表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響のない世界  作者: 伝福 翠人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

1:午前七時の静寂

「生命活動停止者は4名でした」

壁面ディスプレイから流れる、昨日の株価の終値と変わらない温度の声で、カイの一日は始まった。

午前7時00分00秒。


体内ナノマシンが、彼の意識を寸分違わず覚醒させる。


急激な覚醒による不快感はなく、まるでスイッチを入れたかのように、思考はクリアだった。


室内は静寂に包まれている。防音壁に吸収され、外の音は一切届かない。彼が住む高機能アパートメントは、全ての住人に等しく、完璧な静けさを提供する。


カイは壁から差し出された栄養チューブを無味の燃料として摂取し、主張のないダークグレーの制服に袖を通す。

それだけで彼は「公社の職員」という記号になった。。


公社に到着し、自身のデスクに着くと、すぐに上司がやってきた。


「カイ」


「はい」


「昨夜の7号線の件、担当は君とBチームだ。現場の処理を頼む」


「了解しました」


カイは短く答えると、タブレットを起動し、現場の初期データを転送し始めた。

彼の心は、石を投げ込んでも波紋一つ立たない、静まり返った水面のようだった。


これから向かう先に、4つの「死」が転がっている。

しかし、その事実は、彼の心に何のさざなみも立てなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