっとは自覚しろ、
ダブル12クラウン、こんな二つ名持つ奴なんて他に誰がいるかよ
生産系ギルドの連中に聞いたら、他にも生産職も何キャラか育て上げ終えてるって言うじゃねぇか」
「ま、今はこんな状態なので守護戦士/貴族しか出せませんけどね
フリーのレイダーでしたから、その辺も自己完結できないと
本当の意味での「フリー」じゃなくなりますしね
渡り歩いた中のゲームの猛者たちは私以上のキャラ持ちも居ましたよ?」
「今は攻略サイトなんざ見れねぇんだ、その幅の広い知識と軍略も買ってるって事だぜ」
「皆さんのところはとりあえずは落ち着いてる感じですかね?」
「うちは戦闘訓練始めたところだな、女のほとんどが「ハーレム」に行っちまったが」
「あぁ西風さんは元々二重構造ギルドですから仕方ないでしょう、
潜在ギルドメンバーが本来の居場所を求めたという感じでしょうね。女子を甘く見るからですよ。
ソウジロウ君は女の子にやさしいですから入団希望は受け入れるでしょう、
SCFでしたっけ、その組織図に則れば良いから、事務方役割分担も大問題にもならないでしょうし」
「ま、違いねぇ。」
「私のところは中小の受け入れで、まだまだですね、そろそろとは思っているんですが
それよりも巡回重視かなと思っています。」
「わがギルドでは教導部隊と有志での戦闘調査を始めました。全体の戦闘訓練は難しいですわ
それとPK被害が増えました、部隊を巡回させ始めてはいるのですが・・・。」
「ミニマップが使えない事の悪要因かな
しかし、日本でさえたった一日でもはやこれですか? 他サーバの状況はもっと深刻そうだな~
あとで連絡とってみるか」
「そうですわ、不意打ちの成功率が上がっているせいで
PKギルドで無かった者まで行っているようですわ。
ただしパーティデュエル感覚でやってたギルドは行っては居ないようですわ。」
「他サーバって、おめぇ」
「当然フレンド世界中に居ますよ、伊達にβ時代からやってませんから、
現地の大地人にもね、代替わりはしてますが繋がりはありますよ。
このキャラでのあいさつ回りも済ませてありますしね、現地に飛べば念話は可能です。
拝領するまでは、割とウロウロもしてましたし。
大地人たちが持つ通信アイテムも所持してますし。
便利アイテムも持ってますから問題ないですしね。」
「戦闘訓練をしたということは」
「おう、経験値入ってくるぜ。」
「経験値は相手が相手なので少量ですが入ってきますわ
ミロードはお一人で元々経験地補填できるところで訓練されてた様ですが」
「ということはパッチがあたってるということですね、ますます不確定要素が増えたということですか」
「そうなりますね」
「なるほど
わかりました。
辺境伯としての役割があるので優先事項は曲げられませんが
低レベルプレイヤーや零細ギルドの受け入れは可能ですよ。
彼らが怖がっているのってPKとレベルを常時意識させられる雰囲気ですよね?
それにギルド間の軋轢とギルドサイズによる格差もあるかな。
PKもPvPではなく、金銭・アイテム目的の。
今後改善の目処が立たなければ、もっと増えると思います。
古宮廷の森かヨコハマ辺りまで護衛出して送り出してくれれば問題ないかな。
「赤土の街道」の防御陣は機能していますから、
モンスターの急激配置変更が無ければ大丈夫でしょう。
まぁ大地人も使うのでそんな変更は無いと思いますが」
「さすが、推察が早い。あちこちMMOをわたり歩いていたって言う話は伊達じゃないな。」
「その辺は申し込みギルドの方の思惑もあると思うので念話で連絡入れます。」
「こちらもその形にしたいと思いますわ。」
「入団希望以外でも相談レベル、
紹介して欲しいなどのレベル、
保護したけど処遇に困るレベルでも受け付けますよ」
「俺んとこはそういう心配はない、今も入団制限つけたままだからな。」
「一応、これで今夜の用事は終わった感じかな?
