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8-バイバイサンキュー

とりあえずチャプター1の終わりが見えたので投稿しました。

次回の更新は日曜日の予定ですが、書き溜めができたら早めに行うかもしれないです。

 食堂で少しだけパーティのメンバーと他愛もない話をしていると、僕の乗る船が港へ到着していた。乗り遅れたらその時間分だけ気まずくなるだろうと思った僕は、早めに宿屋を出て船のほうへと向かった。といってもパーティのメンバーも見送りに来てくれたのだけれども。

 これから向かうコーキョという町は、僕の故郷の村に近い港町だ。口には出されていないが、ライナは僕に故郷へ帰るように促しているのだろう。それくらいわかるつもりだ。僕が一番長くライナの隣にいたのだから。


「それじゃ、今までありがとう」


 船の前に立っていたもぎりにチケットを渡し、僕はコーキョ行きの船に乗船した。足元がぐらつくような不安定な感じがする。きっと海の上の乗り物だからだろう。

 初めて船を利用した僕は、不安定な足もとを警戒しながら前へと進んでいく。この支えのない感じは、話に聞いていた船酔いという症状を起こしそうだ。確か対策は景色を見て気をそらすことだったっけ。だったらまずは景色が良く見えそうなところに行こう。確かチケットと引き換えにもらった案内図の中には、海が見える甲板という場所が書かれていたはずだ。とりあえずはそこに行ってみよう。


「ウェン!」


 船の中を進もうとする僕を、ライナがどこか感情的な大きな声で呼びかけた。振り返って良いものだろうかと悩んでしまう。今ここで彼女の顔を見たら、やっぱりあのパーティに残っていたいと思ってしまいそうだったからだ。

 振り返ることもせず、だからといって足を進めることもできず。僕は船の乗船口で立ち止まってしまった。


「身体は大切にしろ! あの村で待ってろ! そしていつか私と――」


 何かを言いかけて。ライナはそれを取りやめて。


「私が世界を救ったときは、君を迎えに行く」


 声を変えて(勇者の声で)、ライナは最後にそう言った。

 勇者の言葉を聞いた僕は、船の中を進むことにした。それが、勇者からの最後の命令だったからだ。

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