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12-ライアーゲーム

「おぅ姉ちゃん! オレ、知ってるぜ!」

「おれもおれも!」


 しかし、流石はヨツノノさんといったところだろうか。彼女が放った「それ相応の報酬」という言葉に惹かれた酒場の人たちが次々と手を挙げる。その軽い話し方を考慮すると、彼らが本当にライナ達の行方を知っているかは怪しいところではあるが。


「思ったより、いっぱい挙がったね」

「信用できるんですか?」

「できると思う?」

「あまり」

「あたしも」


 彼女も僕と同じ考えを持っていたようで、少しだけ呆れたような笑みを浮かべた後に再び男たちの方へと視線を向ける。その顔は先ほど僕に見せた顔とは少し変わった、ニュートラルな微笑みだった。まるで感情を全て内面に押し込めて、笑顔だけを無理やり引っ張りだしてきたかのような表情だ。一見普通の笑顔だけど、よく見たらそんな違和感がある。


「困ったなー。こんなに知っている人がいっぱいいるってことは、嘘をつこうとしてる人がいるかもしれないよね」


 ヨツノノさんはそんな笑みを浮かべながら、わざとらしく困ったふりを見せた。彼女の言葉に揺さぶられたのか、何人かの手を挙げる人の顔に動揺が生まれる。流石はヨツノノさんだ、嘘が得意な人は相手の嘘を見抜く方法も熟知しているというところか。

 動揺を見抜いた彼女は、顔を強張らせた人たちに向けて手を振った。嘘を見抜いたアピールだろう。実際、手を振られた側の人たちはそれを察して自ら手を下げていった。残る手の数は元の数の三割といったところか。


「思ったよりまだ残っちゃったな」


 隣に座るヨツノノさんは表情を変えず、誰にも聞こえないようにぼそりと呟く。確かに大分減ったとはいえ、まだ人数で言うと十数名ほど残っている。この人たち全員が本物の情報を持っているとは思い難い。それは彼女も同じなようで、笑みを崩さぬままに彼女は髪を撫で始めた。恐らく次の策を考えているのだろう。

 僕も何か手伝えることはないだろうか。黙っていてと言われたけれども、元々この展開は彼女が僕のために起こしてくれたものだ。彼女に丸投げするだけでは申し訳ない。疑うことには慣れていないけども、考えることは苦手じゃないはずだ。発想力についてはマントさんにも褒められたし。

 まず相手が報酬につられ、嘘をついていることを前提に考えなければ。嘘をついているということは、つまりはライナがどこにいるかは知らないってことだよな。そもそもライナを知ってるのだろうか。そこから嘘をついている可能性だってあるよな。ライナを知っていても、他の人……ブレイさんやカルテさんを知っている人は限られるのではないだろうか。『勇者パーティ』は有名だけれど、誰が所属しているかまでは気にされていないはずだ。あ、だったら。


「じゃあ、皆さんが知っているパーティって何人の集まりだったんですか?」


 酒場に一瞬の沈黙が走る。そんなことまで知らん、とでも言いたげな目をした人が何人か現れることとなった。

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