表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】家政婦ソフィアとエルフなご主人様~貧乏令嬢はエルフ公爵様の優しさに癒される~  作者: 夢子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/80

★エルフ公爵(鴉からの連絡)

「じゃあ、マイア様、ハンナさんの所へ行ってきますね」

「師匠行ってきます」


 エリオットがハンナの孫キャリィと遊ぶ日がやって来た。

 ソフィアさんとエリオットの二人だけで出かけると聞いて、心配すぎて「私もついて行く」と言い出したのだが、コリンのせいで却下された。


「マイア様、今日はコリンさんが仕事の打ち合わせにいらっしゃるのでしょう? お約束しているんですから反故にしてはダメですよ」

「師匠、姉様の事は僕が守りますから安心してください。だからお仕事頑張ってくださいね、僕、応援していますから」


 可愛い二人にそんな事を言われてしまっては、嫌だと我儘を言う訳にもいかない。

 こんな事ならばコリンの職場で話し合いをすれば良かったと後悔するが、これまで散々屋敷から出たくないと駄々をこねていたのは自分なので、今更コリンに来るなとは言えない。

 渋々だが二人を見送ることにした。


「気を付けて行ってくるんだよ」


 迎えに来た馬車に乗り込む二人を見送りながら寂しさを感じる。

 楽しそうな姿が尚更胸にくる。

 次回は絶対について行こう。

 二人の笑顔を見てそう決意した。



「マイア様おはようございます」

「ああ、コリン、いらっしゃい」


 コリンがやって来てコーヒーを淹れてくれる。

 以前は美味しいと思っていた味が、今ではソフィアさんが家に居ない事を思い出させる味となった。


「はぁ〜」


 ちょっと離れただけでソフィアさんを思い出す。

 今頃何をしているのだろうと考えてしまう。

 私の想いはどうやら自分が思っている以上に重症なようだ。


「マイア様、ソフィアさんってば今日はオレンジタルトを作ってくれてましたよ。マイア様、愛されていますねー」


「愛されてる?」


「そうですよ、タルトなんて時間がかかるお菓子をマイア様の為に準備してくれてるんですから、マイア様はソフィアさんにめっちゃ愛されてますよ」


「そ、そうかなぁ、そんなにソフィアさんに愛されてるかなぁー」


「ええ、私が知る限り一番愛されてますね。さあ、マイア様、そんなソフィアさんの為にもお仕事頑張って早く終わらせましょうね」


「ああ、頑張るよ!」


 コリンの話を聞いてなんだか元気が湧いて来た。

 今は別荘地近くの港、イリヤで乗れる豪華客船の制作の為に動いている。


 ソレイは何と言っても海の美しさが自慢だ。

 王都からソレイまで海を楽しめる客船が出来れば良いなと、そんな夢を実現させるため私たちは動いていた。


 自分の手で大きな船を作る。

 それは汽車と同じく昔からの私の夢だった。


「船には女性の名を付けると良いと言いますからね、ソフィアさんの名前を付けるのもありでしょうね」

「ソフィアさんの名前か、うん! それは良いね!」


 コリンと顔を合わせ数時間がたったころ、少し疲れを感じ始め、ソフィアさんとエリオットの様子が気になり始めると、コリンがそんな素晴らしい提案を出し私のヤル気にまた火がついた。


「ああ、でも兄が姉上の名前を付けたがるかな……そうすると一隻では足りませんね、マイア様、船は二隻作りましょうか……」

「そうだね、王都を行き来するなら二隻は必要かな。キャロライン号とソフィア号では内装や外装の趣を変えてもいいかもしれないね」


 コリンのお陰でいい案が浮かび俄然ヤル気が湧いて来た。

 ソフィアさんの驚く顔と喜ぶ顔が一度に見れるかもと思うと、一日も早く船の造船に入りたいとそう思った。


「主、ソフィアからの連絡ですわ」


 一匹の鴉がヤトの元へ飛んできて「カー」と鳴いた。

 ヤトの手下の言葉は流石に私には分からないためヤトが通訳をしてくれるが、ソフィアさんからの連絡だと聞いて書いている途中の設計図をコリンに渡す。何か有ったのではないかと心配になったからだ。


「知り合いに会ったから、帰るのが少し遅れるそうよ」


「知り合い……?」


 ソレイに来たばかりのソフィアさんの知り合いと言えば、当然私の知り合いでもある。

 それなのに手下がその知り合いの名前を言わなかったことに、違和感と胸騒ぎを覚えた。


「ほら、マイア様、ソフィアさんは少し遅れるそうですよ、もう少し話しを詰めてしまいましょう」


 コリンの声掛けに、いいやと首を振る。

 もしまたソフィアさんに何かあったら……

 そう思うだけで胸が痛くなる。


「ヤト、どんな相手だったか詳しく聞いてもらえるかい」


 ヤトが了承し、手下に「カー」と話しかける。

 すると手下は首を傾げな「カー」と答えた。

 言葉が分からないのがまどろっこしい。

 何か魔道具を作るべきだな。

 そんな考えが浮かんでいると、ヤトがソフィアさんの出会った相手を教えてくれた。


「ソフィアの知り合いは坊ちゃまと呼ばれていたそうよ」


「「坊ちゃま?!」」


 コリンと声が揃う。

 ソフィアさんがこのソレイに来たきっかけは、確か屋敷の坊ちゃまに告白されたからだと言っていた。

 それを思い出した瞬間、コリンが止めるのも気にせず私は屋敷を飛び出した。


「ヤト、すぐに街へ行く!」

「はい」


「マイア様、待ってくださいよー」


 

