2-旅を続ける中で
割と勢いで投稿開始してしまったので、細かいところは後から修正すると思います。
「すみません!」
助けてもらったお礼と、自分のせいで迷惑をかけた謝罪のために、僕はカルテさんに頭を下げた。
「謝ればいいってものじゃないの。アタシのフォローがなかったら、貴方死んでたのよ。わかってるの?」
「わかってます。ありがとうございます。そしてすみま――」
「その辺にしておいてくれ。カルテ」
そう言ったのは黒髪の少女――ライナ・サバイバだった。世界の勇者でありこのパーティのリーダーである彼女は、僕とカルテさんを交互に見てこう告げる。
「お互いの考えていることは分かるつもりだ。批判は町に着いてから聞こう」
「ライナ、でも」
「ここで話していたらまた魔物が来るかもしれないだろう。一先ずは町に行くのが懸命だ。カルテ、私は何か間違ったことを言っているか?」
紅い宝石のような綺麗な目でライナはジッとカルテさんを見続ける。スッとした切長のその目で見られると、何だか心の奥まで見透かされたような気持ちになってしまう。ライナとは幼馴染である僕は、何度かその経験をしたからよくわかるのだ。
「……いえ、貴女の言う通りね。話は後回しにしましょう」
そう言うと、カルテさんは僕に向けていた杖を腰に巻いているベルトに収めてくれた。
「聞き分けが良くて助かる。地図によればあと数時間で町へと着くはずだ。皆、もう一踏ん張りだと思って頑張ってくれ」
そう言うとライナは最前線へと向かい隊列を整えて町の方向へと歩き出した。後衛である僕たちは、後ろから襲ってくる魔物を警戒しながら足を進める。
「あ、あの。ウェンさん」
そうして道を歩いていると、最後方にいたマーモ・ティンスターさんが僕に駆け寄ってきた。彼女は青い髪のテイマーであり、使役した自分の動物を操ることができるのだ。いつもは僕と同じように、後方で敵が奇襲してこないかどうかを見張っている。
「さっきはごめんなさい。わたしがもっと早く検知できていれば、あんなギリギリな戦いにはならなかったはず……」
「うぅん、マーモさんは気にすることないよ。それにさっきの戦いって、ライナやブレイさんだったら何ともなく戦えたはずだから」
そう、剣術の達人であるブレイさんや、その一番弟子であるライナならば、奇襲してきた魔物だって太刀打ちできるはずだ。
僕は他の人たちと比べて実力不足だった。『勇者パーティ』であるこのメンバーは、魔王を倒すという目的を果たすために色々なスペシャリストが集まっている。
ブレイ・ドソドさんは剣術の。
カルテ・ヘイレンさんは魔術の。
マーモ・ティンスターさんは動物使役の。
そして勇者であるライナ・サバイバは魔王を倒すための、皆それぞれの分野のスペシャリストだった。
僕が、ウェン・オールスだけが、このパーティの中で凡人なのだ。一歩、いや十歩も実力が劣っている僕は、彼女たちの役に立ちたいと強く思っていた。