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―――俺と主任と異世界と。(偽)  作者: 北島夏生
第1章 ―――俺と主任と異世界と。
8/13

1-6 一兎を追うものは二兎を得る?

はい、更にエロエロです。

もうそろそろ削除されるんじゃないのか、と。

そしたらノクターンに移動ですねw。

そんなことになったら自重抜きのエロと虐殺が・・・発禁されたら馬鹿な作者と笑ってやってください。

さて、戻ってきたハンナは、今は俺の左に座って俺の肩に頭を預けている。

そしてケンタに対面座位で抱きついている娘は、エンジェラと言うそうだ。

長い銀髪に青く澄んだ瞳を持ち、整った顔立ちで胸はやや小振りなのだが、背は175程あるそうで、パッと見た感じモデル体型と言える。

ケンタに対して、それはもう子犬のように懐いている。


トシの隣は赤毛の娘だ。

燃えるような赤毛に抜けるような青天の色をした瞳で、石膏を塗したような白い肌を持っている。

名前はアニアと言うそうで、屈託の無い笑みが眩しい娘だ。

気持ち良さそうにトシの胸に頬擦りしている。


ソノの太腿の上に手を置きつつ、その隣に座っているのはルチア、例の栗毛ちゃんだ。

こうして明るい所で見ると・・・やっぱり普通だな、ちょっと可愛いかなくらいの。

スタイルは良い方だろう、ソノの好みに合ったボンキュボーンで良かったな!


こうして顔合わせが終わったんだが、どうしたもんだろうか。

俺はソファーに深く腰掛け、目を(つぶ)ってこれからのことを考える。

少なくとも2人は発情してるのだから、まず間違いなく子供が欲しいとせがまれるだろうな。

これが金を必要として切羽詰って娼婦をやってるなら、妊娠して働けなくなるのを望まないだろうから問題ないんだが、ただ生活費を稼ぎながら種付けを待ってるのだからな。

そのあたりは劇場のオーナーも了承していて、どうやらサブメンバーというか、村の娘達の間でローテーションを組んでここに勤めているのだと言う。

何と言うか、ほんとに天職なんだと思う。

考えていても埒が明かないか。いや、しかし・・・。

これはもう、ほんとに清水の舞台から焼身自殺だな。

深く溜息を吐いて目を開けると、全員が此方を見て、俺が決定を下すのを待っているのだ。


俺は再び目を瞑り、ハンナの髪と耳の柔らかさを楽しみながら考える。

(いと)おしそうに、俺の首元に鼻や頬を擦り付けて来るのがくすぐったい。

恐らく森兎族だけでなく、兎種全体はそれなりの連帯を作っているはずだ。

性産業全体に兎種が深く入り込んでいるのは、この劇場に於けるミストン村の就業形態を見れば明らかだ。

見目麗しい娘は踊り子として、それ以外で若い者は下女として、年老いてきたら裏方か、村で働くのだという。

そして基本的には、兎種が安い淫売となることはない。

子の処理について心配をする必要がないし、その娘がいない間は別の娘に来てもらうことも出来るとなれば、娼婦としては引く手数多。

そして、高級娼婦の下に通うは素封家、つまり大商人、貴族、高級官僚の類か。

妾も人気なのは兎種だ。

子供は兎種の女(・・・・)が生まれるから、喜んで生家のある村に引き取られ、余計なお家騒動も起こらないからな。

となれば兎種の間には、愚痴なり自慢話なりと睦言(むつごと)と共に語られた外に出せない話は幾らでも集まっているはず。

にも拘らず敵視され、或いは危険視されていないのは、そのあたりの事について確りとした対応をしていると言う事だろう。

となれば兎種全体で何らかのネットワークを築いていてもおかしくない。

何処かの兎種を害する者があれば、その者に敵対する者に協力する。

情報を収集する組織としては受動的だが、種族の存続の為としてなら十分な力のはずだな。


兎種に血を分けるか否か。

未だ俺達が魔術を使えるか否かについては確認が取れないが、今まで見聞きした内容からは人間とその混血の血筋が魔術を使えるのはこの世界の常識となっている。

人間を至高としながらも、今は既に亜人種が貴族としての地位を築いている。

つまり、ケーキの切り分けが終わっているところに後からしゃしゃり出てきて再配分を要求する訳だ。

其れが例え、親に言われての事であっても。

親に可愛がられた兎種が、新たに得るケーキは皆が羨むほどの大きさだろう。

我慢出来ない反抗期の悪ガキが、大人しく我慢するかな?

下手をすれば兎種対亜人種なんて構図になる虞もあるか。

それに正直な所、俺達の事が露見したとして、どのように扱われるか予測しきれない部分も多い。

大方は種馬扱いの貴族待遇か、元よりそんな存在は居ませんでした、という事になるのだろうが。

場合によっては俺達の帰属権を巡っての戦争か?

やれやれ、本当に厄介な事だな。

このまま何もせずにバックレてしまおうか?