 コリンを屋敷に残し、ヤトに飛び乗り空を駆ける。

 本当はソフィアさんの元へすぐさま転移したいところだが、どこへいるか分からない状態では移動することも出来ない。


 それならばヤトに乗り、目の良いヤトに上空からソフィアさんを探してもらった方がよっぽど早い。

 そう判断した私はヤトにそのことを頼んだ。


あの子(手下)は馬車乗り場でソフィアに声をかけられたと言っていましたわ、先ずはそこへ向かいますわね」

「ああ、全速力で頼むよ、ヤト」

「承知」


 ソレイの街が見え、馬車乗り場が見えると、魔法を使いソフィアさんの存在を確認する。

 エリオットが一緒にいるのだ、どこかへ連れこまれることは無いと思うが、それでも心配で仕方がない。


「あの店だ!」


 領民に気を付けながら地上に降りると、すぐさまソフィアさんとエリオットのいる店へと向かう。

 ヤトには屋敷に戻って貰い、コリンへと連絡を頼んだ。


 もしまた坊ちゃまと呼ばれる青年がソフィアさんを傷つけていたら。

 もしまた坊ちゃまと呼ばれる青年がソフィアさんに告白をしていたら。

 もしまた坊ちゃまと呼ばれる青年がソフィアさんを連れて帰ろうとしていたら。


 そんな事を想像するだけで、店ごとその坊ちゃまという青年を吹き飛ばしたくなった。


 店に入ってすぐ、ソフィアさんと坊ちゃまの会話に集中する。


「私は未だに君が好きなんだ」


 そんな言葉が聞こえソフィアさんの目の前にいる青年を燃やしたくなる。


 ソフィアさんは坊ちゃまの事を ‟可愛い男の子” だと言っていたが、目に入って来た青年はロイにも負けない程の背丈を持ち、顔立ちもまったく幼さが残らない 『しっかりとした男性』 と呼べる姿だった。


 ソフィアさんを見つめるその瞳にはしっかりと恋慕と呼べるものが宿っており、その目を私の矢で射貫いてしまいたいと感じた。


「うん、だからどうか前向きに私の事を考えて欲しい。先ずは友人として、出来ればその後恋人として、私の手を取ってはくれないだろうか? ソフィア、どうか、お願いします」


 ソフィアさんに差し出した青年のその手を、今すぐ切り落としたい衝動に駆られる。

 だがどうにか気持ちを抑え、私はソフィアさんと青年の間に割り込んだ。


「悪いけれど、それは無理だね」


 突然の出来事に目を見張る青年の前、ソフィアは私のものだと主張するように抱きしめる。


「ソフィア、心配したよ……」


 私が声をかければソフィアさんはホッと息を吐く。

 エリオットもこちらを見て安心したのか、ソフィアさんと同じように息を吐いた。


 自分の想いに酔っている青年にソフィアさんは何と言っていいのか分からなかっただろうし、エリオットは姉が心配だったはずだ。

 二人の緊張が溶けるのが分かり、それだけ私を頼りにしているのかと思うと嬉しくなった。






「坊ちゃま、さようなら、どうかお元気で……」


 ソフィアさんに断られ、ガックリと肩を落とし宿へと向かう青年(ぼっちゃま)の背中を皆で見送る。

 彼には悪いと思うが、ソフィアさんの事をいつまでも未練たらしく思い続けて貰っては困る。

 ソフィアさんは私の愛しい恋人なのだから。


 チラリと後ろを振り返る青年に、見せつけるかのようにソフィアさんの肩を抱き、いつものように額に口づけを落す。


「ソフィアさん、本当に心配したんだよ……」


「マイア様、申し訳ありません……でも迎えに来て下さって嬉しかったです」


 頬を染めそんな可愛いことを言うソフィアさんが愛し過ぎて、どうしようもない感情が溢れ出す。

 すぐにでもこの可愛い人と結婚をして、全世界の男たちに手を出すなと宣言したくなる。


「師匠、姉様を守れなくてすみませんでした……」


 ガックリと肩を落とすエリオット。

 あの青年がソフィアを好いているのが分かっていても、どうしていいのか分からなかったのだろう。

 五歳児に解決するには難し過ぎる問題を前に、悩むエリオットがあまりにも可愛くて、ソフィアさんと視線を合わせ苦笑いを浮かべる。


「エリオット、君はちゃんとソフィアさんを守っていたじゃないか。私の代わりにずっと傍にいてくれたのだろう」


「はい、でも……」


 それでもしょんぼんとするエリオットの頭をソフィアさんが撫でる。


「エリオットが隣にいてくれて私は心強かったのよ。だから坊ちゃまにもきちんとお断り出来たの、エリオット、有難う。貴方は私の騎士様だわ」


 頬を染め照れるエリオットを二人でまた褒めながら、ヤトに乗り屋敷に帰ることにする。


「さあ、私達の家に帰るよ」

 

 声を掛ければ二人が笑顔で頷く。


「はい、マイア様、帰りましょう」

「はい、師匠、僕のお家に帰りたいです」


 一緒に家に帰る相手がいる。

 私を好きだと言ってくれる相手がいる。


 そしてその人が私の大切な人でも有る。


 エルフ生の長い月日の中でそんな当たり前のことが特別なのだと十分に理解した。


 やっと出会えたソフィアさんとその家族を、丸ごと愛し大切にしようと、私はそう誓ったのだった。

おはようございます、今日も読んで下さりありがとうございます。

ブクマ、評価、ありがとうございます。

ヤル気頂いております。

坊ちゃま退場です。キスシーンちゃんと見てます。ショックは大きいでしょう。

夢子


完結作品

パン屋麦の家

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2202131/

こちらも宜しくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