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5-言い訳と謝罪

まだあらすじのところまで書けていないので、三連休は一話ずつ投稿することにしました。

一応12時更新予定ですが、遅れる可能性もあります。

「沈黙は肯定とみなそう。言い訳をするのであれば聞いておくが、あるまいな?」

「えっと」


 違う。ここでライナに納得してもらうわけにはいかない。ここで黙っていたら僕は彼女の旅についていけなくなるじゃないか。

 考えろ、考えるんだウェン・オールス。どうすれば彼女を、このパーティメンバーを納得させることができる。僕だけの価値ってなんだ。探せ、探せ……。

 

「……反論がないということで、君が納得したと判断した。話はここで終わりにさせてもらおう」

「ま、待って」


 ――そうはいかせない。いかせたくない!

 ――何を言っているんだ。僕に何か光るような才能なんてあるわけないだろう。

 理性と感情が争っている。彼女が望むものなんて僕は持っていないと本当はわかっていながら、それでも彼女にしがみつきたいという思いが必死に言い訳を探している。同年代と比べたら剣術が強い。パーティメンバーとは仲が良いほうだと思うから連携がスムーズにいく。皆の好みがわかっているから今日みたいに外食をするときは注文が早くできる……。

 しかし、理性は正しくて残酷だ。感情のほうが思いついた言い訳を次々と論理的に否定していく。同年代と比べたら剣術が強くとも、僕よりも強い剣士はうじゃうじゃといる。パーティメンバーとは仲が良いほうだとは言いつつ、実力不足である僕は皆に迷惑をかけるお荷物でしかない。大体外食の注文が早くたってなんのメリットもありはしない。

 やっぱりそうだ。僕自身が一番わかっていた。このパーティに必要がないのは僕だということを。認めたくないけど、それが事実なんだ。


「……ごめん」

「ん?」

「わかっていた、つもりだった。先に言い出せなくて、ごめん」

「何故謝る。謝るくらいなら――」

「それ。自意識過剰な推測だけど、みんな僕に期待をしてくれたんじゃないかって思うんだ」


 僕はライナとともに、故郷の村でブレイさんの教えを受けて育ってきた。その結果が現状であり、『同年代と比べたら実力はある』という人間となってしまった。しかし伸びしろはすでになくなっており、このパーティメンバーについていけるような実力はない。

 つまり、『同年代と比べたら実力はある』僕は強くなる才能がある人間だと誤解されたけれども、実際は『ただの凡人が一時的に力をつけていた』だけだったのだ。この一流パーティから離れろと言われるのも当然である。


「ごめん。みんなの期待を裏切ってごめんなさい。迷惑をかけて、ごめんなさい」


 僕は卑怯だ。頭を下げることで皆の顔を見ることを放棄した。きっと皆、僕を軽蔑した表情で見ているに違いない。


「……本当に謝るのは、きっと俺なんだろうな」


 小さな声で、誰かがそう言っていた気がした。しかし頭を下げることで精いっぱいだった僕は、声の主を探すこともできず、ただただライナとそのパーティメンバーに謝ることしかできなかった。

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