等と考えていると、ハンナが俺の服をギュッと握り締めてきた。

俺が目を開けてハンナを見ると、不安そうな顔をしていたのが、弱々しい微笑に変わる。

まあ普通に考えたら娼婦を買っておいて抱かない理由が無いんだし、自分達に分からないように異国の言葉を使い深刻そうな様子で会話されてれば、発情してるのがそんなに迷惑かと不安にもなるか。

正直、彼女の事が全く気にならない、と放り出す事は出来ない。

少しでも彼女の事を(いと)おしいと感じてしまったからには。

厄介な性分だな、と苦笑する。


其処に、先輩、と声が掛かる。

「恐らく先輩が考えてる事は、僕らの命と自由、その辺りなんじゃないですか?」

ああ、と呟くように答えると、

「そんな先の事を考えても仕方ないですよ。少なくとも十月(とつき)猶予(ゆうよ)があるんです。その間に何とか考えるというのでどうでしょう?」

随分としおらしい事を言うな?お前なら、諦めて他探しましょう、と言うのかと思ったんだが。

「それも手か。しかし、兎種を巻き込む事になるがその辺りは気にしないのか?」

そう(いぶか)しむように質問をすると、

「しょうがないんじゃないですか?僕らは既にこの世界に居ます。このまま誰も来ない森の奥でひっそり暮すしかないんでしょうか?あの二人に性欲処理をお願いしますか?それとも何処かから攫って来ますか?老後まで右手だけが恋人とか余りにも寂し過ぎますよ。」

コイツもそれなりに色々なもの(・・・・・)が溜まってるのかな?無理も無い話しだが。

それに、ケンタの言い分も(もっと)もなんだよな、男ってのは馬鹿だから。

ヤれるとなったら命とか人生とか軽くなっちまう奴はそれなりに居る。

「だよなぁ。そんな事は無いと思うんだが、主任相手は兎も角、地味、いや、はづきちゃん相手なら多少強引(・・・・)にお願いすれば、性欲処理くらいはさせてくれそうだと言うのがね。」