あ、私からの忠告です、「大地人」NPCはNPCじゃなくなってます、気をつけるように」
「なんじゃ、そりゃNPCはNPCじゃねぇか」
「いずれ分かりますよ」
「おう、またな」
とレザリック君を置いて先に出て行く
「えぇそうですね、ひとまずご挨拶という事で。」
続いてアインス君も出て行く。
「とりあえずは、ギルドに持ち帰り報告しますわ、正式な依頼があればミロードか高山先輩から」
「了解、じゃ用事済ませて帰るわ。皆が起きる前に戻らないと事が滞る。」
「本当に領主なんですね~」
レザリック君が聞くともなしに言葉にする。
「そうだよ~こんな状態になってさらに明確になっちゃったって事かな」
「性分ですね」
「そうだね、でもお互い様でしょ、レザリックさん」
「そうですね、では私も戻りますね、やる事がいっぱいで」
と最後の一人も去っていく。
大手ギルドといえど、人材流出よりは囲い込みの方が重要だったようで
実際に避難して来るプレイヤーや零細ギルドは皆無だった。
数を頼りにって言う考え方は個人的には好きではなかったのでちょっと
引っかかったが、直接的に関われないし、優先事項的に
高性能な体をもつプレイヤーのメンタルケアなんぞに関わっている暇は無い。
さてさて、時間食っちゃったから急がないとな。
やっぱりPKを辞めてない奴らが居るということで帰りも北方面からか~。
一人ごちて移動した。
翌朝、家令に金貨を渡した。
「とりあえず、これくらい金貨あれば足りるかな?」
「そうですね、何とか致します。」
「書記官のまとめた額以上は持ってきてるはずなんで、吟味はしても買い叩かないように。
それと護衛を付けますか?」
「ご配慮ありがとうございます。
この街はおかげさまで貧富の差が激しくないので街自体の面倒は起こらないと思います。
昨日のこともございますし、商人たちが何か仕掛けてくるという事もないかと。」
「残りはこの街の依頼処理だね」
「そちらはどういたしますか?
普段、冒険者の方々が多く立ち寄るわけでは無いのでそう多くは無いはずなのですが」
「で、どのくらい有るの?
ふむ、思ったより有るね、火急のものは?」
「さほどではないかと」
「私が回ると威圧感出ちゃうよね?、
申し訳ないけど、この館に集めてもらえるかな
それから早馬からの帰還連絡は?
それと通信のほうは変化なし?」
「峠の砦からはもうそろそろかと、分隊長たちもそろそろお戻りかと、主家からはまだ少しかかるかと
通信官からは復帰したとはまだでございます。」
「了解、メイド頭さんも呼んでくれるかな」
「かしこまりました、こちらに出向くよう伝えておきます、では私は街に。」
「よろしく。」
「お呼びですか?、マキシマム様」
「呼び出して申し訳ないね、今日の割り振りはいつもどおりかな?」
「はい。」
「予定変更で、昨日話を聞いていたと思いますが、
全客室と使ってない兵舎の整備をお願いします、身動きできない商隊を迎え入れます。」
「よろしいのですか?」
「非常事態だ、冒険者の都合で彼らにずっと身銭を切らせるわけには行かない。」
「かしこまりました。しかし今の人数では今日中の支度は難しいと思います。」
「何名ほど必要ですか?」
「あと5名ほどは」
「分かりました、スカウトはお任せします。」
「ありがとうございます、では早速準備に取り掛かります、報告はどちらに?」
「書記官に伝えておいてください。」
「薬草を運ぶ予定の商隊の代替をしなければならないので、昼間は留守が多くなると思います
家令と合議の上、資金や使用人雇用の問題があれば書記官に伝えてください、
夜には目を通して、指示を書き付けておきますので」
家令の後について、こわごわと屋敷の広間に町の人が入ってくる。
「とりあえず、座ってくれるかな?」
「よろしいのですか?」
「構いません、今は協力する時期ですし、依頼者と履行者代行という立場でもありますから。」
「ありがとうございます。」
「目の前で消えちゃった人も居ると思うんだけど、手上げて」
その声に、おずおずと何人かが手を上げる。
「ふむ、ではある程度はどういう状況になっちゃってるかは分かっているという事でいいのかな?」
「私が聞き取りしたときに簡単に説明してあります。」
「おぉ助かるな。」
「では、私は商人たちのほうへ」
「お願いしますね」
「では、仕切りなおしてと
皆からの要望は読ませていただきました。
説明は聞いていると思いますが、
これは領主の私の意見ではなく、冒険者の意見として聞いてください。
私たち冒険者にも困ったことが起こっておりまして、混乱が起きています。
これが収束するにはまだ時間がかかると思われます、
すぐに対応できるものと、お待ちいただくものとになると思うのだけど了承していただけますか?
