カラフルヒーロー
「行ってきます」
とある家から、女の子の声が聞こえた。
少女の名は、大歳愛莉。
城中小学校6年2組の学級委員であって・・・
大人気バンド「カラフルヒーロー」のボーカルを務めている。
彼女の家は、とある高級マンションの2階。父は、ジャパンニーズ事務所所属の大人気アイドルグループ「2-ボーイズ」のメンバー、大歳聡。今は亡き母・大歳梨花は、伝説のアイドルロックバンド「キューティガールズ」のボーカルだった。
愛莉は、その母譲りの歌唱力で、今世界中の人を魅了している。
今日は、仕事がオフの為学校に行っていた。
学校には、バンドのメンバーもいる。
バンドのメンバーは愛莉も含め、全部で5人。ボーカル兼ギター1は大歳愛莉。サブボーカル兼ギター2は川口春輝。アコーディオンは山本りほ。キーボード(ピアノ)は旭宙来。そしてドラムが三並悠斗。皆城中小学校6年2組だ。
愛莉は、急いで登校班の集合場所へ行き、学校へ行った。
行く途中、愛莉はこっそりとため息をついた。
正直言うと、愛莉は毎日の仕事に疲れていた。いくら社会に出て仕事をしているとはいえ、まだ子供。家に帰っても父は仕事でいないし、母ももうこの世にはいない。メンバーの川口春輝と三並悠斗は、物心ついたときから一緒にいる、いわゆる幼馴染だが、2人は、家に帰ったら父母ともにいるため、愛莉は一緒にいられない。おそらくこんな悩みごと、あの2人にはお見通しなのだろうが、自分から言えるわけもないため、1人でずっと孤独に耐えていた。
気がついたときには、もう学校についていた。
「愛莉~!久しぶり~!元気だった?」
「愛莉。授業教えてやるよ!」
愛莉は学校に着くなり、生徒の嵐に呑まれていった。しょうがないだろう。なんていったって愛莉は有名人。こうなるのにももう慣れっこだ。その時、後ろから
「愛莉~!こっち、こっち~!」
と聞きなれた声が聞こえた。山本りほだ。りほは、愛莉の親友であるバンドのメンバーだ。小学校に入ってからずっと一緒のクラスで、いつも一緒に行動している。
急いでりほの方へと逃げた愛莉は、汗だくだった。
「は~、疲れたぁ~!りほ、ありがと!」
「いえいえ、愛莉の気持ち分かってあげられんの、りほくらいだし。お安いご用だよ!」
りほは、とっても気さくでキュートな少女だ。同性の愛莉でも可愛いと思うくらいの見た目をしていて、性格もとても気さく。ちょっと抜けたところがまた可愛い。性格は気さくだが、見た目は「可愛い系」ではなく「美人系」で、成績優秀、運動神経抜群の愛莉とは、ある意味正反対の少女だ。学校の中でも「愛莉派」か「りほ派」に分かれる。
りほとたわいのない会話をしているうちに教室に着いた。
教室には、残りのバンドのメンバーの川口春輝、旭宙来、三並悠斗がいた。春輝は、クール系で、りほと男子で1番中のいい男子だ。宙来は、気さくでちょっぴり抜けててエッチな男子だ。愛莉と悠斗と仲がいい。悠斗は、メンバーの中でも愛莉と同じくらい成績優秀で、運動神経抜群な男子。悠斗とも仲がいいが、幼馴染の愛莉とよく一緒にいることが多い。
「愛莉、りほ、大丈夫か?下で大変なことになってんだろ?」
「うん。りほが助けてくれたんだ」
「どうよ!りほさまの腕前は!」
「べつに・・・なぁ」
「悠斗!ひどいよぉ~」
「まぁ、2人が無事だったんだからいいじゃないの!ねぇ?」
「そ、そうよ!そうしよ!」
「「・・・うん」」
その時、教室がざわついた。