ケンタは苦笑しながら肩を竦めて、同意するとも、しないともつかぬ曖昧な態度を取った。

「まぁ巻き込むにしてもそれなりに協力するし、協力させよう。何しろ俺とお前の娘を預けるんだからな。余り親馬鹿を拗らせるなよ?」

先輩こそ、とケンタが笑いかけて来る。


はぁ、面倒だが此処から先は俺と主任の問題だな。

事前に了解が取れれば一番いいんだが、事後報告、しかもフォローのしようが無い結果が出てからになるのは目に見えてる。

妊娠しました、なんてどうしたところで、後から妊娠が無かった事にするようなフォローなんて有る訳ないじゃないか。

堕ろしてくれなどと言うつもりはない以上、後から次善の策を講じる他無い訳だ。

この後起こるだろう問題を洗い出し、それぞれに適した解決策を用意していく訳だ。

ああ、何か胃が痛い気がする。

きっと主任には小言を嫌というほど叩き付けられるんだろうな、と思うとこのまま放浪の旅に出てしまおうかとも思う。

「しかし、娼婦一人抱くというだけで、随分話が大きくなったもんだよな。」

俺がそう言ってケンタに振ると、

「何でなんですかね。」

と苦笑いしながら惚ける。

「何でなんだろうな。」

俺は誰に言うとも無しに呟いた。


そして俺達は、『全ての問題は先送りにする』という解決策とも言えない案を採択する事にして彼女らを連れ出すことにした。

フロントに行って、彼女らが持っていた俺達のテーブルの札を清算する。

うっは、全員赤札一枚ぶっ込んでるのかよ、見栄張り過ぎだろ、自重しろ。

俺はカウンターに金貨4枚を置き、また少し軽くなった布袋を懐に仕舞う。

ハンナ達はもう少し待っていて欲しいと言うので、ソファーに戻って劇場の事等で気になったことを質問してみるのもいいか。

当然の如くハンナは俺のとな・・・いや、エンジェラに対抗したものか対面座位で抱きついて俺の肩に頬を置いている。

そのエンジェラも言わずもがな。

俺とケンタは苦笑しながらも悪い気はしないので、彼女の髪や耳を撫でたり、露出した背中の肌に手を這わせてみたり、腰や尻を揉んでみたりと色々と(たの)しんでいる。

トシの方は、ソファーに座るアニアの太腿の上に頭を乗せて、アニアが手で髪を梳くのを気持ち良さそうに受け入れている。

逆にソノの方は、ルチアの頭を太腿の上に乗せてその兎耳を弄んでいる。

そんな状態で俺達は彼女らの話を聞く。

発情するのは、特定の相手を前にした時なのだそうだ。

発情の程度も個人差が有り、相手の臭いを嗅ぐくらいで起こることもあれば、何度か肌を重ねて起こることもある。

そして、相手を求めて気が狂わんばかりの反応を示す事もあれば、相手にちょっと好意を抱くくらいで、簡単に妊娠して若しかしたら発情してたのかと気付くこともあるという。

種族毎に違いがあり、兎種の場合はどの程度にせよ、相手の精が欲しくてたまらないという気分になるのだという。

まぁ男だけの種族が相手の精が欲しくてたまらない、とかだったら引くわな。


時たまカウンターに訪れて札を置いていくダンサーを眺めていると、普段は競りが終わった時点で退場した彼女らが来て、札を置いて行くのだそうだ。

その後は落とした人の意向で、その人が出てくるまで待機したり、ホールでホステスをしたり、そのまま連れ立って出て行ったりという事になるという。

フロントは、客が帰るときに彼女らから受け取った札を元に追加料金を徴収する。

落とせた人なら札の額を、落とせなかった人は札の額の1割を支払う事になる。

どちらも5割が店の取り分になり、更に化粧代等の名目で雑費として3割程が抜かれる。

基本的にチップはそのまま彼女らの懐に入るから、札なんかよりおひねりの方が彼女らには効果的なんだな。

床の硬貨もやはりチップなのだそうだ。

高級な娼館の雇い主の間では総じて兎種の人気が高めであるので、雑多な仕事をこなす下女等の口利きが通りやすい。

勿論、他の種族にもトップを張る美女は居るのだが、数の力だな、一人のトップより10人の中堅か。

つまり、メイドさん。達には何処の出身かに関わらず兎種が多めであるので、メイドさん。達のためにチップを落としてやる。

そしてメイドさん。達は、自分達にチップを落としてくれるハンナ達の為に、町や館内での噂話や流行に(とど)まらず、必要になりそうな情報は何でも集めて来ては教えてくれる。

その他にも手助けが必要な事はメイドさん。達に頼めば便宜を図ってくれるのだそうだ。

因みにホステスとして客の周りに居た娘達だが、彼女らは出番の終わったダンサーや、逆に出番が最後の方で時間に余裕のあるダンサー、前夜に客を取った娘、ダンサーの見習いやサブメンバー等から成っており、床のチップを手に取る事は無いのだと言うが、これも見栄なのだろう。

娼婦も連日連夜客を取るわけでもないのか、と疑問に思ったので聞いてみると、ある程度高級な店でないと連日客を取らないと生活費を稼げないそうだ。

ウサギさんチームの場合、或る日の昼から店に出て夕方のショーに備える。

そして次の日の昼までが娼婦の時間であり、昼を過ぎたら休みで、次の日の夕方からホステスをしてハネたら次の日の昼まで休んで最初の娼婦の時間に戻る、といった感じだそうだ。

と言う事はウサギさんチームは3つあるのか、と思って聞いたらやっぱりあるそうだ。

普通ならそんな店の裏事情みたいのをホイホイ教える筈は無いんだろうが、これが恋する乙女(・・・・・)というヤツか。

そんな風に過ごしていると、一人のメイドさん。が、準備が出来ました、と告げに来た。


ハンナが立ち上がり、俺の手を引いて立たせる。

「あ、あら、ごめんなさい・・・。」

そんな風に謝って顔を真っ赤にして背ける。

俺は何かあるのかと視線を下げて固まる。

俺の股間の周りは、まるで漏らしたように濡れている。

こびり付いた(おり)がなお(なまめ)かしく、そういえば彼女は「はいてない」のだったと思い出す。

いや、履いてたとしてもこのお漏らしは防げなかったと思うが。

隣を見ると、ケンタお前もか。

この際諦めるしかないか。

どうせ外は暗くなってるだろうし、十分な明かりが灯されている事も無いので、そう目立つ事も無いだろう。

目的の宿屋は目の前にあるというし。

俺はハンナに後ろから抱きつくようにして一緒に歩く事にした。

これなら見えることもあるまいと。

そんなこんなで俺達は連れ立って劇場を出る。


劇場のはす向かいの、3階建ての建物が目的の宿らしい。

俺達12人(・・・)はその宿に4部屋を取ってそれぞれ分かれて泊まる事にする。

朝食・夕食はついてないが、頼めばルームサービスとして料理を運んでくれるらしい。

俺はちょっと摘めるものを頼んで部屋へと入る。

中を見渡してキングサイズのベッドに腰掛ける俺。

そしてその俺を恥ずかしそうに見下ろす彼女()

うん、劇場を出るときに何故か彼女らは2倍に増えた。

別に分裂したわけじゃない。

新たに4人増えただけだ、そう、増えただけ。

何なんだろう、これ。

俺の目の前にはハンナがいる。

そのハンナの隣には、コートを羽織った赤ビスチェちゃん。

はい、四色兎の一人ですね、ありがとうございます。

って、何でいるのよ!カイゼル髭が買ってたんじゃないのかよ!

と混乱していると、ハンナが左隣に腰掛けて寄りかかって来て一言囁いた。

発情しちゃったらしいの。


ハツジョウシチャッタラシイノ?何それおいしいの?

