第8話 アリアは正しかったらしい。
「は?」
血が、俺の腹から溢れてくる。
俺は包丁が刺さったまま後退りをした。
走馬灯なんてもんではないが、色々と思考が加速した。家族、友達、小説、そして最後に残ったのは、後悔だった。
「どこにっ......包丁を隠し持っていやがった?」
⋯⋯こいつは何者なんだっ
「ド、ドール君♡♡♡ひっひひ、いや楓君♡♡♡」
───は?
「なっなにを。」
恐怖、恐怖、恐怖、恐怖。
その2文字が俺を支配する。
「ひひひ♡あ、あっひ。す、好きです♡好きです♡あ、愛しています♡───他の人が目に映らないくらい。」
ドール.......?というかなんで俺の名前を?
「っ?!」
もう1つ包丁を持ってる?!
また刺そうと包丁を両手で持って肩を引いている。
「まずいっ!」
間に合わ.......
「「させないっ!!!」」
ドゴォーーーーンと爆音と共に、目の前の彼女は、吹き飛ばされた。
「た、助かったアリア、真奈。」
「ご、ごめんなさい!!!本当に来るのが遅くて。」
「守れなかった、守れなかった、守れなかった、守れなかった、守れなかった。」
アリアは大声で謝り、それとは対照的に真奈はボソボソと呟いていた。
「回復魔法をしますねぇ。」
そう言って、アリアは俺の包丁を引き抜いて回復をしてくれた。
「っ........ありがとうアリア。」
凄いな。身体が元通りだ。
「一体あいつはなんなんだ.....?」
俺の玄関から奥は路地になっている。
だから、不審者は壁にもたれてかかっていた。
「な、なんでぇ?なんで、私の、私の愛を拒絶するのぉ???ひひっ、ふふっあはは♡♡」
こいつ.....イカれてるぞ。
「「......」」
周りもドン引きである。
「───ねぇ?その女たち誰?ねぇ、ねぇねぇ??誑かされてるの?ひひっ、ねぇ♡」
「お前は誰なんだよっ!」
俺はそう叫んだ。
すると⋯⋯
「.........ぇ?」
「.........は?」
「わ、私ですよっ!さ、最近も書いてくれたじゃないですかっ!!!!!」
書いてくれた.......?
こいつも作品のキャラか?いやこんな見た目のやつなんて.......あ。
「名を名乗ってみろ。」
「な、名前はないですっ!」
───こいつ俺が最近書いたモブ.....じゃあ?
「俺は、まだ3話目しか書いていないし、そもそもこんな見た目も想像していなければ、こんな性格でもない......」
まぁ、性格は変わるらしい.....けど。
そう思いつつ、アリアを見る。
「......?」
アリアは首を傾げた。
「おい、お前。」
「は、はい♡♡♡」
「どういう経緯でここに来た?」
「そ、それはですねぇ、そ、その身体が自由に動けるって気付いてぇ、た、たまたま直感的に楓君の位置が分かったのでぇ、ここへ来ました♡」
「っ。」
「つまり、貴方は元々はリグ様......いえ楓様の近くには居なかったのですかぁ?」
「ひひっ♡、は、はい。」
───アリアの言った、「ランダムに召喚される」 という仮説は正しかったらしい。
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