第四話 愛情表現≠悪戯。
下の文は皆さんからご指摘頂き撤去した、小説の登場人物が読者に語りかける部分です。
タブーだ、異質だと皆さまに言われ、後々自分で読み返して「大和、空気読め」と思ったので本編から外しました。
掲載当初は何を血迷ったのでしょうかね。あ、大和じゃなく作者が。
ただこれをごっそり消すと大幅に修正が必要だと分かったので、不愉快かもしれませんが前書きの方に置かせて頂きます。
本編には関係ありませんので、嫌悪感を抱いた方は軽くスルーしてやって下さい。
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そうさ、ここは愉快なたそがれ寮。通称【たそがれ寮。】を現在ご覧になってる皆さん。
どうもこんにちは主人公の大和です。
え? なんで急に話しかけてくるんだって?
やだなぁスキンシップですよスキンシップ。
これからお付き合いしていくんだから当然じゃないですか。
……反応冷たいね。そこまでヒかれるとちょっとショックなんだけどな俺。
まさか運命の女神に見放された不幸な俺をあなたまで見捨てると?
そんな冷たいこと言わないでくださいよ。お願いしますから、いやマジで。
さて、第一話から俺にとってはまったく意味わからない展開で始まったこのお話。
黒い巨人女に拉致られたところから始まり、第二話で献身的で可愛いヒロインとのラブコメ的出会いを果たし、こんな生活なら悪くないむしろグッドかもとか思った矢先に、第三話で威風堂々と邪魔が入った、というか束の間の平穏を打ち砕かれたのですがこれは一体どうなんでしょうか。
俺としてはあのまま正直こっ恥ずかしいラブコメ展開の方がまだよかったのですが。
少なくとも心の平穏が保たれますから。
……いや下心があって言った訳じゃないですよ、そこまで俺は落ちぶれちゃいません。
もう連載開始早々テンション狂わされまくりですよ……ほら現にこうして長々と意味もない語り入ってるし。
ん? ていうか今のところ男って俺しかいなくない?
ま、まさかこれは××ゲーや×××ゲーにありがちなハーレム状態じゃ――
――とかいうのはやっぱり夢だったりするのです。
さてそろそろ本編に戻りましょうか皆さん。
「――大和くん? あの、お話聞いてた?」
「ん、あぁえっと……ごめん、少しぼーっとしてたみたいだ」
……俺はしょっちゅう夢を見る。何故だか知らないがホントによく見る。
けど内容はあまり詳しく覚えていない。というか覚えられない。
だが普通夢であってほしいことをこうして現実で体験しているわけだから、きっと夢の中はもっと救いようのない世界なんだろう。
うん、そうに違いない。
いや、ひょっとしたら夢の中の方がマシな世界だったかもしれないな……。なんだか分からないけどそんな気がしなくもない。
というわけで、どうやらまた起きながら夢を見てしまっていたらしかった。
こういうの、白昼夢って言うんだっけ? なんか違う気がするけど。
「寝不足かな、やっぱりもうちょっとアリスのベッドで寝てた方がよかったかなぁ?」
「いっ、いいよいいよ大丈夫だよ! しょっちゅうあることだし! ありすぎてもう慣れちゃったよ」
心配そうな顔で見つめてくるアリスの視線に当てられると、ふにゃぁって顔が緩むのが分かる。
いかんいかん、でもやっぱ……ふにゃぁ〜っと、顔がふやけてしまう。ふにゃぁ〜っと。
「うっわ露骨ぅー……キモッ」
今なんか軽く心外な言葉が聞こえてきた。少なからず傷付いたので後で何か仕返ししよう、と心に決める俺であった。
「んでねでね、雷華ちゃんにはね――」
そしてまた雷華の紹介に話が戻ろうとしたとき、突如吹き付けるかのような風が、俺達の間を裂いた。
――まるでファンタジー物の話にありがちな、何者かがそこに現れてくるような風が。
「お、こんなところにいたのかァ雷華」
「ふ、風に……風太」
突風と共に新たに登場してきたのは、深い密林をイメージさせる深緑の瞳と草原のようになびく髪を持つ少年。
服装は雷華同様短パンに、黒のタンクトップの上からセーターを被っているのだが、単に彼には大きすぎるのかわざとなのか大幅に肩を露出していた。
……身長は、お世辞にも「大きくなったね」とは言えないぐらい。あのチビの雷華とほぼイーブンだろう。
まぁ年も近いだろうし小学生なんてそんなもんだ。
「どうだ、新入りへの洗礼はもう済んだのか?」