俺の脳味噌はもう理解するのを諦めたようだ。

は?何なんだよこれ、そんなに簡単に発情するのかよ兎種って!

そんな風に混乱しながら考えてると、俺の沈黙を悪い意味に取ったのか、赤ビスチェちゃんは恐る恐る話しかけてくる。

「あ、あの、迷惑だったら御免なさい。どうしても貴方に・・・。」

最後の方は掠れて聞き取れないが、まぁ此処まで来てるんだから目的は分かる。

分かるんだが・・・。

「あのAコースの髭が札入れてたと思うんだけど、アレと真っ向から対立とか勘弁して欲しいんだが。」

そう言って彼女を見上げると、所在無さ気にしていた彼女が慌てて説明する。

興奮して聞き取り難かったり、気落ちして掠れたりとかの部分があるが、概ね理解した。

「つまり、俺に触れられた後に発情してる事に気付いた。だけどそのままアレに抱かれるとアレの子供が出来ると分かるので、体調が悪くなったから、と金を取らない事にして出てきた。他の後から合流した娘もメイドさん。を含め、発情している。その娘らもそれぞれ発情した相手の所に行っている。むしゃくしゃしてやった、反省も後悔もしていない。」

最後の所だけは日本語だけど!

むしゃ(Musya)?」

いや、何でも無い、と答え、隣のハンナに確認を取る事にする、気にならないの?と。

「私はそれほど気にならないわ。大抵の兎種はそう言うはずよ?他の村の娘も含めてだけど、みんな家族に近い感覚を持っているの。」

だから、彼女も一緒に愛して?

そう言って笑顔で俺の肩に頬を擦り付けるハンナ。

未だ不安げな様子で俺を見下ろす赤ビスチェちゃん。

と、そういえばまだ名前を聞いてなかった事に気付いて。

座ったままで身を乗り出して、彼女の手を掴み、引っ張る。

彼女は抵抗する事も無く手を引かれるままに寄ってきたので、そのまま右腿に座らせて彼女の耳に囁く。

名前を教えてくれたら愛してあげるよ、と。

戸惑いがちだった彼女の顔が、華やかな笑顔に変わると俺に抱きついてそのまま押し倒す。

俺はされるがままに後ろに倒れると、彼女の顔に垂れ下がったブルネットの髪と薄茶色の耳を横に退()けて彼女を見つめる。

彼女は強く口付けしてくると俺の耳に口を寄せて、

「私の名前はアリスよ?クローナ村のアリス。貴方のお名前は?」

そう言って期待と喜びの表情で俺の答えを待つのだった。


「俺の名前はヤパンのシューヘイだ。これからよろしくな。」

そう言ってやると眩しいほどの笑顔でシューヘイ、シューヘイと呼びかけて俺の頬に自分の頬を擦り付ける。

すると、キャー、と言う声が聞こえたと思ったら俺の横にハンナが飛び込んできた。

ハンナの方もアリスとは逆の頬に口付けして、シューヘイ、シューヘイと呼びかけてくる。

ナニコレ、ヤバイ。

二人の柔らかさに溺れそう。

そんな事を考えながら、先ずはハンナの方から頂く事にする。

一旦起き上がってベッドに座ったまま、二人のビスチェの紐を解いてやる。

紐を緩めるが、全ては脱がさずに、ビスチェをズリ下げて胸を露出させてやる。

そして、彼女を抱えベッドの真ん中に寝かせてやると、そのまま覆い被さって行く。

彼女の方は、準備をもう終えているとばかりに俺の首の後ろに手を回して引き寄せようとしており、そんな彼女に口付けをしてやってから体を離すと彼女の両手が追いかけてくる。

随分積極的なことだと思うが、これが『発情』というものなのかと思うと嬉しくもある。

少なくとも、誰でも良いという事ではなく、特定の相手を求めての事だしな。

そんな事を考えていると、ふと、どれくらいの強さで求めているのか試してみようか、という悪戯を思いつく。

俺は意地悪く微笑むと、正座から足先を立てた状態になってスカートを捲り上げ、位置を定めて一気に押し込み。

喘ぎ、背を反らし気味の彼女の両足を掴んで引き上げ、両肩に担いで更に腰を強く押し込んでやると、尻が浮いたのですかさず俺の脚を差し込んで膝から太腿にかけてを使って彼女の尻を押さえ込む。

後は、そのまま上半身の体重を腰に掛けつつ深く押し込み、彼女の腰を押え付けてやれば。

ふっふっふ、と俺はニヤニヤ笑いながら彼女の腰を両手で掴み、ハンナがどんなに求めても彼女の意思では腰を動かす事が出来ないのを確認した。

そうしてから、アリス、と名前を呼んでやると、喜色の笑みを浮かべて彼女はハンナの隣に来る。

俺はそのまま思うようにアリスにキスし、舐め回してやる。


俺の視界の中のハンナは、俺が良いと思うあの顔、困ったような笑みを浮かべて、俺が動いてくれるのを期待して待っている。

彼女達は白人体型だから、日本人の俺が腰を合わせると上半身を或る程度立てていても、俺の手は彼女の体の何処にでも届く。

俺はアリスとキスを交わしつつ手を伸ばし、ハンナの髪や耳は言うまでも無く、至る所を愛撫してやる。

だけど腰は動かさない。

初めは期待していた彼女も、俺が何を考えているのかを理解してからは澄ました顔で此方が折れるのを待っていたが、次第に焦った余裕の無い笑みに変わり、それが困惑の笑みに変わり、そして今は。

