3-戦力外通告
三が日が終わったので次の更新はあらすじに書いているように日曜日になると思います。
太陽が沈みかけた夕方になって、僕たちはようやく目的の町へ辿り着くことができた。そこは小さな港町であり、ちょっと見渡すだけで町全体が見えるほどの大きさだ。
ここに来た目的はもちろん船に乗るためだが、時間が遅いせいか既に出港する船が限られていた。パーティのリーダーであるライナはメンバーを一瞥し、それぞれのコンディションを確認すると一つの提案をする。
「とりあえず、皆疲れただろう。今日は一泊して明日の朝の船に乗って行こうと思うのだが、異論はあるか」
パーティメンバーから他の意見が出ないことを確認したライナは、僕たちを引き連れて颯爽と宿屋へと向かい部屋の手配をする。
そのまま僕たちは宿泊する宿屋に荷物を預け、夕食を取るために一階にある酒場へと集合した。港町だからだろうか、店のラインナップは魚料理がほとんどを占めていた。
メニュー表を一通り眺めた僕は、メンバーの好みを思い出しつつ、注文する料理の提案をし始める。
「何食べます? ブレイさんは貝類が確かお好きでしたよね。お刺身とかありますけど」
「……あぁ。じゃあそれと適当な酒を選んでおいてくれ」
「わかりました。マーモさんはお魚好きじゃないよね。このパスタなんか魚介入ってなさそうだけど」
「……えっと、じゃあそれで」
「うん。えーと、カルテさんはパンがお好きでしたよね。ここ、サンドイッチがいっぱいあるみたいです」
「ふぅん。じゃあ二、三種類見繕ってくれる?」
「任せてください。ライナはお肉だよね」
「……あぁ」
「わかった。すみませーん! 店員さん、オーダーお願いします!」
そうして僕たちは貝のお刺身と地酒、野菜たっぷりのペペロンチーノとアンチョビサンド、そして鳥の丸焼きと魚の炊き込みご飯をオーダーした。炊き込みご飯は僕の趣味だ。僕は昔からパンよりライス派だった。
「……先程明日の船のチケットを買ってきた。忘れないうちに配っておく」
料理を待っている間、パーティリーダーであるライナはそう言うと、それぞれのメンバーに紙のチケットを渡し始めた。ブレイさん、カルテさん、マーモさん。そして……。
「あれ」
そして。そう思ったけれども僕の分はなかった。いや、正確に言うと渡されたけれども、それは皆とは違う文字が書かれている。
行き先が違うのだ。事前に僕らパーティが話していた内容では、僕らは別大陸の港であるコノナドに行こうとしていた。だが僕に渡されたチケットは違う。コーキョという今僕らがいる大陸内の別の町への行き先となっていた。
「ライナ、僕のチケット間違ってるよ。僕の分だけ行き先が――」
「いや、それで合っている」
ライナはその切長の紅い目で僕を見ると、いつもよりも低い声で言い放った。
「ウェン。……明日から君は旅についてこなくて良い」