53 狼(701文字)
「大丈夫。今は攻撃しない。このヘリを操作してくれなきゃ困るからね。」
「ふっ。『今は』か。面白いな。」
自分はからっていたリュックを触った。
自分は前を向いたまま、質問した。
「着陸した瞬間、俺を消去するのか?」
「もちろん。」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ
(日本海上空か・・・ちょっと時間かかるな。
質問して時間稼ぎをしよう。)
「このボタンは何?赤いし、
間違えて押さないように、ガラスのカバーが付いてる。」
と 安藤 仁が「ミサイル発射ボタンを」指差した。
驚いた。自分が質問しようとしたら、質問された。
自分は答える。
「それは・・・「ミサイル発射ボタン」だよ。このヘリは戦闘用ヘリだからね。」
「じゃあこれは?」
安藤 仁はしゃがんで、ボタンを指差した。
「あ~それは、押したら直ぐにシートベルトが取れるボタンだ。」
「そんなの何に使うんだ?
「落下していくときに、パラシュートがあっても、
シートベルトが取れなかったら、脱出出来ないじゃないか。」
「ふーん。あとどれくらいで着陸する?」
「あと、ちょっとだ。」
質問攻めだな。
「なんか質問攻めで「赤ずきん」みたいだな。」
「そう考えれば俺は「赤ずきん」か?」
「そうだな。」
(中国上空。・・・よし。準備完了だ。)
「赤ずきんちゃん、もう質問しないの?」
「俺の事を赤ずきんと呼ぶな。」
安藤が怒りそうだ。
「最後にこんな質問したら?
『何でそんなでかいリュックをからっているんですか?』って
そしたら俺が答えてやるから、『それは逃げるためだよ!』って!」
自分は直ぐにシートベルトを外しドアを開け飛び降りた。
「おい!」




