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4.鬼の国は驚くことばかり!そして決めました!

身なりを整え、不思議な形の椅子に腰を下ろす。


笛姫としては床に直接座ったほうがほうが落ち着きそうなのだが、女の必死の形相から、どうやら鬼たちは床には座らないらしいと合点した。

床に敷かれた白の敷物はふわふわとしているし、床に座ったところで何の問題もなさそうなのに、不思議な風習である。


不思議な椅子だと思ったけれど、ただ木製の椅子に布を張っただけではないらしい。

笛姫が恐る恐る腰を下ろすと、驚くほど柔らかい感触にお尻が包まれた。硬い感触はなく、布をたくさん重ねるだけでなく、中に綿がたくさん詰め込まれているらしい。


(なんて贅沢なのかしら!)

綿なんて高級品、領主の娘である笛姫でさえ褥にはうっすらとしか綿が入っていないのに、防寒具でもない椅子にこんなにふんだんに綿を使うなんて驚愕である。


磨かれた鏡の前に座らされた笛姫は、まじまじと鏡の中を覗き込んだ。

(まあ。こんなに大きくて磨かれた鏡、初めて見たわ!)

笛姫の知る鏡は何かしらの金属が磨かれたものであり、大きさはちょうど顔くらいしかない。そしてそこまで鮮明に姿かたちを映すものではない。

ところがどうだろう。この鬼の鏡は上半身がすべて映るほどに大きく、驚くほどくっきりとその姿が映し出されるのだ。


その鏡には見慣れない衣装を着た笛姫が不安げな姿をして映し出されていた。笛姫の鏡よりも、水鏡よりも鮮明に映し出された己の姿をまじまじとみつめる。

まだ少し水気の残る笛姫の黒髪が、一房額に貼りついている。


笛姫の髪型は敬愛する母さまを真似たものだ。

前髪は一生懸命伸ばしているところで、今は頬骨の下までようやく伸びた。左右の髪は肩のあたりで削いで、後ろ髪は腰まである。童姿わらわすがたを改めたころから大切に伸ばしている笛姫の自慢の黒髪である。


笛姫の背後に立つ女は、櫛のようなもので笛姫の長い髪を梳りはじめた。

櫛を通した後は、どうやら髪を結おうとしているらしい。

あっちをひねり、こちらを引っ張り、飾りをさして、結果的に笛姫からしてみれば珍妙な髪形が出来上がった。


(引っ張られて頭が痛いわ)

慣れない髪形に頭皮が驚いたのだろう。ピリピリと痛みが走る。

武家の女性は髪を結うことはなく、せいぜい背中で纏めるくらいだから、こんなに髪を引っ張られたのは初めてである。

でも不満があっても言葉の通じない笛姫には伝える術がない。

女たちは仕上がった笛姫を見て、満足そうにしている。


笛姫は早々に諦め、ため息をついた。

(これからどうなるのかしら…。ふくふくと肥えさせてから食べるつもりなのかしら)

鏡に映る笛姫はやせっぽちであり、とても食べておいしそうには見えない。

(そうよ。きっと肥えたら食べてしまうつもりなんだわ。だからやせっぽちでまずそうならきっと食べられることもないわよね!そうしたら逃がしてくれるかもしれない!)

笛姫は絶食を決意した。


ここから逃げ出す方法を見つけること。ご飯を食べないで、肥えないこと。

笛姫は2つの目標を胸に、見知らぬ国での生活を始めたのであった。


少し短くなってしまいましたがきりが良いので投稿します。

色々調べていると、戦国時代末期(1500年代後半)って、貧しかったんですね~。あくまでモデルなので、間違えているところがあったらすみません!!

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