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幼なじみとおかしな食堂

ユーリスはアマリリスとカナンとの話し合いを終わらせて食事を取るために外に来ていた

名前は「紫陽花亭あじさいてい」。決して味が最低ではないはずだ・・・?

なぜ最後が疑問系かというと人が並んでいないからだ

ユーリスはそれでも気にしない適当な男だった

けれどメニューはいっぱいあるしそこまでまずいわけではないだろう、というユーリスの予想だ

しかしそのメニューがいっぱいありすぎて悩んでユーリスは外の大きなメニュー表とにらめっこしていた

「ううーむ」

「どうしたユーリス。ブサイ・・・変な顔して」

「言い直してねーよな。それ」

「まあ事実だし」

「ぶっ殺すぞ」

話しかけてきた男はユーリスにちょっかい出したり、呼び捨てで読んでいたので知り合いなのだろう

まさしくその通りだ。ユーリスとはティアと同じくらいの付き合いだ

ジャック。それが彼の名前

つんつんと鬣のように逆立った髪に、野性味が丸見えな顔

身長は高く180センチはあるだろう。やや身体は細いが、華奢と言うわけではない。どちらかと言うと鍛えぬかれ無駄な脂肪がない、そういった感じだ

ジャックはユーリスより上のクラスのBクラスだ

「まあとにかく、なに悩んでるんだ」

「見てわかんねーのか。昼食どれにするかだよ」

ユーリスの前にメニュー表があるのに気づいたジャックはポケットに手を突っ込み財布を取り出し中を確認した

「久々にいっしょに食うか。ついに来たし」

「なんだ、腐敗がついに脳まで来たのか」

「ひどい言われようだな。ちげーよ、仕送りだよ仕送り」

そういえばコイツとはよく一緒に食ったなと思い出す。そして

「今日はお前の奢りだな」

ユーリスはかなり無茶な注文をした

「その権限オレにあるんじゃねーの。無駄使いしたくねーよオレ」

「ゴチになりますっ」

「勝手に決めるなあぁぁっ!」

いい案がないか顎に手を当てて考えるポーズをするユーリス。6,7秒後頭の上に電球マークを浮かべた

「ならじゃんけんで決めないか。負けた方が奢る」

五歳でも簡単に浮かびそうな代案を浮かべた。

「いいぜ、乗ってやろうじゃねーの」

二人は手を背中の後ろに身体をねじるようにして隠す。二人の姿はじゃんけんと言うより必殺の拳の一撃を放つ少し前のよう

ひゅうぅぅぅーーーー

一陣の風が吹いたと同時に二人は動いた

『最初は』

二人は当然グーをだす。しかし二人の出した拳は止まる気配がなく

『グーッ!!』

ガズンッ

二人の放った拳はお互いの頬に吸い込まれた

頬から鈍い音が鳴った

「なかなかやるな。さすがは俺のライバル」

「お前もな」

『だが、その程度じゃ俺にはちっとも響かねぇぞッ!!』

一瞬スポ根ドラマと勘違いしそうな台詞がハモる

そして二人は再び手を背中の陰に隠す

『じゃんけん』

二人は拳を前に突き出す。


『ぽんッ!!』(二人が同時にチョキを出す掛け声)


ブスッ(二人の突き出した拳が目に刺さる音)


バタバタバタッ(ユーリスとジャックが目を押さえのた打ち回る音)


『ぎゃあああぁぁぁぁっ!目が、目がああぁぁぁぁぁっ!』

二人は身体に鞭を打ち、痛みにこらえ目に溜まった涙を拭いて立ち上がる

『くそ、今のは効いたぜ』

そりゃそうだろう。眼球攻撃されて痛くなかったらそいつは人間というスペックを越えている

『いくぞ。あいこで』

そして拳を背中のあたりまで持ってきて、出す


シヤヤヤャャャャャャッ!!!!』(二人が同時に拳を出す掛け声 ※少し違っております)


ブンッ(二人のパーが交差する音)


ミリミリッ(お互いに顔面をわしづかみにした手に思いっきり力を入れて頭蓋骨から鳴った嫌な音)