余裕の無い表情でシューヘイ、シューヘイと呟いている彼女にニヤニヤと笑いかける。

俺は未だ腰を動かしていないが、彼女とて動けない。

しかし、彼女は自分からこの体勢を崩して逃げ出す心算は無いようだ。

そんな彼女がたまらなく愛しい。

更に激しく彼女を愛撫し、アリスとキスを交わし続けていると。

遂に彼女は決壊した。

そうして泣きじゃくりながら俺を求めて名を呼び続ける彼女を、愛しい彼女を俺は貪り尽くした。

彼女が望むだけのものを与えてやった後、アリスを弄びながら少しばかりの休憩を入れ。

今度は同じようにしてアリスを苛める事にした。

殆ど出来上がっていたアリスは健闘空しく()(さま)決壊してしまったので、ハンナにも手伝って貰う事にし、名を呼び続ける彼女を二人で責め立てる。

彼女の体の何処にも力が入らず、名前すら呼ばなくなった所で開放し、それからハンナの時以上に彼女を貪る。

泣きながら呆けるばかりであった彼女であるが、俺が動き始めると直ぐに目に光が戻って応じる辺り、兎族の面目躍如と言った所か。

その後は穏やかに求め続けた彼女らだが、一向行為が終わる兆しが見えない。

これは不味い、と気張ってみたが、終ぞ夜明けの刻まで彼女らが止まる事は無かった。

そうして激しく消耗した俺は、朝日が町を照らし始めるなか、自らの上でゆっくりと腰を動かし続けるアリスを目にしながら意識を手放したのだった。


それからどれだけの時間が経ったのか、俺の意識が浮かび上がり、顔を照らす陽の光に眩しさを感じて手を(かざ)しつつ目を開けると。

陽の光を浴びる、美しい娘達の裸身が目に飛び込んできた。

二人はそれぞれに自分の下腹部を愛おしそうに撫でている。

そしてふと気付いたように互いに顔を見合わせては笑みを浮かべて可愛らしい笑い声を噴出(ふきだ)している。

ハンナとアリス、彼女らは注がれた種の事を思い、その芽吹く時を思って喜びに満ちている。

俺の愛する、この美しいウサギである二人の胎には、(すぐ)にでも新たな命が宿り始める事だろう。

愛おしそうに自らの胎を撫で、喜びに包まれる二人の姿に、彼女らを征服したのだという達成感を胸に抱いて、俺は彼女らを眺め続ける。


そんな俺に気付いたハンナは、俺の耳に口を寄せて囁く。


今は此処に来てないけど、ホールのお手伝いの娘の中に、軽い発情をしてる娘がいるの。頑張って皆を孕ませてあげて?


死刑宣告を受けた俺は、これからも死線を彷徨うのかと、気だるい退廃的な気分の中で、寄り掛かって来る柔らかな感触を感じながら意識を手放した。






そして日が傾く頃に目を覚ました時、俺は驚愕すべき事実に目を見開いた。


あああああああああああああああああああぁぁっ!!

食材買ってねぇぇえええええええぇぇぇぇ!!!


