転校生 愛莉の悩み
「ねぇ、彼超かっこいいよね」
「うん。最近2組に転校してきたカレよね、確か名前は・・・」
「城直希くんよ!」
「そうよ!かっこいいよねぇ~。」
「ドラムもたたけるもんね。ま、悠斗くんの方がかっこいいけどね!」
「「うんうん!」」
「どうかーん!」
「何か、すごいね。彼」
愛莉が言う。すかさずりほが
「うん。城くんよね。なんかモテモテ」
と答える。
「城か・・・」
「すげーよなぁ」
「もてるなぁ」
男子3人が言う。
彼の名前は、城直希。前の小学校では吹奏楽部の部長をしていて、パーカッションだったらしい。得意な事はドラム。かなり難しい曲も叩けるらしい。曲をたたいている時の彼の顔は、とてもかっこいいらしく1日にしてモテモテになった男の子だ。
「ねぇ、悠斗が城くんにライバル視されてるって本当なの?!」
「え、あぁ。なんかなぁ・・・」
「迷惑よねぇ。りほも分かるよ。アコーディオンがうまい子に勝手にライバル視されちゃって・・・本当に迷惑だったぁ~」
「悠斗、ガンバ」
「あぁ、春輝。ありがとう」
「悠斗、城と話したことあんのかよ?」
「なんだよ宙来。あ・・・でも、ないかも・・・」
悠斗は、城が転校してきて1週間たつのに1回も話したことがないのに気づいた。ライバル視されてるのは、噂で多数聞いたことがあったからわかったけど、他のうわさが本当かは、知らない。
城直希
いったい彼は、何者のなんだ?悠斗は、不思議に思う。
それと、悠斗の悩みの種はもう1つ。
愛莉の事だ。
愛莉の父親は、ジャパンニーズ事務所所属の大人気アイドル「2-ボーイズ」のメンバー。だから、ずっと仕事で家にいない。家に帰ってこないこともあるらしい。愛莉の母親は、もう亡くなっている。愛莉がお腹の中にいるときにガンにかかり、愛莉が1才の時亡くなった。当然愛莉が生まれてからは闘病生活が始まったため、兄弟もいない。ときどき母親の苦しそうな様子が夢に出てくるらしい。だが、そんなこと誰にも言えるわけがない。人一倍自立心の強い愛莉のことだ。父親が帰ってこなくてさみしいなんて誰にも言えない。
愛莉
きっと城は愛莉の事が好きだ。
でも、それは俺だって同じこと。
誰にも言ってないけど、オレは愛莉の事が大好き。昔っから一緒にいて、ずっと遊んでいて、仲がとってもいい女子。
愛莉は、きっとおれの事、友達・・・親友としか思ってないと思う。
愛莉、
大好きでとても大切な存在。
幼いころから一緒にいるから、楽しいこともわかる。
その反面、辛いこともわかる。
愛莉、大好きだよ。
悠斗は、心の中で強く思った。