第二話 愛より先に、哀を知った。
■ステータス■
シン レベル999
攻撃力・防御力・敏捷・運 etc・・・・・・____SSSSSSSSSS
これが俺のステータス・・・・・・
一周回って初期値じゃないよな? いくらなんでも強すぎないか。でもこれだけ高いステータスならこの世界でやっていけそうだ。
そろそろ宿屋に向かおうとステータスを閉じようとするが・・・閉じ方がわからない。
ステータスアウト! やら Alt+F4! と叫ぶが反応はない。
ステータスを開きながら冒険すればいいじゃないかって?
俺もそうしたい。だが、できない。
全裸だから。
ステータスバーの最後に『ステータス上げすぎた影響でステータスオープンすると服も破けてしまうみたいです。ごめんねテヘペロ♪ アフロディーテ』と書いてある。
これじゃステータスオープンする度に変態野郎になってしまうじゃないか。安易にステータスオープンするのはやめておこう。
それにしても、このままだと宿に着くより先に豚箱行きになっちまう。どうしたら・・・・・・
そうだ俺は魔法のステータスもSSSSSSSSSSだった。
炎を体に纏って歩けばいいじゃないか。なかなか冴えてるぞシン。炎天を纏いし者・シン__うん、かっこいい!
早速、炎魔法を唱える。
この一番かっこいい名前を唱えてみよう。
「我は天を焦がす焔神、混沌せし現世を永久焦土にせし焔神、地の獄を恒久に燃堕せし焔神・イフリート。総てを焼消させる炎を此処に呈する____【終焉の炎】」
瞬間____俺の身体、そしてあたり一帯(大体大陸1個分)が閃に包まれ、焼き消される。残ったのは焼き消された草原の臭いだけ__
「やってしまった・・・・・・」
なんだよこのチート魔法。一瞬イフリート見えたぞ。一面から八面にワープした気分。でもステータスウィンドウ閉じたしいいか。
ここで、冴えてるシンこと俺は、よく考えたら風魔法で宿まで飛べばいいじゃないかということに気付く。
俺は先程の反省も踏まえ、弱そうな風魔法 音が一日遅れる微風を使い、近くの宿を目指すことにした。
「あったぞ、あれが宿だ」
異世界転生モノによくある普通の宿屋だ。暗くなってきたし、今日はここに泊まることにしよう。
扉に手をかける。異世界の宿屋といえば宿屋のかわいい一人娘が『いらっしゃいませ~』と元気よく愛想よくお出迎えしてくれるんだ。そして彼女のピンチを救ったり悩みを解決していくうちに懇意になって、最後にはめでたく結ばれハッピーエンド____
期待を胸に、深呼吸してから扉を開け、かわいい第一声を待つ。
「いらっしゃいま・・・・・・へ、変態~~~~っつ!!!!」
待っていたのは赤面と罵声だった。
確かに俺は変態かもしれないが初対面で変態呼ばわりはいくらなんでも酷すぎないか。
結局、二次元みたいなことは起こらないんだと意気消沈し、まぁでもとりあえず泊まろうとポケットから路銀を____ない。お金が。いや、何も、無い。全裸。
右腕に力を込めながら寄ってくる宿屋の娘__お、猫耳生えてる。やった。に釈明しようと刹那顔面に鉄拳が炸裂し、俺は闇に沈んだ。