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第一話 始まりは拉致から。

はじめまして! 作者の南風十羽(なんふうとわ)です。

この作品は俗に言う『キャラクター小説』と呼ばれる部類に属しています。

処女作なので未熟な点も多々ありますが、楽しんで頂ければ幸いです。

他にもいろいろ書きたいのですが、続きは後書きで。

では本編をどうぞ。

 学校という名の呪縛から解き放たれ、やっと解放されたというのにこの仕打ちはなんなんだ。

 突然黒いスーツに黒いグラサンをかけたスキンヘッドの厳つい男達に捕まり、これまた無駄に胴長な黒い高級車――あぁそうかあれがリムジンか、に無理矢理入れられ、そしてどこかもわからない場所に着き牢屋っぽい部屋に閉じ込められている。


 ――そう、俺こと【渚大和(なぎさやまと)】は、学校帰りに拉致されたのだ。


 本当に訳がわからない。

 警官に補導されるような真似はしてないし、そもそもそんなことは生まれてから義務教育の終了した今まで一度もやったことない。

 ……いやそれ以前に、皮肉にもいたって平々凡々な毎日を過ごしてきた俺にそんなことする勇気なんてないんですみたいな。

 まあどうでもいいのだが。

 とにかく、ごちゃごちゃと自分の頭の中で自己満足な語り文入れてもしょうがない。誰かに是非とも説明をお願いしたいところだ。

 何故俺が、いきなりこんな目に合わされたのか――


 とそのとき、石畳みの床を規則的に叩くような音が薄暗い牢屋の中に――あぁもうまどろっこしい。

 足音だ。誰かが俺の入れられたこの牢屋に近づいている。そして足音の主が、何やらぶつぶつ言っているのが微かに聞こえてきた。


「てことは何だ、説明も無しに拉致って来たのか馬鹿共が。それでは私があの面倒な説明をしなければならないだろうが畜生め。お前達は私に手間を取らせるつもりなのか? それともそんなことも考えられない位にまで馬鹿だったというわけか?」

「も、申し訳ありません……」


 女性の声だ。……それにしても、なんて威圧的な口調なんだろう。今のセリフのどこにも女性らしさなんて見当たらなかったぞ。ていうか正直コワい。

 それに対してぺこぺこと謝っているのはどうやら俺を拉致った黒スーツの一人らしい。

 畳み掛けるかのようなマシンガントークに責められて「申し訳ありません……」をただひたすら繰り返している。ちょっとカワイソウだ。


「おい無事だと思うが無事だろうな。返事をしろ」


 黒スーツにちょっと同情した隙に、いつの間にか鉄格子ごしに女性の姿が見えた。

 ……その言葉が自分に向けられたモノだとは気づかず、一瞬ぽかんとしてしまった。だがすぐに持ち直して負けじと返答する。


「あぁおかげさまで無事……じゃねえだろ! どこだよここ! 俺が一体何したって」

「今それを説明するんだろうが馬鹿が、黙れ」


 やっぱり敵わなかったりした。コワい。なんて凶悪な顔をする女なんだ。

 というか今やっと彼女の姿を確認したのだが、腰まで届く長い黒髪に、仕事用のような黒いスーツでそのすらっとした体躯を包んでいる。また黒スーツか。外見は二十代後半といったところだろう。しかし怒っているのか無愛想なのかは知らないが、そのせいで少しは整っている顔が台無しだぞ。


「……わかったよ。じゃあその説明とやらを聞こうじゃねえか」

「物分かりが無駄に早いな……まぁいい」


 お前が黙れと言ったんだろうが。


「まず初めに、ここは元々お前が住んでいた街からは大分離れている。だから戻ろうとしても無駄だ」

「なっ、じゃあ俺はどうやって家に――」

「話を聞けと言ったはずだが?」


 ギロリ、とその鋭く細い目が睨んでくる。


「…………すいません」


 思わず謝罪。俺は黒スーツ同様にすっかり丸腰だった。

 そして、何やら重要なことを聞き逃した気がした。


「――というわけで、お前は――」


 いや、聞き逃したんじゃない。

 なんか聞いちゃいけないことを……頑張って聞かないようにしてる気がした。


「つまり――だから、今日から――」


 聞いちゃダメだ聞いちゃダメだ聞いちゃダメだ聞いちゃダメだ!