『ぐぁあああああっ!!』

拳を離す二人。やはり拳ビンタと目突きの痛みが来たのだろう

もはやじゃんけんでもじゃんけんでもなくなり、ただの喧嘩となったなった戦いを終わらすために二人は独自の構えをとった。間違いないだろう。これで終わらすつもりだ

拳を振り上げた、その時

「なにやってるの?」

少女のアルトボイスが割り込んできた

「ティア、どうした?」

「どうしったって・・・。普通口元に血をたらしてたら気になると思うよ。大体予想できるけどね・・・」

露骨にあきれた声でそういった

「じゃあ、ティア一緒に昼食とらないか」

「はぁ。喧嘩沙汰なことやっててその後にね・・・。とにかくいいよ。あ、久しぶりジャック」

「久しぶりだなティア」

ユーリスは、そういえば子供のときから精霊使いって事もあって一緒にいたんだっけ、といまさらながら思い出した

自動ドアをくぐり店内に入る。レジの店員さんは俺たち(ティアがいうにはかなりひどい顔)を見ても何も言ってこなかった

「いらっしゃいませ。ご注文は」

あまりにも多かったのでユーリスは定食ランを見る「これにするか」

「えーと、日替わり焼き魚定食で」

「以上でよろしいですか」

「はい」

「826円です」

「ずいぶんと細かいな」

ユーリスは財布(先ほどの勝負は無効なのでジャックのではない)から500円と100円四枚を取り出す

店員からレシートと10円七枚と1円四枚を受け取り財布の中に突っ込んだ

後ろのティアと変わる

「ご注文は」

「オムライスにかき揚げうどんにハニートーストにポテトMにコーヒーのL」

予想外の注文量にユーリスは少し驚く

正直言って、いや幼なじみとしてティアの身体は細い。

「お前ソンだけ食えんのか?」

「もちろん。ちょっとおなか減ってて」

(お腹減っててもそれは女子が食う食事の量じゃねーぞ)

ユーリスは内心ティアに対してため息を吐いた

「以上五点でよろしいですか」

「はい」

「3358円です」

「だからやたらと細かいな」

ここまで細かいと材料費とそのままの値段をつけてるように思える

ティアは1000円を四枚出して店員からレシートとおつりをもらってジャックと変わった

「ご注文は」

ジャックと店員のやり取りを聞いてそういやこいつ大食らいだったなと思い出した

チャーハン五人前を食って今日は少ししか食ってねーなとか言うくらいだ

「マーボー卵スープに塩味噌しょうゆとんこつチャーシュー坦々にABCランチにとにかく海の幸たくさん入れちゃえー丼DXに激辛たい焼きに鳥の拷問揚げ」

「おい、ちょっと待て」

ユーリスは別の意味で度肝を抜かれた。ジャックの注文品がすべておかしいぞ

「なんだ」

「なんだ、って。どう考えたっておかしいだろ」

「おかしいって、この店のハイパースーパーメガウルトラグレートアルティメット裏メニューのどこが」

ジャックはメニュー表をめくった。そこにもやはりメニューが書かれていて

上のほうにハイパースーパーメガウルトラグレートアルティメット裏メニューと確かに書かれていた

「くそ、この店は食いもんの名前よりメニュー表直しのほうが先ってことか・・・」

ユーリスは毒づくように呟いた

「5987えんです」

「だからこの店細かすぎるだろっ!」

即刻の内にこの店はいろいろと直さないといけないと思った

ジャックは清算を済ませるとユーリスのほうを向いて

「俺たちは先に席座ってるから」

手を振ってそういった

ユーリスは「しかたないな」と呟き

「わかった」

と言う

すると店員があわただしく動くのが分かった。三人で十二品頼んでるからな

ユーリスは一番近くに見える店員を見る

おお、料理を始めてる。ここから厨房が見えるって事はよっぽど自信があるみたいだな

えーと大根・・ああ、おろして俺の焼き魚定職にでも乗せるのかな

(それにしてもあの厨房のおっさんいかつい体してるな)

身長は二メートルは越えている。半そで短パンで肌黒の人だ

――――――筋骨隆隆とはあれのことを言うんだな

あれの5%くらいほしいなとユーリスは思った。ユーリスは今頃の男子にしては体にそんなに筋肉はない

「腹筋が割れるのは・・・ちょっと勘弁だな」

小声で呟く

手を洗い、厨房のおっさんが取り出したのは・・・・

(は?)