「まあまあ悪運は強いみたいだ。あの状況からクリティカルを免れた」
「おぉ、そりゃなかなか出来るんじゃねェ? んでその期待の新人は何処よ」
雷華はアレ、と言いながら俺の方を指差した。
英語するとthatだ。
……おい、さすがにthatはないだろthatは。
すると風太は品定めするかのような目つきで俺をじぃっと観察し始めた。そして、
「ふーん……今のところは何とも言えねェな。ま、三日持つか持たないか見物だなー」
なにやら含み笑いを浮かべた後、先程雷華が言ったのと同じようなことを呟いたのだった。
「えっと、さっき言おうとしたんだけどこの子は雷華ちゃんのお兄さん。【荒垣風太】くんだよッ♪」
「大和だっけ? まぁこれからよろしくなー。色々あるけどここも慣れれば楽しいから、オレも協力するから早く馴染めよ、な?」
こちらもアリスに負けず劣らずの無邪気な笑顔を浮かべ、惜しみない歓迎の意を表してくれた。
ただ何故か今、妙な含みがあった気がしたのは俺の気のせいだろうか。
「んーっと、雷華ちゃんと風太くんはご挨拶終わったから……あとは怯助さんと震子さん、かな?」
「あのヘタレならいつも通り部屋に篭ってるだろ。とっとと済ませてさっきの勝負の続きだ! 口先のケンカなんかで尻込みする雷華様ではないことを証明してやるぅ!」
わー、なんとも血気盛んなお嬢さんだこと。じゃあその生意気な態度を軽くへし折る程度にお相手してあげましょうかね。
……さっきキモイとか言った仕返しだ、返り討ちにしてやる!
「罠オタク、ヘタレのトラップを盗みまくれ! そしてヘタレを問答無用で爆破せよー!」とか物騒なことを叫びながら少女が廊下を走ったとき……
「あ、雷華気をつけろそこは――」
「ふぇ?」
よく見れば、少女の足下に違和感。気付いたときには遅かった。
――かちっ。
あの、えっと信じがたいことなのですが、ただいま、おそらく何のへんてつもない廊下で、
爆発なんか、起こっちゃってたりして……。
少女の周囲が爆発した。
簡単に言っちゃえばそんな感じ。
発生源、足下の地雷型爆弾。
「……簡単に、まとめるなぁ……あンのスーパーミラクルストレートフラッシュハイパーロングヘタレめぇ……!」
直撃を受けた少女は小規模だったからこそ無事だったが、髪はボサボサ、服はボロボロ。ついでに瞳はギラギラしていた。
あれ? 小規模でも直撃だよね? そしたら本来無事ではなくなるような……。
「爆発する瞬間、自分の身体に電磁バリアを張ってやがった……アイツ、いつも無意識で高度な技をやってのけるなァ。最初はどうなることかと毎日心配して寝れなかったが……さすが我が妹、末恐ろしいヤツ」
俺にはさっぱりよくわからんが、とりあえず何やらすごい技を使って外傷を少なめにしたらしい。
そして兄は妹の成長を噛み締めている真っ最中のようだ。……なんか幸せそうだからそっとしておこう。
たとえその手に怪しげなスイッチが握られていたとしても。
さらに距離が近かったため、軽い爆風と廊下の床に積もっていたホコリによる二次災害で、俺の方がボサボサのボロボロだったとしても。
そうとは知らず完全に怒り狂った妹。その姿はまるでゴ○ラ(何百分の一サイズ)を生で見てるかのような迫力で、ある部屋の前までゆっくりと迫っている。
みんな、今すぐ避難するんだ! ヤツを倒すには○スラを呼ぶかメカゴジ○を発進させねば……!
時すでに遅し。
ヤツは部屋の扉を蹴りとばしていざ破壊活動――と思いきや、またしても何かに引っかかったらしく「うにゃあ!」という悲鳴と共に逆さまに吊り上げられていた。
「……あ、今日は白」
一瞬で少年は黒こげになったが。
「ぐ……油断してたら電撃が……」
「いや、今のは明らかにお前が悪い」
ここですごく今さらながらアリスの補足が入ってきた。
「あぅ、言い忘れてたけどねッ、風太くんは風を操り、雷華ちゃんは雷を体から放つことが出来るんだよッ。あと風太くんはいつも悪戯ばっかしてるけど……」
「どうでもいいからはやくらいかさまをおろせぇー……! うぅぅ……あたまにちがのぼるぅ〜……へぅぅう」
「ハイハイ今行くから。……ほらいつまでもそこで伸びてないで手伝え。元はお前が仕掛けたんだろ?」
「うー……次はミディアムで頼むぜ妹よ……」
本当はとっても妹想いの優しいお兄ちゃんなんだよ……と、この光景を見ながらアリスは小さく呟いたのであった。