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14-僕の勇者は可憐です

 僕が抱いた疑問はこの場にいる彼らも同じことを思ったようだ。僕が質問した時とは反対に、何故そんな当たり前なことを聞くのかと言いたげな顔をしている。質問の意図を確かめようにも、肝心のヨツノノさんは例の感情を押し殺した笑みを浮かべていて考えが読めない。しかも中々次の発言をしないものだから、本当に何を思ってそう言ったのかがわからなかった。


「……いや」


 そうして訪れた沈黙の中、沈黙を破ったのは若い男の剣士だ。どこかアウトローじみたその男は、口元だけをあげて笑みを作ると、自信満々にこう答えた。


「オレが知る勇者は違うな」

「は?」


 思わずそんな間の抜けた声が出てしまった。この人は一体何を言っているんだろう。ヨツノノさんが言う通り、勇者は華奢な女の子だというのに。


「何言ってんだお前、勇者は女の子だろう」


 その場にいた客の一人が、まるで僕の意見を代弁するかのようにアウトローさんに向かってそう言った。その通りだ、と僕を含めて数名の男たちが客の言葉に同意する。だがアウトローさんは、フッと演技がかった笑い方をすると再び自信ありげにこう答え始めた。

 

「確かにそうだ。だが華奢な小娘じゃあない。筋骨隆々、男と見間違うような立派な体格をした女だと聞いた」


 何を言ってるんだこの人は、出鱈目を言うな。

 そう批判しようと立ち上がった僕を再びヨツノノさんの腕が静止する。一瞬だけニュートラルな笑みを崩した彼女が見せたのは、このまま泳がせとけとでも言いたげな楽しそうな表情だった。相変わらずよくわからないが、どうやら彼の嘘を続けさせるつもりらしい。

 正直、実態と全く異なる勇者像を話されるのはあまり気分が良いものじゃない。だが情報が集まるならば、多少の憤りは飲み込むべきだろう。そう自分に言い聞かせ、僕はアウトローさんの虚言に耳を傾けた。


「冷静に考えてみろ。世界を救う力を持つ人間が、そんな可憐な少女なわけがないだろ。噂に尾びれがついたんだよ」

「た、確かに……」


 そんなことはない、ライナは可憐で美しい少女だ。僕は彼女以上に美しい人間を見たことがない。


「その力はパーティの男たちよりも強く、リーダーにふさわしい実力とのことだ」


 それはそうだ。よくわかってるじゃないか。魔術や武術に秀でたメンバーは他にいたものの、総合的な実力でいえば間違いなくライナが上だ。彼女こそリーダーにふさわしい。


「だがその力が行き過ぎて、時には暴力で物事を解決してしまうのだとか」


 そんなわけがないだろ! ライナがやるとしたらネチネチ嫌味を言って相手の機嫌を損ねることぐらいだ! わざわざ力で物事を解決するなんてライナらしくない!

 ……後から考えると、僕は自分の想像以上にライナのことに対して過敏になってしまうみたいだ。あまりにも感情が上下してしまう。それを反省することになるのは、大分後になってからのことだった。

3月4月と(仕事が)クソ忙しいです……。

今後マシになればいいのですが

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