薬草の配達も含めて、現状のところは私一人で対応することになると思われるので」
「領主様にそのようなこと・・・・。」
「私は貴族でここの領主だけど冒険者でもあるから、
今までの領主と同じに考えなくていい遠慮は無しだ
仲間の冒険者が履行できなかった依頼をこなすだけだ、気にしなくていい。
ただ報酬は慣例どおりいただくよ、それも今までと同じ額で構わない。
ただし、私が冒険者であることは口外しないように願います、余計な火種にはなりたくないので
書記官(筆写師)作成の要望書類に署名した時点で強制事項とさせていただいております。」
ここはお使いクエストなんて少なかったはずなんだが、この量はちょっと不可思議だな。
日本より早くパッチがあたる国は無いはずなんだが・・・・。
直前に大地人が増えたって事か?
予兆があったということだよな~。
パッチと何かが合致したと推察も出来るな。
となるとイズモ騎士団も変容してるか、いないかか。
ま、なんとかなるでしょ、するしかないし。
そうこうしている内にお昼になった、
昨晩の夜食と今朝の朝食で飲み物に味が無かったので覚悟はしていたが、
やっぱり料理にそのものの味がしない。
果実には味があったので素材自体には問題が無い。
栄養バーでも平気な私でもこれが毎日続くとなるとめげそうだな~とは思った。
とりあえず、済ませて巡回や砦から戻った者の話を順次聞いていくことに。
とりあえずは砦以外は護衛依頼は無かったという事だった。
農村のほうは開墾がストップしてこの秋の増収は見込めない旨の報告が挙がっていた。
漁村のほうは今は漁期では無いということで問題なし。
その砦も、予想通りボクスルトからの定期防衛依頼ではなく
滞在していた商隊の護衛任務で峠を越えた後、伊豆方面に行くことになっていたと報告を受けた。
漁村については漁具の安全確保をした後、農村での開墾の手伝いに回ってもらうように指示を出し
伊豆への商隊に関してはうちの分隊を4つ貼り付けることにした。
その分、こちらが手薄にはなるが海洋型のサファギンは一旦無視し
農村地帯をメインに詰部隊とは別に、巡回分隊を4つの変則ローテーションを組んだ。
山に住むオーガが降りてくることは滅多に無いのだが、
一応安全マージンはとっておいたほうが良かろうと。
薬草の配達は早馬と手分けをして届けることに。
山間部はの私が担当、街道沿いは早馬に担当と振り分けた。
グレートウルフとグリフォンもフル稼働だった
当面の渉外窓口は家令に再度依頼し、再度早馬にて主家に報告を入れる。
東西の出入り口と宿屋に案内板を張り、
依頼がある場合は家令に申し出をし、書記官を通じて私の執務室に置いてもらうこととした。
やらなければいけない事があるというのはいい事だ。
立ち止まってはいられない。
他人事と切り離すことは出来ない、ここの領主なのだから。
巡回ローテーションの見直し、
領地内の視察、新たな陳情。
立ち寄る商隊たちへの対応。
持ち込まれる荷駄の買取。
う~ん、商人貴族になった覚えは無いのだが・・・・。
昔からあるという氷室も使うようになった。
ある夜、念話の呼び出し音がなった
「お久しぶり」
「1週間くらいぶりですかね?」
「そのくらいですにゃ、我輩ススキノからアキバに移ってきましたにゃ」
「ということはかくまってた若手も無事に所属ギルドに帰還できたと」
「そういうことですにゃ」
「新人プレイヤーを強制入団させて、酷使しているギルドがあるって噂が流れてきてるけど
実際のところどうですか?」
「EXPポット(経験値取得ボーナスアイテム)を売りさばいているギルドがあるので
そこに目星をつけて調査中ですにゃ。
早暁、うちのギルマスが結果を出してくれると思いますにゃ」
「買ってる馬鹿どもは?」
「黒剣と銀剣がメインですにゃ、他にも居るようですが大手はそんな感じですにゃ」
「黒剣には釘指したんだがな~、やっぱ無理だったか
ギルドってあの種族限定の?」
「あのギルドは風雪に耐えかねて倒壊しましたにゃ
まぁ数で押せないならレベル上げるしか牽制手段がないですからにゃ」
「あぁギルマスのたまさんは行方知れずのままでしたよね。
ということは新しいギルドに入ったんですね」
「そうにゃ」
「それは良かった
私は元々フリーランスを貫いてたけど、にゃん太さんは違っていたし
一人で居ても大丈夫な人だとは思っていたけど、気になってね」
「我輩のことよりマックスちはどうなんですかにゃ?
