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第二十四話 考える人は肩こりと腰痛に悩まされる。

 百合亞に意味深な助言をされた、その翌日。

 カーテンの隙間から眩しい光が入ってきて、容赦なく俺の顔を照らす。

 うぅ、スポットライトはいらないよ……。

 もぞ……と朝の日差しを避けるように寝返りを打つ。


 昨日は結局、あのときのことをずっと回想していた。

 何度も何度もリピート再生し、百合亞の言葉の真意を探ろうとしていたのだが、結局深夜になっても何も分からないまま。

 気が付けば睡魔に負けていた……というわけだ。眠い。非常に眠い。いったい何時に寝たんだろう。

 ただ、疑問に思うことはたくさん浮かんできた。俺達に関係のあるなしに関わらず。


 ――――――――

 ――――――

 ――――


 まず一つ、俺とアリスには何かしらの関連性があるのか。

 様々な共通点を持っている、ということもあるが、昨日の会話からして……二人で話を聞けと言ったのは、もしヒントになるようなことを聞いたとき、それは片方だけではなく、俺とアリスの両方にとってヒントとなることが多いからではないかと俺は考えた。

 ってことは、俺とアリスは似たような能力なのか?


 二つ目に、寮長や百合亞の話はウソなのか、ホントなのか。

 この二人から聞ける話は胡散臭いが、あたかも重要なことを話すように喋る。俺も何度振り回されたことか。

 結局、ウソなのかホントなのかまったく分からない。けど、俺とアリスの能力について一番知ってそうな人物であることは間違いないだろう。

 だって『寮長』だし。

 百合亞はやや怪しいが……何かを知ってそうな素振りをする人物は、寮長以外にコイツしかいない。

 それに、百合亞のあの言葉。


「九つの虚言の中に一つの真実を隠せ。それは匂わせる程度でもよい。偽りのみでもよい」


 これだけ、百合亞(アイツ)自身の言葉ではないような気がした。百合亞も、そう教育されたと言っていたし。

 ここが重要ポイントですよ、さぁ黄色いマーカーでも何でも線を引いて下さい、とでも言いたげなくらい、違和感で浮き彫りにされた台詞だった。普段百合亞の放つ言葉とは、雰囲気が違う。

 これは大ヒントじゃないのか、と思った。けれど、内容が内容だったことに気が付きへこんだ。

 九割のウソの中に一割ホントが入ってるかもしれない。だが、それは気のせいと思わせるくらい微妙なものだったり、全部ウソの可能性もあるってわけだ。

 俺はウソ発見機でもホント発見機でもない。とてもじゃないが、あの胡散臭い話の中から一割のホントを見つける自信は、皆無だ。


 三つ目。百合亞と寮長には血縁関係があるのではないか、と。

 だいぶ前から疑ってはいたんだ。俺の能力について百合亞と話していたとき、呪いの解き方は姉さんが探している、と百合亞は言った。

 その姉さんとは、もしかして寮長のことではないか?

 いや、それ以外に考えられる人物はいない。まだ見ぬ第三者がいるという可能性もあるが、それは現段階では無視する。

 で、百合亞と寮長が血縁関係にあるとして。そうなると先程の言葉は、寮長にも当てはまるのではないか、と考えられる。

 あの言葉は家訓とか、そんな感じの言葉なんだと思う。カナリ変な家訓だがな。




 つまり今回分かったことは、百合亞の言った通り――この二人はウソツキだと言うことだ。

 言われなくとも分かってはいたことだが、今後一切、この二人の話を聞く際には鵜呑みにすることの無いよう、肝に命じる。

 これは百合亞と寮長が血縁関係でなくとも、関係ない。ウソかホントか慎重に考えろ、と気を付けるだけだ。


 となると、もっと信用出来る人物が欲しいが……いるのかなぁ、俺達のことについて知ってる人。

 いろんな人の話を聞けって言われてもな……もう一度、寮長の部下の人達に聞くべき?

 あるいは、まだ話を聞いていない人――例えば怯助さんとか、寮生の人にも話を聞けと?


 いや他にも疑問に思うことはあるはず。例えば――


 ――――――――

 ――――――

 ――――


 ここで意識が途切れたらしい。ここまで覚えていただけ、自分でも凄いと思う。

 あぁ眠い。二度寝しよう。それがいい……朝っぱらから考え事して疲れた……。

 (まぶた)が重い。重みに任せて徐々に閉じようとした――その時。


「必殺! 電流イライラ棒!」

「うげぐががががッ!」


 俺の身体に電流が流れること約三秒。

 ぎ、ぎ、ぎ、と電池切れのロボットみたいな動きで首を傾けると、鉄の棒を片手に持った雷華が、俺のベッドの傍らに立っているのが見えた。


「起きろ大和一等兵! 戦場に休息はないのだぞ?」

「ま・た・お・ま・え・か」


 以前と同じように雷華は迷彩柄の軍服を着て、今度は紐を固く縛った黒いロングブーツを履き、黒いヘルメットまで被っている。ちょっと本格的だ。


「今日はそんなだらけにだらけているお前に特別講師を用意したのだ! とにかくさっさと起きろ!」


 特別講師ぃ? 誰だよこんなままごとに付き合う暇人は。


「おーい、せんせー。入って来い」


 先生に対しても偉そうだなお前。

 あ、そっか、自称軍曹だからか。


「は〜い。おっひさ〜」


 くねくね身体を曲げながら部屋に入ってきたのは、短髪を無理矢理側頭部で結んだ、フリフリの付いたピンクのエプロンを着たオカマ。全体的に細身で瞳は三白眼。口元はマスク(キスマークのプリント付き)で見えない。エプロンのポケットには掃除用の道具がいろいろ。

 確か寮長の部下で掃除当番の――


「なーに? ひょっとして、あたしの名前忘れちゃったかしら?」


 いや、一応この寮で見た目のインパクトはナンバーワンだし、名前くらいは覚えていた。

 ただ、コイツって掃除当番だったのか……仕事してるところあまり見たことないから、知らなかったぜ。


「覚えてたよ。麗太、だろ?」


 名前は、ちょっと珍しいが本名っぽい。源氏名で名乗ったりしないのかな?


「あらん、覚えてくれて光栄だわぁ。そっ、あたしの名前は麗太よ。れ・い・た」


 そう言うと麗太は、俺に対してウインクしてきた。なんか、うっふんって効果音付いてそうなやつ。


「じゃあ、早速行きましょうか」

「え、何? どこへ?」


 突然両サイドから雷華と麗太に腕を絡められ、身動きが取れないまま俺はすっとんきょうな声を上げた。

 麗太から返ってきた返答は、


「どこって……まずは食堂かしらん?」


 俺に死亡フラグを立てるものであった。

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期間は十一月末まで。結果発表は番外編で、キャラの対談形式にて発表をしたいと思います。

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お手数かけますが、どうかご協力お願いします。

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