 おい、一体どうしたんだ、俺!


「おい、ちゃんと話聞いてるだろうな? 返事をしろ」

「はいぃィイ!! スンマセンスンマセン聞いてませんでしたスイマセン!」


 結論、俺はこの女性には逆らえない。


「ったく、人が有難く教えてやっているというのに……仕方ない、これが最後だからな。耳の穴空っぽになるまでかっぽじってよく聞け」


 そう言うと女性は溜め息をつき、再度はっきりと、今度は聞き漏らさせないように俺に告げた。


「お前には今日から、この寮で暮らしてもらうことになる」




「………………はい?」


 最初に出てきたのは、どうしようもない生返事。


「えっと、話がまったく見えないんですけど、俺が、ここで暮らす?」

「自己紹介が遅れたな。私はこのたそがれ寮の寮長を勤めている【黒井霞(くろいかすみ)】だ。今後、私のことは寮長と呼べ」


 目から髪から服から靴まで黒一色なだけあって、名前にも黒が入っていた。でもその黒さと存在感は霞んでなんかいない。艶消しの黒でも塗ってるかのように黒ずくめだ。

 そんなことを俺が考えていると、この上から下まで真っ黒な女性――寮長はやっと俺の台詞に対する返答をした。


「理由は今はどうでもいいので後ほど説明する。それよりまずはこの寮についてだ」


 理由どうでもいいの!?

 いやここまでするからにはせめてちゃんと納得のいく説明をしようよ! すごく今更ながら俺への配慮ゼロ!?

 ていうかここ、牢屋とかあるくせに寮だったの!?

 なんで俺がいきなりわけもわからぬ未開の地で暮らさなきゃならないんだよ!


「……お願いします」


 非常識な発言に対するツッコミや言いたいこと全部呑み込んでやっとそれだけ言った。

 ……よくやった、俺。


「よろしい。とりあえず前書きから言っておこう……覚悟はいいか?」


 寮長はここで初めて、少々躊躇いながら言った。


 ――ふっ、今更何を言い出すと言うんだろうか。

 もう十分イレギュラーを受け入れる覚悟と冷静さは出来ている。

 例え、私達は実は宇宙人なんだとか言われようが俺を解剖して地球人の生態を調べてやろうという土星人か火星人の陰謀だろうが何でもこい。俺は絶対屈しないぞ!


「ここは普通じゃない者による普通じゃない者のための普通じゃない奴らの集められた普通じゃない寮……【たそがれ寮】だ」


 ここは普通じゃない者による、

 普通じゃない者のための、

 普通じゃない奴らの集められた、

 普通じゃない寮、

 たそがれ寮。




 数秒間の静寂。

 そして俺が真っ先に思ったこと、それは……


「どんだけ普通じゃなければ、そんなに『普通じゃない』を繰り返せるんだよぉぉおおお!!」


 この日から、俺の日常は全て非日常へと変わっていったのであった……。

 はい。いきなり過ぎますねスイマセン。

 ちなみに第一話からしばらくの間は、ぞろぞろとキャラクター達が出てきます。が、覚えるのはメインキャラなどほんの一部で十分だと思います。

 サブキャラ達の活躍は話が進めばやりたいと考えてます。希望形(笑)


 前書きの続きですが、評価・感想はもちろんのこと、批評やご指摘もお待ちしております。

 ただ、まずはとにかく更新し続けること、そしていつかは完結させることをモットーに書いております。アドバイスをすぐに生かすことは自分の実力では難しいので、拙い作品であることはあらかじめご了承下さい。


(2008 7/28 南風十羽)

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