ギルドに忌避感をまだお持ちかにゃ?」
「ほかのゲームのギルドと混同してるとは思いたくは無いんだけどね。
レイドギルドはね~、レイドは嫌いじゃないけどアイテム争いは
やっぱりどんなにバランサーが働いても起きるものだしね
欲しいものとったらさよならって奴も居たしね。
思惑から外れたものをグリーダー(欲しがり屋)呼ばわりして排斥した輩もいたし。
支援系も誰が組んだの組まないの占有してるのしてないのと面倒なことばかりで
女性キャラで遊んでればそれはそれでまた面倒が増えて。
挙句、リアルのことを聞いてくる失礼な奴も居たわけで
さらに言えば、 このゲームでは逆に「傭兵」にエクストラアイテム渡すことはほぼ無かったし。」
「まぁ一番分かりやすい悪い側面ですにゃ、
ま~このゲームのギルドシステムだとグリーダー(欲しがり屋)は
このサーバーから逃げ出す算段もしてるんにゃろうにゃ
画面の向こうにいる”中の人”に興味を持ちすぎるのも確かに悪い側面ですにゃ」
「ま、今は貴族としてこの地を守ることに精一杯ですけどね」
「そうですにゃん?」
「ははは、一応、そういう事にさせてください。
アキバの雰囲気はどうですか?」
「そういう事にしておきますにゃ
アキバは少しずつ改善されてますにゃ、
あと1週間くらいで結果が出せそうですにゃ」
「それも新しいギルドで?」
「えぇ今のギルマスは非常に賢い若者ですにゃ」
「あぁあの「茶会」の参謀役だったシロエ君かな」
「あたり、見事ですにゃ」
「にゃん太さんが誉める子はなんとなく分かるよ
でも、あの子もギルドには忌避感を持ってたんじゃなかったっけ?」
「居場所を作るのを怖がってましたからにゃ、今は少し変わったようですにゃ。」
「それは良かった、ちょっと心配だったんだよね、レイドチームが解散した後のあの子。」
「あなたはどうなんですにゃ? マックスち。」
「私の居場所は今、ここだからね。ここが”我が家”ですよ」
こちらが怒涛の業務と調査に明け暮れている間にアキバに良い変化が訪れていた。
合議制の円卓会議という自治団体が出来、悪質ギルドは追放・解散との結末を聞いた。
あの時は話せなかったけどと「料理の秘密」を念話でも教えていただいた。
何の事は無い、システムに頼らず「手料理」すれば良いだけの事だった。
エプロンつけての手料理だからどのくらいのものが出来るかは分からないけど
味のする料理が食べられるというのは朗報だ。
これでも一人暮らし暦はそこらのプレイヤーの年齢よりも長い。
とりあえず、ちょこちょこと試しに作ってみては、この屋敷の者にも教えていた。
騎士団教練に混じって肩慣らしも済ませた。
亜人間なんてどうとでもなるが
PvPに苦手意識がある私は慣れるために
刃をつぶした剣を持ち、時には素手だけで、
部下たちには実剣を持たせ重武装の複数で囲ませ訓練に明け暮れた。
少し遅れてミナミとウエストランデにも大きな変化が訪れていた。
警戒と情報収集の通達がイースタルから出されていた。
「ふぅ」と息をつく。
それから10ヶ月くらいか
夏に東北山間部に拠点を置くゴブリンの大侵略、呼応したチョウシへのサファギン侵攻こそ有ったものの
それを機に一気に話が進んだらしい。
円卓会議とイースタルとは不可侵条約と通商条約が結ばれた。
往来の便宜を図るように通達が出ていた。
あれから冒険者の往来も増えたように思う。
当然、就職希望の冒険者も。
西に移るもの、東に移るもの、都市間トランスポートシステムが沈黙したままの今、
移動は中世さながらの騎馬か、馬車での旅になる。
召喚師、サブ職が各テイマー職か大手ギルドでなければ、
長距離飛行可能な騎乗生物や大型の長期召喚生物を得られる手段は無いわけで。
あのギルドにも変化があったようだ。
ギルドネームをつけた幌馬車が街道をとおっていくのを見たと巡回の騎士から報告を受けた。
乗っていたのは若者でしたとも、
当然「彼ら」ならば、「馬車」という選択自体が無いわけで。
後にきこりが助けられたことも報告があがってくることになるのだが。
いいタイミングで念話が入ってきた。
西の領域、厳密には緩衝地帯に入る前に事前情報が欲しいと言う事でお昼がてら話を聞きたいとの事。
そうこうするうちにグリフォンの羽の音がした
「やぁ顔を合わせるのは久しぶりですにゃ」
猫人族なのでどうなのかな~と思っていたけどなんとなくリアルの面影をもつ懐かしい顔が有った。
人の顔を持つ種族ほどは反映されてはおらず、一番反映されては居ない種族であるとも言える。
「あなたもあなたらしいですにゃ」
外観補正は受けていてもなんとなくリアルの自分に似ているらしい。
「気づかれないように護衛ですか?」
「ちょっと過保護にゃ気もしますが、ウエストランデの勢力圏内での活動になるので念のためにゃ」