俺は、他の3人が泊まってる部屋を回って全員を叩き起こして服を着させる。

ウサギちゃんチームはピンピンでツヤツヤしてたが、男達は死にかけてた。

直ぐ様、宿屋に全員を集めて対策会議を開くことに決定した。


急いで『渡り鳥の止まり木亭』に移動した俺達12人は、取り合えずツインの部屋を1つ借りる事にする。

女将(おかみ)には、どうせ娼館に泊まってるんだと思ってたけど、そんなに連れて来るなんてねぇ、と笑われたが、それ所じゃない。

宿屋に置いておいた荷物を移動して着替えをする。

彼女らには悪いがもう少し付き合ってもらおう。

彼女達を部屋に残し、下の酒場の隅に集まって4人で話をする。

予定では、朝から買い物を始めて、昼過ぎには此処を発つ予定だったのだ。

予定を1日延ばしてでも買い物をするか、今から強行軍で帰るかの2択なのだが、俺は帰る方を提案する。

どうせ買うべきものは食料品の類であり、日を改めて来ても問題無い。

研究所の備蓄は、直ちに補給を必要とする程には切羽詰ってないからだ。

此方の方は小言を貰うだけで済む問題と言える。

だが、もう一つの問題、兎族との深い接触、つまりは彼女達に種を蒔いた事については早急に知らせた方がいいだろう。

どうせ一日くらい、と思わないでもないが、何がどう転ぶか予想がつかないこの世界では、情報については1日とて無駄に出来ない。

昨日の今の時間帯には、彼女らに会ってもいないのだし、その時には発情などという事も知らなかったのだ。

それが今では娘が2人生まれるのがほぼ確定、下手をすればまだ増えるという事態。

余り遅くなって主任の機嫌が悪くならないうちに研究所に辿り着いて、事情を説明した方がいいだろう。


そういう訳で彼女らには、数日以内にまた来るので、それまでは詳しい話は保留にしておいて欲しい、と伝える。

詳しい説明をしている暇が無いので必要な事実のみを伝えるしかない。

そして、何か問題が起きたら使え、と言い含めて金貨を数枚渡しておく。

恐らくはこの時間に町を出る事も、十分な備えも無く街道を移動する事も彼女らにとっては非常識な事だと思うが、そういうものだと理解してもらうしかない。

俺達は下の酒場で水を貰い、パンを齧りながら宿屋を出発する。

目指すは研究所。

痛む腰を無視して歩き続ける。

50歩走り、50歩あるく。

消耗していた俺達には、かなりきつい道程だが、闇の中を崖登りするのは何とか避けたい。

魔物の森を暗闇の中で歩き続けるのも御免蒙(ごめんこうむ)りたい。

とは言え、人間、限界は有るもの。

何の獣の声か分からぬ遠吠えに(おのの)きながら必死に歩き続けて、研究所の薄ら白い壁が月の光に照らされて遠目に見えたのは、既に日も暮れた闇の中での事だった。

俺達は誰からとも無く走り出し、研究所の正門を乗り越えて転がり込んで、最早動けぬとばかりにその場でくず折れたのだった。


そうして暫くすると。

あの人がやって来た。

そう、彼女は此処の女王だ。

此処の全てを睥睨(へいげい)し、全てを統治する女王。

彼女は1本の王笏を肩に担いでいる。

その装飾は釘。

知識人は、その特徴的な王笏をして、『ゲバ棒』と呼ぶ。

暴虐の女王は言う。

よくもまぁ、おめおめと生きて帰ってきたものだ、と。


「おい、キタ。誰が暴虐の女王か。よくも生きて帰ってきたものだ。後で報告に来い。」

俺が直には動けそうもないのを見て取ると、暴虐の女王(しゅにん)はそれだけを告げて(きびす)を返す。

「うっはぁ、声に出てましたか。ちょいとばかり面倒事が有りますんで覚悟をば。」

俺は疲れて動けないものの、何とか上半身を持ち上げてそれだけ返した。

「そうそう、新しいのを確認した。今時分(いまじぶん)に空を飛んで来るぞ、喰われん様にな。」

それを聞いて俺達は全員が立ち上がり、思い思いに叫びながら、疲れた体をものともせずに建物に向かって駆け出す。

「何だ、随分と身軽じゃないか?キタはそのまま研究室に行け。」

俺の後ろからそんな声が聞こえて来た。

主任も早・・・く?

