主演
「やぁ、愛莉ちゃん!僕聞いたよ~?愛莉ちゃん、今度の月9のドラマの主演になったんだってねぇ~。おめでとう!でも、なんで僕に教えてくれなかったの?」
直希が愛莉へ、今度のドラマの事を聞いてきた。愛莉は、もうそろそろ聞かれるころだとわかっていたので、軽く返事を返すつもりだったが、ずっと直希が「なんで~?なんで~?なんで~?なんで~?なんで~?・・・」と「なんで~?」を連呼してきたため、いらいらしていた。
「城君、ありがとう。でも、そのうちわかることだしいいかなって思ってただけ。別にあなたに教える必要ないしね。分かった?」
「ふ~ん、メンバーには教えておきながら、ぼくには教えてくれないんだ~?」
「えぇ。だってそうでしょ?あなた、メンバーじゃないしね」
「まぁ、そうだけど、ひいきじゃない?皆には教えないなんて」
ここで、クラスメートの羽中田葵が、口をはさんだ。
「城君、あのね、愛莉はこういうこと秘密にして驚かせるタイプなんだよ?分かった?」
「「「そうよ」」」 「「「そうだぜ」」」
葵の言葉に続き、周りにいた人も、次々と口をはさむ。反論もできなくなった直希は、また話をそらす。
「そ、そうなら早く言ってよ~、あはは、ごめんね、愛莉ちゃ・・・」
「『愛莉ちゃん』はやめて。いい?」
「あ、じゃ『愛莉』とか?」
「あ~の~ね~、『大歳さん』にしてよね」
「なんで~?皆『愛莉』『愛莉ちゃん』なのにぃ?」
「あなたにそう呼ばれたくないの。分かったかしら?」
直希以外、皆が悟った。「愛莉は城が嫌い」ということを・・・
「・・・、あ、そう、相手役誰?大歳さんの相手役」
「・・・悠斗よ」
「「「「えぇ?!」」」」
皆が唖然とした。
「勝手にきめられたのよ。まぁ、悠斗ならいいけどね。だってキスシーンだって、知ってる人との方が楽だし」
クラスメートの藤井晴夫が、驚いた声で聞いてきた。
「い、今なんて・・・愛莉、悠斗・・・?」
「「キスシーン」」
皆が、驚きを隠せなかった。
ざわつきが収まったころ、悠斗は宙来にこっそり言われた。
「悠斗、よかったな?」
「宙来、何のことだよ?意味わかんねぇよ」
「・・・そうかよ。まぁいいよ♪いいよ♪」
「//////面白がってるよな」
「じゃあな~♪」
悠斗は、本心を宙来に見通されて、照れていた。