「ということはマジックバックのアイテム取りですか」
「察しが早いにゃ」
「定番のアイテムハントエリアでしたからね
安全をとったら、北西埼玉を含む北関東や東北山間部よりはこちらにくるのは順当かと
あちら側ではオデッセイア騎士団と名乗る冒険者たちが警邏しているとの情報を得ています。
が、騎士団名からすると「無理やりにでも帰還したい冒険者達」の一団だと推測されます。
噂の「一定回数死ねば帰れる」って奴を行動に移してるって事です。
ちなみにギルドネームでは有りません、所属はミナミのギルドです。
「北風の神殿」という未知の魔具を持ち、復活地点を持ち歩いています。
峠の砦で怪しい魔具という事で供出を求めさせましたが、断られたので
其れを理由にボクスルトからはイースタルには入れない様にボクルスト領主には依頼してあります。
守られているかは分かりませんが、私が守護する領地には入れておりません。
それから用いられている技術のせいでしょうか、
念話や通信魔具が機能しなくなるとの情報もあります。
確か設定上は魔法文明を築いたアルブ族の魔法技術となってますね、
多分、GPS的なガイドビーコンとして共用システム運用になってるんでしょう設計上。
すべてそこが原因かと」
「都市間トランスポートシステムの停止と、フェアリーリングシステムが不安定にゃのは?」
「知っています、ここには結界都市ではありませんし、衛仕も居りませんが、
魔具での通信システムが一時的に停止し、早馬を主家まで出しましたので
今は、現実世界の知識と理論を用いて独自の結界を敷いています。
暇そうなフレンドに聞きまわって確認もしました。
アキバに出向く用事が有っても、見てる暇は有りませんでしたしね。
フェアリーリングシステムは外部情報の補完があったからこそ使い物になっていたわけで
今の状況では無理ですよね、
このヤマトサーバで「獅子心王の篭手」なんて
ネタアイテム持ってる人はほぼ居ないと思いますし。
あ、このアイテムは誰かが思い出して円卓に提案するまでは黙っておいてください。
する事が減ってしまうのは、今のプレイヤーには問題があると思うので。」
「そうですか、
アイテムの事は了解しましたにゃ、やる事がなくなるのは困りますにゃ。
そんな事がにゃ~」
「えぇ有ったんですよ
あ、それから西の軍隊、こちらはミズファ将軍率いるウエストランデ正規軍ですが、
動きが怪しいです、お気をつけを」
「ギルマスに報告を入れても?」
「構いません、イースタル経由で情報を流す予定でも有りましたので
魔具については現地に入ったあの子達と合流してから精査して報告でもよろしいかと
密偵たちからの情報です、
今の私は基本ここから動くことがままなりませんので精査の必要はあるかと」
「本当に貴族で領主にゃんですにゃ~」
「そうですよ。それから、ちょっと長くなりますが、謝らなければならないことも」
「何かにゃ?」
「あの日、私は仲間である冒険者たちを見捨てました。
まぁ最優先事項ではなかったというのも有りますが。
その見捨てた後ろ暗い気持ちもあって
初日の晩に会ってしまった3つの戦闘系ギルドのマスターもしくは副官相当地位にあるもの
4人には忠告しました。
大地人のこと、大手に入りたくは無いギルドやソロの存在もそれとなくね。
アイザック君は仕方ないとしても
アインス君なら気が付く、報告を受けたクラスティ君なら気が付くと思っていたんですが
それどころではなかった様です、手が足りなかったんでしょうね。
そして忙殺もされていたんでしょうね、
自分たちがしていることに対して、所属していないプレイヤーがどう思っていたか。
そして中小ギルド連絡会会議が失敗したときにも大手ギルドの幹部は関係ないと放置した。
まぁだからこそシロエ君は事体打開に動くことにしたんでしょう。
そして理解も情報収集はしても正確に吟味されないまま、
会議当日の朝を迎えたことも、知っています。
当日、シロエ君がギルドホールを購入したことも。
そして、シロエ君が諦めた時の事も考えて色々と動いていました。
「わからずや」には「銀行封鎖」と「不死なる生存権」を取り上げても良かろうと。
最悪、見た目には濡羽とインティクスと同じ事になるかもしれない事をやろうとしていました。
私のサブ職は「貴族」LV90の辺境伯です。
そしてイースタルの防衛最前線の拠点武家領主でもある。
冒険者が大地人にとって脅威にしかならないのであれば見逃す事は出来ない。
ギルドホールの買いなおし、大神殿購入の資金を転がすことなど造作も無い。
帰還呪文は一日1回使えた訳ですし、
このガントレットがあれば、その一回も減らせることが出来るし、
アキバによらずに、根回しして回るのにもちょうど良い。」
「そのガントレットはにゃんですかにゃ?」
「あぁ「クール・ド・リオンのガントレット」ですか?