嫌な思いつきが頭に浮かんできて思わず立ち止まる。

主任は面白い物を見たような顔で、何かあるか、と。

「担ぎましたね?」

俺は追いついてきた主任の横に並ぶと、そう尋ねつつ歩きながら答えを待つ。

「面倒事なのだろう?先払いだよ。」

苦笑して悪い事をしたとも感じさせない様子で答える主任。

「遠慮なく相殺にさせて貰いますよ?」

そう言ってこれ以後のお小言は無しとの言質を取り付けんとしてみる。

「足りない時は確り払ってもらうからな?」

そうは問屋が卸さん、と言わんばかりの答えが返ってくる。

「問屋が卸しませんか。」

ワザと残念そうな響きを持たせて返す俺。

「貸し借りが何であれ!・・・必ず返す。我々はそう誓ったと思うがな?」

そう、貸し借りが何であれ返す。あの時あの場所で。・・・腹の底から沸々と煮えるような怒りが湧き出して心臓が強く早く跳ねる。

それを抑え付けて努めて冷静に聞こえるように声を出す。

「はい、そうですね。多過ぎず、少な過ぎず。ま、多少のサービスは有りという事で。」

最後におどけてみせる事で斬り合いのような緊迫を遠ざける事にする。

「多少のサービス。・・・まぁそれも良いだろう。必要ならケンタでもテツでも連れて来てくれ。」

主任の方は完全には掃い切れなかった様で、必要な事だけ付け加えると立ち止まって天を仰ぐ。

「なぁ、これから先、どうなると言うのか。知りたい事、やりたい事、そんな事は幾らでも有るのに、面倒事ばかりが先を争って目の前に現れる。」

俺もそれに釣られて天を見上げる。

虹の様に空に架かる白く光る帯が、月の代わりに夜の闇を照らしている。

冷え冷えとした冷たい光に、やや肌寒い夜の風を重ねて身震いし、再び視線を下ろす。

「主任?」

不意の沈黙に耐え切れなくなって、特に意味も無く問い掛けの様に相手を呼ぶ。

「ああ、いや、忘れてくれて良い。下らん感傷、それだけだ。」

そう言ってまた歩き始める。

俺もまた、それに続いて歩き始める。

再び主任の横に並んで入り口を目指す。

今度はどちらも口を開かなかった。

そのまま中に入って俺は『食堂』を目指す。

主任は、先に研究室に行く、と断りを入れて上に向かった。


「やっぱここにいたか。」

『食堂』に着いた俺はそこで3人を見つける

「それ喰ったらレポートでも書いとけよ?俺は研究室に行く。」

そう言って椅子に座ると、1日の疲れがドッと押し寄せてくるようだ。

「あれだ、娘さんを下さい!みたいなの?いや、ちと違いますか。」

トシがそんな事を言い出す。

「あの人との結婚を許して下さい!の方なんじゃないデスか。」

ソノもそれにノって冗談を言うが、乙女の言葉を発する肥満体というのも・・・。

「まぁそれは良いんだが。全員が関わってるから俺だけ責任を取るって事にも出来ん。」

後で何らかのお咎めがあるだろうよ。

覚悟しとけとばかりにそんな事を言う。

「俺、絶対主任に認めてもらいますよ。」

鼻息荒いなトシ、そんなに彼女が気に入ったか。

お前の元の彼女は何処に行ったんだよ。

「先輩は食べないんですか?」

ケンタがそんな事を言って固形栄養食を振ってみせる。

「・・・少しだけ貰うか。」

あんまり食欲が湧かないんだよなぁ、この後のことを思うと憂鬱(ゆううつ)でな。

「そういえばさ、お前らの(つがい)ってまだ紹介されてないんだけど。」

ハンナに、見られない様に、と言われて後から来た4人を連れてそそくさと宿に入ったからな。

「北川さんはハンナロアさんと赤色のビスチェの・・・。」

トップスタァなのに俺以外の誰にも名前を知られてないのか、残念な娘。

「アリスだ。ハンナロアとアリスだな。娘の名前も考えなきゃな。」

そんな事を言う、が冗談で終わらせられる話でもないな。

「気が早いっすね。俺のとこはアニアとホール担当のレンティアっす。」

メイドさん。の1人はトシの所か。

「僕の所はルチアとエイーリーでス。」

ハンナの話じゃ他にも発情してるそうだから、最初に来るのは発情の程度が強いか、お客を取って妊娠してしまう可能性がある娘だろうから、ソノの方が有望なのか?

「僕のとこはエンジェラとアンナロザですね。」

何故か二人とも170超えてたよね?というかアンナロザの方は180行くかと思う高さだったんだけど!

「で、だな。ハンナにまだ発情してる娘が控えてるから頑張って、とか言われたんだが。」

トシが口に入れていた固形栄養食を、ぶふぉっ、と噴出している。しかも気管にも入ったらしい。

「ん?どうした、何か問題でも有るのか?」

そうからかってやる。

「先輩。自爆してますよ。余裕の表情でも全員が再起不能の一歩手前まで搾り取られたのは変わりないです。」

確かに、全員が起きられない程に搾り取られるとは思ってなかった。

名器が多いというのが形を変えて広まった話なんじゃないのか、くらいに思ってたら・・・。

「だよな。あれは強烈だったな。学生の時のヤリたい盛りでもあそこまで行かなかったぞ。健闘はしたんだがなぁ。」

しみじみと昨日の夜、と言うか朝までの事を思い返していると、はづきちゃんがお茶と固形栄養食を持って来てくれた。

どうぞ、とお茶をテーブルに置くその手はぎこちない。

その様子に、まぁ時間が経てばどうにかなるレベルか、と思い、お礼を言って晩飯を食う。

咀嚼途中でお茶を口に含んで一気に飲み込んで席を立つ。

「さっさと片付けて風呂に入るか。っとメモをくれ。」

気が重くなるのを払拭するようにそう言って、ケンタからメモを受け取って部屋を後にする。

「さっさと片付くんですかね?」

ケンタは苦笑いしながら俺の後に続く。

部屋に戻るらしい。

「彼女達の扱いはどうなるんすか?」

トシがそう聞いてくるも、まだどうするか具体的なところは言えない。

「ルチア・・・、エーリ・・・。」

トシやソノも彼女達に愛着を持ってるようだ。

さもありなん、俺が懐かれたのと同じレベルで懐かれたなら、拒むような男はインポ野郎と仇名をつけてやろう。ホモ野郎でもいいか、でも「野郎」だとホモ、やろうに聞こえそうでヤダなぁ。


