第32話 さて、勝てるかな。
俺たちは森へと向かった。
───彼女たちは不思議と起きなかった。まぁ、都合が良いな。
「ほい、お前さん。」
考えごとをしていたら、いつの間にか着いていた。
「なんで、馬鹿真面目にお前とタイマンすることにってんだか......?」
よくよく考えれば、この状況っておかしいよな。
だって、敵対者にわざわざ舞台を用意してるんだぜ?
「まぁ、いいじゃねぇか。あっはっはっはっ!」
豪快にティリスは笑う。
「それじゃあ、結界を宜しく頼む。」
「......っ!するわけねぇだろぉ!」
「っ」
まぁ、サイコパスは嘘が上手いからな。
───見越してはいた。
「仮にも制作者だ。お前の目論見なんかとうに分かっていたよ。」
「へぇー?でもどうするんだ?俺がここで爆発したら......お前もここの山も、お前のせいで壊れちまうなぁ?」
俺を動揺させようとしているのか、語気を強くさせていた。
「───馬鹿が。」
俺はティリスのそう言った。
「はぁ?」
「お前は自分が1番自分のことを知っていると思っているのか?」
「.......?」
「おい、ティリス。お前が登場する物語はまだ未完だ。」
「だから、なんだよ?」
「お前に追加しようとしていた設定を書き残しまま.....って訳だよ。」
「......っ?!」
「お前を書いた当初、俺は強くしすぎた、そう思ったんだよ。だから、お前を弱くさせる案としてそれを書いた。」
「......クソっ!」
「あまり、制作者を舐めてくれるなよ.....っ!ティリス!」
「爆発」
ティリスはそう言った。
……なにも起こらない。
「な、なぜだ?!」
「今は、お前はただの一般人だよ。」
「......っ?!」
俺は、ティリスこう弱点を付けていた。
───森などの空気が薄いところでは、発動できなくなる、と。
「勝負あり.....かな。」
「クソっ!クソォッ!」
ティリスは走り回る。
───逃がさん。
「アイロちゃん、頼みます。」
(.......ワカッタ。)
身体が変形していく。
「俺だって、ティリス!お前を殺したくはないんだよっ!」
「んじゃあ殺さないでくれよ!」
「それは、出来ないんだよ。お前らは.....ここに居たらマズイんだ。」
俺は、無抵抗に走り回るティリスの胸を狙い───
「あっ......がっ」
───刺した。
次第に、ティリスは消えていく。
「......」
不思議と悲しみは出なかった。
俺に出たのは、ぽっかりと胸に穴が空いたような喪失感だった。
「次は、あいつあたり....かな。」
気付けば俺はそう言っていた。
……あいつって?なんであの人の顔が思い浮かんできたんだ?
次にも備えて、俺は足早に家へと向かった。
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