元「獅子心王の篭手」です、これは私の持つ口伝のひとつです。
出来る幅が広がっているのは確かですが、
プレイヤースキルと持ち合わせている知識と理論さえあれば
メイン職、サブ職に限定されずスキルは発動します、その見本みたいなものですね。
スキル判定でゲル状になってしまうという認識がまだ一般的ですが、そうではありません。
「複数のキャラクターを育てていない」という事でも有るんでしょうけれども、突破は可能なんです。
これが「複数の生産職キャラクターを持っていた者特有のもの」かは分かりません。
原理としては錬金術師スキル+素材に関する生産職スキルの複合のようなものです。
いくつか製作級のアイテムで試してみましたが、1度しか変化しませんでした。
それから、アイテム名やフレーバーテキストの内容を凌駕するような
素材アイテム変更は不可能でした。
アイテム名ですが、名前は変わったように見えますが、意味は一緒です。
彼の居た時代に呼ばれていた名前に、
彼が騎士王だったので、
レイドモンスターのグリフォン王由来の金を施した革の篭手から金属の篭手に変化されました。
英語自体、言語学的に見て比較的新しいものだという事はご存知ですよね?
そして彼自身、フランスで生まれ育ち、戴冠するまでの領地はフランスに有った事も。
戴冠してからもフランスに住みつづけていた事も
理を超える限界なんでしょう。
理を超えるには生産職でなければ難しいと推察しています。
ケミカル・コンバートと名前は付けています。」
「それから、にゃん太さんはシロエ君から話を聞いていると思いますが
濡羽が使っている「情報偽装:オーバー・レイ」
実は似たものを私も使えるんです。
頃合的にはにゃん太さんがアキバに来られる前には、使えるようになってました。
彼女は会得するまでに多少時間がかかっていた様ですね。
それは彼女が基礎となるサブ職やプレイヤースキルを持っていなかったから。
リアルの「知識とスキル」は有ったと思うのですが、
エルダーテイルでの理論展開できずに実用化までに時間がかかった。
私のサブ職は「貴族」です、
貴族政治の中では仮面を被るのはほぼ当然ですから、そこから発展させました。
また自身の冒険者という身分を隠すのにも有効でした。
それと彼女の「オーバー・レイ」との差は「プレイヤーの機能を使っても本体に戻らない」事です。
アキバから身を隠すのに有効でした、帰還呪文を使っても冒険者に戻らない。
ウエストランデ執政家のある都市にはプレーヤーでは入れません。
その分、ミナミの動きが少し遅くなった。
それはイースタルにもアキバにも幸いしました。
インティクスは悔しい思いをしたと思いますが。
あといくつか増えていますが、その情報は今、明かした2つだけで伏せておきたいと思います。
口伝は自ら研鑚して得てこそ口伝。
ヒントや種を明かしてもたどり着けるか付けないかはその人次第なので格差が生まれます。
なので伏せます。それにソロプレイヤーに対する嫉妬ほど恐ろしいものは無い。
メイン職に関係するのか、サブ職に関係するのか、プレイヤースキルに由来するのか、
この3種であることは共有されていると思っておりますし。
元々、シロエ君の全力管制戦闘自体もそんなものでもありますからね。
サブ職が軍に関係しない職業であるのに戦闘指揮のレベルが異常に高い。
カナミさんのおねだりがその起点なんでしょうけどね。
ただのゲーム知識がプレイヤースキルと昇華した、だから「今」もつかえる。
たぶん、「口伝」だとは意識していないでしょう、
でも今のエルダーテイルでは「口伝」といっても良いほどの異能です。
話を戻します、そして本題です。
会議がほぼうまく行ったので実力行使に出ることをしなくて済みました。
しかし
その間に「殺人鬼」に図らずも仕立ててしまったプレイヤーが居たことも知っています。
大神殿を購入し、一旦全員入室不可にしておけば復活できない、
よってPKが粛清されれば更なるPKは生まれない、
