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15-勇者推しとつながりたい

 それからもアウトローさんの虚言は続いた。やれパーティではリーダーの勇者が傍若無人として振舞っているだとか、やれパーティメンバーの功績を勇者のものとして扱っているだとか、事実無根の噓八百だらけだ。最終的にその質の悪い嘘はパーティメンバーにも及んだ。

 あまりにも現実から離れた内容でライナやパーティの人たちを貶すものだから、僕は途中で何度も立ち上がって彼の胸倉を掴みかかりそうになった。そうやって立ち上がりそうになる度に僕はヨツノノさんに止められ、今では止めることすら面倒となった彼女に抱きかかえられるような形でアウトローさんの話を聞く形となっていた。まるで母親に抱かれる赤子のようですごく恥ずかしい。


「よく我慢したね、えらいえらい」


 そんな辱めを受けていると、唐突に彼女は僕のことを褒め、頭を撫でてきた。羞恥心がより高まっていく。


「でも、そろそろその我慢もおしまいだ」

「どういうことですか?」

「ほら、あれ」


 彼女が指をさした方向には、気分が悪そうに俯く小太りな男が座っていた。あの人も確か、ライナの行方を知っていると手を挙げていた人たちの中の一人だ。

 小太りさんはプルプルと震えて何かを我慢しているようだった。まるで先ほどまでアウトローさんの虚言に対して怒りを覚えていた僕自身のように。


「偶にはあの適当マンも役に立つもんだ」


 僕を抱きしめながらヨツノノさんがボソリと呟く。恐らく適当マンというのはアウトローさんのことだろう。どうやら彼女は彼のことを知っていたらしい。最初に酒場へ来た時の金髪さんも彼女の知り合いだったようだし、彼女は顔が広いのかもしれない。


「その他にも……」

「お、おい!」


 再び小太りさんに視線を向けると、彼はアウトローさんの話を遮るように立ち上がり大声を発した。そして体を震わせながらアウトローさんに近づき、グッと胸倉を掴む。これまた先ほどまで僕が行いたかった行動の通りだ。まるで自分自身を見ているようだった。


「適当なことを言うのもいい加減にしろ!」

「何を言ってんだ。オレは嘘なんかついていないぞ」

「違う! ライナちゃんはな、常に凛として人を思いやる美しい心の持ち主なんだ!」


 場がしん、と静まり返る。先ほどまでアウトローさんの話で盛り上がっていたのが嘘のような静けさだ。それはきっと小太りさんの声に皆が圧倒されるほどの熱量があったからだろう。恐らく彼も僕と同じでライナのことが好きなんだ。

 そうか、僕と同じだからなのか。この場に僕と同じようにライナを好きな人がいると気づいたから、ヨツノノさんはアウトローさんを泳がして、小太りさんが怒るように仕向けたんだ。本当にライナのことを好きで追っている人なら、適当なことを言われたら怒ってしまうものな。

 でも、小太りさんがライナのことを好きだと見抜いたならわざわざ怒らせる必要はあったのかな。僕がそう疑問を抱えている間にも、酒場は段々と盛り上がっていくのだった。

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