流れ星だけが知っている
初めて書きました。こちら豆腐メンタルです、お手柔らかにお願いします。
異世界転生っていいなと思っていましたよ、ただ見るだけなら。漫画やアニメそしてゲームが大好きなオタクだったからたくさんの異世界転生物を見てきた。
でもさ悪役令嬢をザマァしたり、現代知識のチートを使って新しい物を開発したり主人公達は凄すぎない?
妙なところで現実的な私は、自分が転生したとしても記憶力が乏しいから大好きな作品でもストーリーや設定を細かく覚えてないしザマァって無理じゃねって思っちゃう。もちろん新しい物の開発なんて平凡の極みだったから作り方や構造知らんし無理じゃねってこれまた思っちゃう。
そもそも自分が異世界行くことないかぁと笑っておりましたよ。今の今まで。
「それで、転生してくれる?」目の前にキレイな人が突然現れて聞いてきた。
「えっと転生って、私が?私死んだの??」思わず聞きかえしましたよ。
目の前のキレイな人は神さまでした。
私は神さまの管理している世界の1つに出来た巨大な隕石が爆発した衝撃で出来た次元の渦に飲み込まれて死んだらしい、寝てる間に。なんだそれ、どんなスケールなんだよ。
自分の家に居てしかも寝てるうちに死ぬって完全に事故じゃん。
だから神さまは異世界転生させてあげようと魂だけでもとすくい上げてくれたんだって。でもその魂が異世界転生無理じゃねって思ってたから困ってたということらしい。
私の《異世界転生無理じゃね》って考えは思考を読めるからバレバレなんだって。
「新しい命を貰えるって事ですもんね。ありがたく転生させていただきます。」
まあ私は平凡な田舎者なので何も出来ないけど。
「良かった〜。じゃあ適当にスキル見繕っておくわ。楽しんでね〜。」そう言うと神さまは手を振って消えて私は光に包まれた。
ー*ー
転生して早5年。新しい世界での生活は快適だった。
透き通る肌、輝くプラチナブロンド、桜色のほっぺに艶めく唇。前世で夢見た美幼女に生まれ変わりました。最高!!
赤ちゃんからのスタートで0歳児から転生した記憶があったから驚いたけどアンベール辺境伯家の子供として生まれ両親と兄、祖父母、使用人みんなに愛されてスクスク育ちました。
私が生まれた国は、アストロン王国でアストリー王家が治める王政国家。3つの公爵家と2つの辺境伯家が国の重要な都市を治めている。
我が家は国の東側の隣国との国境を治めてるかなり裕福な家だった。
家族だけじゃなく、前世ではいなかった使用人の人や領民とか関わる人が多くて大変だ。貴族の義務とか心得的なものは初めて触れるから、わからないことだらけでみんなに色んな事を聞いては困らせた。
変な発言とかしないように、気を付けて生活してなきゃ頭おかしい子供扱いされちゃうから情報の擦り合わせって大切だよね。言葉使いや振る舞い方も違うからシルヴィア-フォン-アンベールとしての新たな人生を実感した。
「シルヴィア〜、シル〜。」兄グレイシスが私を探している。兄様は私に甘い。とにかく甘い。勉強や鍛錬が忙しいのにわずかでも時間が出来たら私と遊んでくれる。
「にいさま、ここですわ。」庭園の垣根の陰から兄様の足にぎゅうっと抱きついた。
「今日は何してたの?」私に抱きかれたまま、笑顔で聞いてくれる。
「にいさまにわたすしおりをつくろうとおもっておはなをつんでました。もうすぐだから⋯。」
そう、この世界では6歳で洗礼を受けると魔法が使えるようになり、貴族の子供は10歳になると王都の学院で魔法と剣術、社交などを学ぶ決まりがある。兄様も来月から学院に行くのだ。
さみしい⋯そんな5歳の幼児の心をごまかす為にも押し花しおりを作って渡そうと思ったのだ。
思い出したら泣けてきた。大人の記憶はあってもこの体と精神はまだ子供、すぐ泣いちゃうのよね。
「泣かないで、シル〜。僕は王都に行くのやめるよ。」慌てて兄様が抱きしめてくる。
「グレイ、学院はこの国の決まりだよ。行かなくては駄目だよ。父様だって嫌だけど王都の仕事してるんだから。シルやマリーと離れたくないのに⋯。」そういって父アルトリウスに抱き上げられた。
「それならみんなで王都に行きましょうか。どうせシルが学院に通う頃にはそうするつもりだったし。アルもグレイも暴走しそうだし。」母マリアベルのひと言で家族での王都暮らしが決まった、母様最強。
ちなみに領地運営はお祖父様がまだ領主なので問題ない。
だが孫娘溺愛中のお祖父様は離れたくないと号泣。お祖母様に学院の長期休暇は必ず帰ってくるように、父様は来なくてもいいが私だけでも帰省するように!!と念を押され、とてもいい笑顔で約束させられた。本当にいい家族に囲まれて幸せだ。
ー*ー
王都のタウンハウスに移り、兄様が学院に通い始めてしばらく経ち私の洗礼式の日が来た。
王都の大教会、ずいぶん荘厳な建物だ。両親と共に長く薄暗い廊下を進む。
洗礼は普段の礼拝堂ではなく奥にある更に神聖な場所で受けるらしい。
やがて温室のようなガラス張りの部屋に出た。
左右のステンドグラスから光がこぼれキラキラと辺りを照らす。泉の中央に神さまの像がある。
あの日私をこの世界に送ってくれた神さまだった。
ちなみに神さまの持つ水瓶から聖水が湧き出ていて、そのおかげでこの泉もこの部屋の植物も枯れない神聖な場所でありその場所を守るために大教会が建ったらしい。