また、死に戻りした低レベルプレイヤーをチェックして保護することも出来た。
勿論、悪徳ギルドに囚われていたプレイヤーも含めて。
莫大なお金は必要ですが、そんな簡単なことを知っていたにもかかわらず実行しなかった。
仕事は多事多難で商人の真似事さえしてましたが、
一任できる人材を育て上げていたので、まったく時間が無かったわけではない。
だから、「彼女」を闇に落としてしまった責任の一端は私にも有ると思っています。
そして
この責任は大手レイドギルドメンバー全員が共有すべきことでもあると思っています。
安全なフィールドを占有したことに始まり、適正フィールドの縄張り争うもそう。
レイドで得られる長距離移動召喚生物を持ちながら、
「徒歩・騎馬で移動できる範囲でしか活動しなかった。」
その期間は若手教練どころではなかったはずで、
「経験値が得られないフィールドを物資調達先として占有した。」
町の治安なんてどうでもよく、
「PK狩りをしても大神殿に人を貼り付けて監視と保護をしなかった。」
ギルドメンバーが大手に居るというだけで「増長していた滑稽さ」もそう。
それを自重させなかった幹部たちも同様。
その上、自分たちだって巡回と称してPK狩りをしておきながら、
「ソロのデュエリストに負けて憤りをぶつけた」
まぁ恥は知ってたようですから、
彼女がゴブリン戦役後の出立時には問題は起きなかったようですけどね。
にゃん太さんが、これをどう考えるかはお任せします。
気が付いていたとは思っています、シロエ君なら
だからこその円卓会議であり、そのためのギルドホールの購入だったのでしょうから
でも改めて伝えれば、彼は悩むことになるでしょうし、
今そこを突けば円卓は瓦解しかねない。
出来れば、荷は軽くしてあげたいとは思いますし、
円卓が瓦解するのは私にも痛手です。
黙ったままでも良いとも思っています。
彼女の方は闇から救い出すには遅すぎるし、今の居場所では難しいとも思います。
シロエ君は適任ではないでしょう。
にゃん太さんでも難しいと思います。
シロエ君なら暴走はしないと思いますから、
今、また少しずつ生み出されているアキバに巣食っている闇にも気が付いているようですから
わたしはでしゃばりません、一度見捨てたものがしゃしゃり出ていくものでもないと思いますし。
要請があればもてる知識をもって援護は致しましょう、そんな事で後悔は濯げませんが。」
「でも、其れは「持っている「運命の鋏」の威力が恐ろしいもにょだ」と
知っていたからではにゃいですかにゃ?」
「確かに、其れはありました
が、出来る事をしなかったと言う悔いは残り、
その責任は認めなければならないと思っています」
「そしてマックスちは「この街を領地を守ること」が最優先だったのでは無かったのですかにゃ」
「それはそうです、
ですがやっぱり悔いてしまいます。」
「長男病ですかにゃ?」
「其れもあるかもしれませんね」
「救いに使える手は2本しかないのですにゃ、にゃので我輩はマックスちを責めませんにゃ」
「そう言って下さると少し楽です、
多分、誰かにその言葉を言って欲しかったのかも知れません。
そして、よりリアルの年の近い人に。
にゃん太さんに私が抱えている闇を分けてしまった気もしますが」
「気にしにゃい事ですにゃ」
「ありがとうございます。
それから、あともうひとつよろしいですか?」
「にゃんですかにゃ?」
「インティクスと濡羽の事です」
「彼女達がどうしたのかにゃ?」
「シロエ君の思惑がどうであろうと
イースタルに、ヤマトに不穏の種をばら撒く彼女達には私はいつか牙をむきます。
コーウェン家からの依頼事項でも有りますから情報探索は行っています。
イースタルにもウエストランデにもプラント・フロウデン情報官ミスハさえも
気が付いていないやり方でね。
それが交渉術ってもんですし、タラしてなんぼの世界ですから。
帰還についての理論と技術的なことは
ゼルデュスとジェレド・ガンが行っているので問題はないでしょう。