目をぱちくりさせる。でも見ていたものは変わらない

取り出したのは間違いない。サバイバルナイフだ。決して包丁ではない

(大丈夫かこのおっさん。確かに手つきはいいけどさ)

綺麗に大根の皮をむくおっさん。むきおわると

どすんっどすんっ

(ひっ)

さすがの俺も引きずる。まな板をも叩き割る勢いでサバイバルナイフ振り下ろしてるもん。しかも目がマジだしすごく怖い

なぜだろう。なぜか今の俺にはあのおっさんの髪が金色になって逆立ってて、覇〇色の覇〇を撒き散らしてるように見えるんだけど

目をこするとそれがユーリスの見間違いだったことを知る

すると今度はマグロを取り出した。まだ解体されていない丸まる一匹の状態だ

(確か・・・とにかく海の幸たくさん入れちゃえー丼DXだったけか)

そしておっさんはサバイバルナイフをそれに入れると思われるマグロの首あたりに当て振り上げた。目はマジだ

(まさかね。まさかサバイバルナイフでマグロが切れるわけが―――)

どっ・・・ずんっ

(あったあぁぁぁ!)

力ずくで斬ったよ、あのおっさん。どっ・・・ずんっ。あ、首が切り取られた。三太刀で首切ったよ。しかもサバイバルナイフで大トロとか中トロとか切り分けてるし

おっさんが厨房でサバイバルナイフを持って食材を切り分けると言うシュールな光景を見ながら時間が過ぎていく

十分したころだろうか

「日替わり焼き魚定食でお待ちのお客様」

という定番の台詞が聞こえた

「はい、俺です」

日替わり焼き魚定食を受け取る

ご飯は普通盛りくらいだったが野菜がやや、否かなり多かった

(まあいいか)

やはりユーリスは一言で済ましてしまう適当な男だった「どうせ魚の切り身の大きさは変わらないし」

ティアとジャックが座っていたのはソファーのようなやわらかい椅子ではなく木で出来た硬い椅子だ

「いつの話の椅子だこれは」

小さいソファーのような椅子(新式)が普及されている時代で木で出来た椅子(旧式)ははっきり言って見かけない。これはもうコレクターの域だろう

ユーリスが頼んだ日替わり焼き魚定食をテーブルの上に置くとジャックは

「へぇ、普通じゃねーか」

と言う。ユーリスは

「お前たちが頼んだ物と量が普通じゃないだけだ・・・」

あきれ混じれで返答する。

するとティアはユーリスのほうを向き頼んできた

「私たちの分もお願い」

「分かってるよ。はぁ、なんか変な目で見られそうだ」

思い出すだけで嫌になるメニューだ。量と名前が、な

ティアの注文品を取りにいこうとしたユーリスは思い出したかのように振り返った。こいつらならやりかねんと思ったからだ

「あ、分かってると思うけど食うなよ俺の」

「大丈夫だよ。ゴミ箱に捨てたり、トイレに流したりしないから」

「余計に怖くなったぞ、おい」

後は神頼みで(自分の料理をいじくられませんように、と。要するにタバスコ入れられたり、乾燥剤の中身を入れられたり、ジャガイモの芽を入れられたり)ティアの注文品を取りにいく

レジについたと同時に店員が

「オムライスにかき揚げうどんにハニートースト、ポテトのMにコーヒーのLでお待ちのお客様」

と言った。

ユーリスはそれをとりに言ったが急に視線を感じた

(客、居るっちゃ居るな)

