16-宴の終わり
「ライナちゃんに謝れーっ!」
「おい離せっ、誰かこいつ何とかしてくれ」
小太りさんは殴るまではいかないまでも、アウトローさんの胸倉を掴んで相手の体を思いきり揺らしていた。流石にあれだけ揺らしているせいか、すごく気持ち悪そうだ。小太りさんは小太りさんで泣きながら思いきり掴んでいるものだから、周りの人々もその迫力に圧倒されて近づけないでいる。先ほどまでアウトローさんの虚言に辟易としていた僕も、あそこまで揺らされるのはちょっと可哀そうだなぁと同情していた。
「はい、そこまでー」
そこでようやくヨツノノさんが立ち上がり、止めに入った。アウトローさんの顔が青くなっているところを見ると、これ以上揺らされると気持ち悪さで吐いてしまう可能性もありそうだし、タイミング的にもちょうど良かったかもしれない。
「はぁっはぁっ」
「いやー良い話が聞けたよ。ありがとうね」
ヨツノノさんは息切れをしている小太りさんの肩に手を回して体を密着させる。そして彼女はそのまま耳元に顔を近づけ、ふぅと吐息を彼の耳に浴びせる。
「おふっ」
先ほどまで興奮して頭に血が上っていた小太りさんも、耳に息を吹きかけられるという謎の行動をされたせいか、冷静になってくれたようだ。……冷静、だよな。どこか嬉しそうな顔をしているように見えるけど、それは多分別問題だよな。
よくはわからないがアウトローさんは解放されたし、小太りさんはヨツノノさんのことを拒んでいないから情報は集まりそうだし、一安心と言っていいだろう。先ほどまでは質問続きで荒れかけていた酒場の雰囲気も、一度静まり返ったおかげで今は落ち着いている。途中までは色々あったけど、とりあえず場は収まった。めでたしめでたしということで、後はライナの行方を知っているだろう小太りさんから話を聞くとしよう。
色々反省はありますが、ようやく話が進みそうです。