ここで神さまに祈りを捧げると適正魔法が授けられるらしい。どこの教会で洗礼を受けても適正魔法は授けられるけど、大教会で受けられるのはとても名誉なことなんだそうだ。
私は神さまの像の前にしゃがんで祈り始めた。
『あの日神さまに転生させていただき本当にありがとうございました。ただただ家族に愛されてまだ何も成してないけどこのまま普通に楽しく生きていこうと思います。』
そう心の中で祈ると神さまの像が光輝いた。
『いやぁ〜楽しんでくれてて良かった〜。光と水の適正って事にしておくね、ホントは全部使えるけど〜。スキルも見繕ってあるから後でステータス見ておいてね〜。じゃあね〜。』
神さまの声が聞こえた、厳かな場所なのに言い方軽いなぁ。
「シルヴィア、祈りは済んだかい?メテオラ様の像がいつもよりも光ってた気がするけど・・。」
メテオラ様?あー神さまの名前、あったのね。初めて知ったわ。
この世界の事、勉強しないと駄目だなと思った。
「とうさま、ひかりとみずのまほういただきました。これからいっぱいべんきょうしますわ。」
ニコニコ笑って報告する。
メテオラ様の像がいつもはホワッと光るのが、ピカピカに光過ぎてたらしく神官様達がざわつき始めたので、慌てて家に帰宅したのだった。
メテオラ様は本当に色んなスキルをつけてくれてて《鑑定EX、アイテムボックスEX∞、検索EX、テイムS、錬金S》ついでにメテオラの加護っていうのも付いてた。ステータスは他の人に見られたらヤバそうなので気を付けよう。
とはいえ、前世では魔法なんてなかったから、ワクワクが止まりません。
両親に頼みこみ早速魔法の教師を雇ってもらい勉強する事にした。淑女教育とこの国の一般教育も当然やるので、今までのように遊んでばかりもいられない。でも前世では触れた事ないことばかりだから楽しくて毎日があっという間だった。
ー*ー
あれから4年、私も学院に通う年齢になりました。
学院は9年あり、3年ずつ初等科中等科高等科となる。高等科を卒業してようやく大人の仲間入りという訳で貴族はそれまでに社交性を身に着け上位貴族とのつながりや友好関係を持つのが目標だということだ。
我がアンベール辺境伯家は上位貴族の方なので、下位の貴族とも公爵家や侯爵家とのつながりを持てるようにする。結構大変そう。
でも淑女教育だって頑張ったし、前世では社会人だったんだから⋯大丈夫のはず。
⋯駄目でした。
「アンベール様、少しよろしいかしら。あなたグリエラ侯爵令嬢様よりもちょっと成績がよろしかったからと生意気ではないかしら。配慮が足りないのではないかしら。」
えっと校舎裏に呼び出されてしまった。どうやらグリエラ侯爵家のご令嬢が同じ学年では最上位貴族なので、ご令嬢よりも上の成績順位にいてはいけないということらしい。グリエラ侯爵令嬢様25位/30人中。
それ、あなた達もほとんどの方がご令嬢よりも上の順位じゃん。
私は今回3位だった。女子生徒の中では1番上の順位で派閥に属さなかったから絡まれてるらしい。
でもこの国では辺境伯家って公爵家と同等の扱いなので私の方が爵位的には上なのよね。
何も言い返さず黙っていると「アンベールさん、次からお気をつけなさいね。」グリエラ侯爵令嬢様がにこやかに近づきお持ちの扇子で私の肩を強めに叩き去っていった。
私の肩?赤くなっておりましたよ。結構な強さでしたからね。10歳とはいえ学院に入れば貴族として家門を背負って生活するのだからこんな風にいびられて黙っていられません。たとえどうしようもないお馬鹿な絡まれ方でも⋯。
帰宅後すぐ両親と兄に報告しました。もちろん赤くなった肩も見せました。家族とはいえ、男性に素肌を見せるなんてはしたないと思うけど、大事な証拠ですから。
ついでに錬金のスキルを活用して自作した監視カメラもどきの記録水晶にある映像も渡しました。ばっちり私を取り囲んだ皆様の顔も映ってます。音声録音機能付きの高性能です。
そう!!転生しても現代チート無理じゃねって思ってた私ですが、メテオラ様のくれたスキルのおかげでやりましたよ。わからないことは検索し、素材は鑑定、錬金して作成、アイテムボックスはなんでも入るから入れ放題作りまくりですよ。勉強の合間にコツコツ創作して両親に渡してお小遣い稼ぎしてまた素材集めて作る無限ループ。異世界最高!!
「シルになんてことを!痛かっただろう。許せない!!」兄様、怒りで魔法発動してます。熱くてカップの紅茶蒸発しちゃいました。
「父様に任せなさい。娘を傷つけた奴は許さない。」父様も怒っていますが抑えて⋯いや机焦げております。執事が水魔法で打ち消してますね。ごめんなさい、お手数掛けます。
「あら、母様もお茶会でお馬鹿さんなお嬢様のお話でもしてくるわ。」母様、お持ちの扇子折れちゃいます。落ち着いてください。
記録水晶の証拠を提出したら光魔法で肩の赤くなったところは治癒しました。後のことは家族みんなにお任せします。
夜、ベットに入りふと思う。「うーん、この世界って私の知るゲームや漫画では見たことない世界なんだよなぁ。私いびられてるって何役なんだろう。嫌だなぁ。モブがいいな。」考えながら眠りについた。
果たしてシルヴィアは、ヒロイン?悪役令嬢?答えはメテオラ様だけが知っている。
思いつくまま書いてしまいました。設定活かせてないです、難しいです。




