第4話 のしちゃん。
「な、なにを言ってるんだ??」
「あ〜言っちゃったっ。」
クスクスっと真奈は笑う。
あまりに楽しげと笑うせいで、俺がおかしいのかと錯覚してしまうほどである。
「見てた....のかっ?」
「うん、ずっと見てた見てたっ!」
子供らしく、笑ってそう言う小悪魔は、いつからこうなってしまったんだろう?
⋯⋯昔はこうではなかったんだが。
思い当たるのは、いつの日か大喧嘩をして、俺は気まずさで話しかけられなくて、疎遠になったことがあった。だが、その時の彼女は《《いつも通りだった》》。
⋯⋯本当にいつからなのだろうか。
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──────これは、□□の記憶である。
「おい!□□!あそこで遊ぼうぜっ!」
□□□□□はそう言う。
「分かったよっ!□□□□□っ!」
彼は、私を川辺に誘って遊ぼうとしていた。
───そこで、私は過ちをした。私は過ちを犯してしまった。
「えいっ!」
私は、彼に川辺にあった石を投げつけた。
昔からこうだった。好きな人には悪戯をしてしまう。
「いっ.....!このっ........」
彼は仕返しで石を私に投げつけ............ようとした。
だけど──────急に倒れた。
「ねぇ〜っ。ふざけてるの?........ぇ?」
頭から少量の血が流れていた。
───私は混乱した。そして、幼いながらにして、まず頭に浮かんだのは、将来のこと、親のこと。学校のこと。
「どうしよう.....っ」
全部自分のことだった。好きだとは思ってても結局自分が大好きだった。自己防衛をしてしまった。
───罪悪感は、少し経ってからだった。
彼を介護して、家まで帰らせた。
途中途中、ボソボソと何か呟いていた。
私は、それが呪詛のように聞こえて怖かった。
帰宅後、彼の親が謝罪をしろ、と申し出てきた。
⋯⋯⋯⋯当然だ。
もちろん謝った。謝って済むものではないと感じながら頭を下げた。
───その時、ちらと見た彼の目は凍えていた。
⋯⋯そこから、少し時が経って冬になった。
私はずっと後悔の渦に苛まれていた。
彼からは話しかけられない。それが嫌だった。
そして、友達にはあの事件を広めていないらしく、友達から責められることはなかった。でも、その優しさが逆に私の心に痛かった。
「あぁ、あぁ。」
私は帰宅してからは部屋に籠りがちになった。
親は心配してくれているけど、そんなのはどうでもいい。彼が来て欲しい。彼が来て欲しい。
───朝になった。
ずっとこの調子だ。
いつの間にか朝になる。
「おはよ〜!真奈!」
「っ?おはよ。美夏ちゃん。」
久しぶりに、友達の美夏ちゃんと一緒に学校へ登校する。
ここ最近元気がないからだろう。何か勘づいているのかもしれない。
「っっ!!!」
───不意に見えてしまった。
私たちの歩く道路の先にいる彼が仲睦まじそうに、女と駄弁っていた所を。
「私の□□□□□なのに私の□□□□□なのに私の□□□□□なのに私の□□□□□なのに。」
⋯⋯今度は、私が呪詛のように呟いていた。
「どうしたのっ?□□□□□。」
「いや、なんでもないよ。」
あの女をどうしてやろうか。焼く?刺す?落とす?
とにかく殺意しかあの女には湧かなかった。
彼が、氷の眼差しを向けたあの記憶が、今までとは違って、この時だけ反芻していなかった気がした。
───学校が終わり、私は帰宅した。
「っ........」
あの時の殺意は既に消えていた
───もう分かったからだ。私はもう彼の目には映らないことを。
嫉妬による殺意でそれを気付かないようにしても、仕方がない。
「一生を懸けて償いたい。」
私は、ぽろっと発した。
───そうだ、それだ。
「□□□□□に償うのが私の人生なんだ。そうなんだ私は彼のためだけの人間なんだ.......あぁ♡♡」
そう考えると興奮してきた。
昂る気持ちを抑え決心した。
───□□□□□のためだけに生きよう、と。
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