ユーリスは誤解を解くために視線を感じた方を向いて言う

「俺が食うんじゃないからな」

するとユーリス以外のここにいる客(ティアとジャックはここから少し離れた床に座っている)が食事を再開する。視線を感じなくなったユーリスは店員から注文品を受け取った

そのまま二人が座る席に向かう

「ありがとね」

ティアに注文品を渡してユーリスは自分の座る席(予定)を正確にはそこにある料理を見て一安心する

「ふーよかった。一応俺の残ってたよ」

そして再びレジに戻る。今度はジャックの注文品だ。

悪い予感は的中。ついたとたんに

「マーボー卵スープに塩味噌しょうゆとんこつチャーシュー坦々にABCランチにとにかく海の幸たくさん入れちゃえー丼DXに激辛たい焼きに鳥の拷問揚げでお待ちのお客様」

と言いやがった。間違いなくこれは言いやがったの部類だ

客の気持ちを考えろよ。これじゃ男性がレンタルビデオ店で人目を気にしながら18禁のDVD持ってきたけど、店員に「こちら、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇でよろしいですね」と言われて結局努力が水の泡になったパターンのやつじゃねーか

やはり視線を感じ

「俺が食うんじゃないからな」

と言っておいた。視線が減らないのが悩みどころだが

ジャックの注文品を受け取ったのはいいが料理のありざまはひどいにかける

ラーメンからガチでいろいろなにおいがしたり、たい焼きがくそ真っ赤だし。極めつけは鳥の拷問揚げとやらだ

揚げと付くくらいなのだから確かに衣とか付いてるのだが・・・なぜ丸まる一匹羽根つきで揚げている?

まさか拷問ってそういうことなのか!?羽根つきで生きたまんま揚げてるのか!?

鳥がばたばた跳ねながらあがっていくという可哀想な光景を考えながら席に戻る

ジャックに「はいよ」と渡し「サンキュー」と言われて席に着く

そして割り箸を取る。そこで気づく

「・・・ティアもうオムライスにうどん食っちまったのか」

「もちろん」

「えばって言うことじゃないからな」

割り箸をパチンッと綺麗に割り魚に手をつける

「少し冷えてるけどうまいな」

「当然だよ。味は最高なんだよ、この店」

そこで疑問がわく

「でも、なんで人が少ないんだ」

「それはユーリスが一番分かってるはずだよ」

まずこの店の名前か?と思ったがそれは目の前にあったことに気づく

「あれか?」

ジャックを指差す。正しくはジャックが食べている料理

「そう、あれだよ」

そのとたんにジャックは鳥の拷問揚げを手にし羽を引きちぎる

「うわー。あれだけは私勘弁だね」

「同じく」

そしてジャックは鳥の頭の部分を引きちぎる「うっ・・・」

いくら予想していたとはいえグロ映像に少しリバースしかける

ふとそのときに時計が視界に入る

「はぁ」

「どうしたのユーリス?好きな女子に振られたの?」

「そんな経験内から分からないけど、振られたらおそらくずっとどんよりしてるだろ、って違うぞ。二時間後、三時から依頼があるんだ」

「へぇ、ユーリスが。珍しいね。気が動転した?」

「気が動転しても依頼は受けねぇっつーの。アマリリスの差し金だ」

「誰と行くの?」

「カナンさんだ」

「なにぃ!?」

いきなり食べるのに夢中だったジャックがこちらの会話に入ってきた

「ジャックつば飛ばすな。きたねぇだろ」

「どういうことだ!?なんでCクラスのお前がSクラスの、いや学園一位のカナンさんが!?」

「だから人の話をきけぇぇぇ!つば飛んできたねーだろって何回言わせれば気が済む。つか襟首つかむなぁぁッ!げほっごほっ」

とにかく襟首を離してもらう

「ワリーな。それよりほんとにどういうことだ」

「私も知りたいよ」

しかし離れることはない。というかティアまで詰め寄ってきた

「お前らなぁ」

ユーリスは分かる範囲で答える

「とにかくアマリリスの意図は知らないけど俺はめんどくさいことに巻き込まれたんだ。事情はよく知らん」

少なくとも嘘はついていない

「ランクは?」

やはり重要なのだろう。やはりうそついても仕方ないのでそのまんま答えた

「S」

「えぇっ!」

そりゃ驚くだろう。Sランク依頼はティアガ受けられるかどうかだからだ

「死んじゃだめだからね」

「死んだら王水かけてやるからな」

「ひでーな」

それで、この後三人で話しながら料理を食した


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