研究室に(つど)った、男1人と主任1人。

いや、特には悪意はありませんよ?そうですとも。

で、主任はメモを見せながら俺が説明をするのを聞き終わると、大きな溜息を吐く。

「馬鹿だ、馬鹿だと思っていたが、本当にどうしようもなく馬鹿だな、キタ?」

俺は肩を竦める。

「ま、いいさ。起きた事実は変えられない。事前に予測出来るものでもないと判断する。娼館くらいには行くだろうと思っていたし、行ってくれるとも思っていた。だがな、異種交配実験をして来るとは思わなかったぞ。たとえ妊娠する可能性があっても、それが何処の誰が親か判る筈もないし、生まれる事も無いとタカを括っていたのも事実だが。」

流石に顔の整った女性が怒るとそれなりの迫力があるな、等と考えながらお叱りと厭味と小言の混じったお言葉を受け流していると、

「それで、何か具体的な策でも立てたのか?」

苦々しく思っているのが分かる様子で聞いてくる。

「いいえ、取れる手段が、物騒なモノ以外には少な過ぎるので一旦保留にして情報を集めるべきかと。」

直に短絡的な手段を講じる必要も無い、とこれを交わす。

「何事も無ければ10ヶ月は猶予が有る訳か。何がしかの幸運、いや不幸によって永久にその必要がなくなる事も。」

俺は苦虫を噛み潰したような顔で、

「何がしかの幸運であれば数年は猶予が出来るかもしれません。場合によってはその必要が無くなる事も。」

と返す。

「ふ・・・、はははっ、まるで父親のようだな。ああ、いや、父親だったのだな。今更ながら。」

そんな風に楽しそうに話す主任。

「今更?」

いや、何でもない、と返して楽しそうに笑う主任。

これはアレだ、黒い(・・)、と付く様な笑みだ。

結局の所、主任の認識は期限が10ヶ月、不幸によってそれまでに母子のどちらかが死ねばその対策も必要ない、という事であり、それに対して俺の、幸運があれば人間との混血はバレないかも知れない、という(ささ)やかな反論である。


「問題は?」

主任が問いかけてくる。

「洗礼ですね。これを乗り切れば数年は。幸運を期待できれば一生ですが。」

洗礼は戸籍登録を兼ねている、と言うよりこちらの目的を重視しているから、回避すれば税金逃れと取られる。

実行すれば、一生を日陰者として生きていく事になるだろう。

「しかし、現状8人だろう?しかもそれはお前達の努力によって、なお増えると言う。」

主任の笑みが消える。

このままでは更に増え続ける一方だろう。

1つの劇場でこれなのだから、兎種の村に潜り込んだらどうなるというのか。

「村一つを囲い込む方が現実味があるんじゃないのか?」

俺の考えを見透かしたかのように主任が冗談とも付かない事を言う。

「それも可能性の一つとして考慮しますか。」

冗談と切り捨てる程、現実味の無い話でもない。

「村一つ分のハレムか?スルターンには程遠いぞ?」

そりゃ1000人にも及ぶ女を集めたら村じゃなくなりますよ。

「なら国一つでも目指しますか?」

主任の冗談に乗って、今後の可能性の一つとして存在し得る案を出す。

「やればいいさ、出来るものなら。その時は手伝ってもいいぞ?」

主任は楽しそうに笑う。

それ(・・)を始めるなら・・・。

「とりあえずの所は保留だな。」

主任の見解は、兎種のことについて今は直に動く必要は無い、という事だ。

最低限、問題が大きくならないよう火消しに回る必要はあるかも知れないだろうが。


「で、食料の方だが。」

主任は、眉間に少しばかり皺を寄せてそう言った

「情報は兎も角、現物は欲しかったものだ。其れなりに良い物を食べたのだろう?メモにはそう書いてあるぞ?」

ケンタのメモを見ればそれなりのメニューが書いてある筈なのだからその通りなのだが。

「ここの所、保存食を食べる機会が多くてな、飽き飽きしていたのだが?」

そりゃ保存食しか此処には無いんだから機会は多いでしょうよ。一日三回くらい食べる機会はありそうだ。

「ではこうしよう。お前達の失敗のツケと私の助力の前借りを合わせて、食料の調達でもお願いしようかな?」

食料か、まぁ其れなりに期待してたんだろうしね。

「はぁ、町に行って来いと?」

面倒だけどそれ位なら・・・。

「いやいや、そんな事までは頼まん。ちょっと近くで見かけた食材を取って来て貰いたいという話さ。大きくて運ぶのに苦労しそうでな。」

大きい?異世界特有の巨大果実とかそんなもんか?

「分かりました。それでどんな物ですか?」

面倒だが仕方が無いな、4人でやれば直に集めて来れるだろ。

「Sus scrofa」

主任の目が妖しく光ったような気がするのは何でだ?

そして植物の名前では聞いた事が無いぞ?

「スーススクロ・・・へ?」

植物ではないなら・・・動物の学名とか疎いんだけどな。

確か・・・。

Wild Boar(イノシシ)だよ。」

今一意味の判って無さそうな俺に対して、ニヤリと笑う主任の顔は実に楽しげであった。


こうして俺達による決死のイノシシ狩りが決定されたのだった。

2014/01/06 誤字修正

2014/02/01 誤字修正

2014/03/02 設定修正(微)

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