先流れ子
先流れ子
想像すると女の身体が浮かぶのです
けれど、どうにも不思議なことで
その女には顔がないのです
もしかしたら、その女は
私の理想なのかもしれず
色のない身体のしなりに
はたと意識が向かうのです
さらにまして募るのは
悲しみではなく
憎しみではなく
時々、思い浮かべてみては
すっと身体が硬直して
その女を想っているわけもなく
顔さえ見えぬ女の身体に
私は眼をふさいだまま
お前は誰なのかと
そっと尋ねてみたのであるが
女の身体は人形のように
そこに立っているのです
私の生まれる前に
流産したきょうだいがいました