ゼルデュスは元々ソロプレイヤーですから、仕事は与えた方が良いでしょう。
ミラルレイクの年輪書の一部を隠匿した事を突き上げて、ジェレド・ガンには働いてもらいます。
ヤマトからは不干渉であってもミラルレイクの禁忌を犯した罪は償うべきですから。
インティクスが「茶会」以降の状況とこの状況下に
不満と鬱憤を持っている事は理解はしてあげたいと思いますが
やり方はとてもよろしくない、やりすぎたと思ったならば排斥します。
フェアリーリングでビックアップルかサウスエンジェルあたりに飛ばします。
心を折らなくても飛んだ先で勝手に折れるでしょうね。
海外では「女性」は冒険者といえど過酷な世界ですから。
カナミさんという例外は居ましたが。
ミナミが瓦解しようがウエストランデが落ちぶれ様が知った事ではない、
彼らは甘んじて受け入れ、考える事を止め、増長したんだ、連帯責任でしょう」
「シロエちには伝えても?
それから確認ですが先ほどの「北風の神殿」の事は本当は調べがついてるのにゃね?
海外サーバーの事情も知悉しているのかにゃ?
イズモ騎士団の動静についても知っているのかにゃ?」
「まず「魔具」ですが
入手必要も無く気が付きました。だからボクスルトからは先、私の守護地には入れていないのです。
私の専門は電子工学に情報工学ですし、通信工学も行きがかり上、齧ってます。
業務上、コンピューターや、その周りに関する歴史的、技術的知識も有ります。
なので先ほどの情報は公開しても良い部分です、
精査が必要といったのも「アキバ」で吟味してもらう必要があると思っただけの事。
つまりは、現ミラルレイクの賢者たるリ・ガンさんに見てもらえば分かると言う事です。
それから海外サーバーについてですが、知っています。
このガントレットを駆使して行ける所はすべて行きましたので。
アイテムロック化したことで、タイムテーブルの一部が分かる様になっています。
範囲的には2つ先までです。
必要と有れば、説明はします。
直接、出向いていただいても良いですし、姫様経由でも構いません。
直に独自に収集されたいのでしたらヨコハマの租界、所謂居留区ですね。
そこに居る方々にお話を聞いても良いでしょう。
他にもフェアリーリングに飛び込んで運良くヤマトに来たものも居ると報告があります。
イズモ騎士団というか全界十三騎士団、古来種についてもお話できる事はあります。
幾つかの居城を調べて気づいた事がありますので。
もぬけの殻になってますが、理由はカナミさんの同行者がご存知です。
ツクバでも原因究明できていません、
というか大地人では究明できません。
大地人貴族は居なくなった事の脅威がまだぬぐえてないようです。
あ、カナミさんがこちらに向かっているのはまだ秘密に。
シロエ君がお困りになるでしょうから。
そして最後に最初の問いですが、シロエ君にはむしろ伝えてください、
双方とも極力向き合いたくない、特にインティクスはシロエ君を嫌っているでしょう。
シロエ君は穏便に済ませたいので近寄りたくなさそうですしね。
だからこそね。
私は恵まれていた方だと認識しています。
帰れるにしても帰れないにしても、
今のこの街と領地・領民は守るべき我が家と家族ですから
やるべき事が最初からあってある意味助かってますよ、
無かったらアキバでおかしくなってたでしょうね
本当、意気消沈してる暇など無いですからね」
「では気をつけて行ってきて下さい。」
知己に別れをつげ無事を祈る。
最悪な事態にはならないとは思うが不確定要素が多すぎる世界だ、用心に越したことは無いだろう。
言ってもいいことは伝えたし、にゃん太さんならうまく伝えるでしょう。
私は私の居場所を守るために精進するだけ。
ゲーム世界に巻き込まれた「NPCを対象にしたロールプレイヤーの奔走」を書くというのが最初の目的でした。
第一稿を書き終えた時点でログ・ホライズンに舞台を移す事を考え始めました。おかげ様で講釈部分はかなり減らせたと思います。
それでも多いんですよね、解説講釈。