はぁ?!
「はぁ?!」
カラフルヒーローの楽屋に愛莉の悲鳴が響き渡る。
「わ、私がドラマの主演?!相手が悠斗?!」
「そうよ。いいでしょう?あなたたちだってもう少し行動範囲を広げていかなくっちゃ、有名で支持率の高い有名人になれないわよ?」
「別にそんなこと気にしてないし・・・第一私、演技なんてできっこないよ。それに悠斗が相手なんて、尚更・・・」
「そうだよ!浅岡さん。オレも演技なんて・・・、愛莉が相手なんて・・・」
愛莉と悠斗は、マネージャーの浅岡夏音に、全身全霊で反論した。しかし、デビューしてからずっとマネージャーをしている浅岡には聞くわけもなく
「いいのよ!それにもうやるって言っちゃったし・・・ねぇ、愛莉、悠斗お願いよ!このドラマの原作コミック、『恋愛系漫画の王』って呼ばれてるのに・・・いいじゃないの!きっといい経験になるわよ!やってみなさい」
とあっさりと丸めこまれる。しかし、2人がやりたくないのには、もう1つ理由があった。
「で、でも浅岡さん、この台本読んだ?全11話の・・・」
「い、いいえ?なんでかしら?」
「だって、毎回3回以上はね・・・」
「?」
「「キ、キスシーンがあるのよ(あるんだよ)?!」」
「へ・・・?!」
浅岡は唖然とする。しかし、次の瞬間、カラフルヒーローの楽屋に大爆笑の声が響き渡った。
「わははは!なによぉそれ!キ、キスシーンで、わははっ、動揺するなんてっ!なにぃ?俳優なら当たり前にすることよ?愛莉はファーストキスなのかもしれないからともかく、悠斗まで・・・全く、2人とも可愛いわねぇ。わははっ」
「あ、浅岡さん・・・ひどいよぉ~」
「そうだよ!オレらがキスするなんて、恥ずかしくって出来やしないよ。しかも1話につき3回以上もだよ?!」
「それを耐えてこそ、真の俳優よ!」
「「俳優じゃないよ!!」」
「まぁ、しょうがないわよ。もうやることは決まってるんだから。がんばりなさい!可愛いお嬢ちゃんと坊や♪」
「「もぉ~」」
「じゃっあねぇ~♪」
そういうと浅岡は、楽屋から出て行った。
「あ、愛莉・・・これから・・・どうしようか?」
「悠斗・・・と、とにかく、がんばりましょう!って言ってもねぇ・・・」
「「はぁ・・・」」
2人は深く、深く、ため息をついた。
これからどうなるのやら